概念史とは? わかりやすく解説

概念史

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/24 04:39 UTC 版)

概念史ドイツ語: begriffsgeschichte、英語: conceptual history、history of concepts)は、概念歴史。主にドイツ語圏で発達した歴史学の分野である。

沿革

起源

ドイツ語の「begriffsgeschichte」という言葉が初めて登場するのは、ヘーゲル歴史哲学講義の中である。この表現がヘーゲル自身による造語なのか、講義録を書いたときに生まれたものなのかは定かではない。これによると、ヘーゲルは、美術・法・宗教の歴史として、哲学の歴史に合流する、いわゆる「reflektierten Geschichte」の一種を「begriffsgeschichte」として指定した。この理解は、孤立の例にとどまり、定着しなかった。

媒体及び代表的人物

概念史は、20世紀に『Historischen Wörterbuchs der Philosophie』、『Geschichtliche Grundbegriffe』、『Archiv für Begriffsgeschichte』等が出版され、特に盛り上がりを見せた。哲学者のヨアヒム・リッター、歴史学者のラインハルト・コゼレック、社会学者のエーリッヒ・ロタッカーは、この分野の重要な代表者である。また、ハンス・ゲオルク・ガダマーは、概念-歴史パラダイム(begriffsgeschichtlichen Paradigmas)の枠組みの中で、哲学的な解釈学を明確にした[1]。歴史的意味論は、従来の思想史に対して、一般的な「Ideen」の歴史的非連続性、社会的文脈、言語的構成要素を軽視しているとの非難に応えた[2]

批判

しかし、概念史のアプローチは、以下の引用が示すように、批判的な見方もあった。

  • フレーゲ「概念はそれ自体で歴史的なものではないため、概念の歴史はありえない」("Begriffe seien an und für sich nicht geschichtlich, und daher könne es keine Begriffsgeschichte geben")
  • ハンス・クリスチャン・レール「歴史的考察は内容分析に代えられない」("historische Betrachtungen seien kein Ersatz für inhaltliche Analyse")

脚注

  1. ^ Vgl. Hannes Kerber: Der Begriff der Problemgeschichte und das Problem der Begriffsgeschichte. Gadamers vergessene Kritik am Historismus Nicolai Hartmanns, in: International Yearbook for Hermeneutics 15 (2016), 294–314.
  2. ^ Vgl. etwa Bevir / Bödeker 2002, 9ff. K. Palonen: Begriffsgeschichte und/als Politikwissenschaft, in: Archiv für Begriffsgeschichte 44 (2002), 221–234.

関連項目

外部リンク


概念史

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ザウアーラント」の記事における「概念史」の解説

ザウアーラント」という概念は、立会人 Wesselo de Suderlande の添え名として、1266年初め記録されている。その後この名称は、少し変形した形でアルンスベルクシュトラールズントグライフスヴァルトケルンゾーストリューベックロンドンヴロツワフロストックリガグダニスクカッセルエッセン記録産地表示として登場する14世紀以降この概念土地の場所を詳しく記述するのに用いられた。 ヴェストファーレン住民の間では、13世紀から母音の間の d が省略されるようになったこのため、Suderlande は次第に Suerland に変化した。ただし社会的に高い地位にある人々の間では d が保持されていた。したがって法律関連事務所書記室が作成した文書は d を含むスペル記されている。おそらくオランダからの影響で、北海沿岸広まった sud を süd と綴る書式適用され、Süderland という書き方増えていった。16世紀末頃に中低ドイツ語ドイツ語版英語版)は書き言葉としての重要性失い高地ドイツ語優勢となった。これにより Suerland の表記高地ドイツ語化された。長い母音の u は au二重母音化し、これにより Sauerland という書き方できあがった地域名としてのザウアーラント起源は、領邦以前時代遡り、おそらく12世紀成立していた。中世後期にはレネ川中下流域南北地域指していたが、近世初期ハール川およびヘルヴェークの南に位置する南ヴェストファーレン山地でジーガーラントとヴィトゲンシュタイン地方を除く地域意味するようになった。この地域領邦は、プロテスタントマルク伯領カトリックヴェストファーレン公領分かれていた。この2つ領邦はともに、ザウアーラント以外の土地領邦含んでいた。17世紀から18世紀にはヴェストファーレン、特にザウアーラントに対して良くない評判増えていった。特にケルン選帝侯領ザウアーラントは、後進的で貧し土地みなされていた。19世紀になるとこうした連想はされなくなっていった。工業的に発展したメルキシェス・ザウアーラント(旧メルク伯領側のザウアーラント)では、ジューダーラント (Süderland) という表記好まれるようになったザウアーラントイメージロマン主義の時代になって変化したアネッテ・フォン・ドロステ=ヒュルスホフ影響受けたレーヴィーン・シュッキング(ドイツ語版英語版)が著した「旅の本」はザウアーラントポジティブ評価した最初著作であったそれにもかかわらずこの書物は、フリードリヒ・ヴィルヘルム・グリンメにザウアーラント擁護する文書執筆する気にさせたのであったグリム著述ザウアーラントイメージ決定的な影響与えた。カール・クネーブッシュのガイドブックや、19世紀末から標識のある遊歩道網を整備したザウアーラント山岳協会の設立により、観光開発進められた。その結果ザウアーラント概念拡張された。メルキシェス・ザウアーラントという表記が再び一般的になり、さらにハールシュトラングやウプラントにまで拡張された。 地名の意味に関して19世紀語源論争起こった語源について多く説明がなされ、2つ派閥形成された。1つ様々な派生語考慮して南の国」と解釈するもので、もう1つ低地ドイツ語の名前の形式参照してやっかいな国」解釈するものであった。この論争感情的となり、選帝侯部分マルク伯領部分のどちらが「真正なザウアーラントであるかという問いと結びついた。現在では語源学上「南の国」が定説となっている。これは、ヴェストファーレン中心であるドルトムントゾーストミュンスターの南に位置する地方という意味であると推測される。 この地域特徴付ける固有の境界がなく、ザウアーラントという概念自体歴史の上で常に変遷してきたにもかかわらずザウアーラントという地域輪郭描き出そうとする努力が現在も続けられている。こうした境界付けには、ザウアーラント文化的あるいは自然環境的な一体感欠いているという問題が常にある。地質学的には、ライン・シーファー山地一部である南ベルクラント属すが、文化的にはメルキッシャー部分(旧メルク伯領部分)とクールケルニッシャー部分(旧ヴェストファーレン公領部分)とに分けられる一般に現在のホーホザウアーラント郡メルキッシャー郡オルペ郡にあたる地域ザウアーラント中核となる地域であるが、境界領域場合により異なっている。

※この「概念史」の解説は、「ザウアーラント」の解説の一部です。
「概念史」を含む「ザウアーラント」の記事については、「ザウアーラント」の概要を参照ください。

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