未来部の現状
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/05 07:26 UTC 版)
あらゆる宗教にとって、子供・次世代への信仰の継承は非常に重要かつ困難な課題とされている。創価学会の会員は、他の宗教と比較して信仰の継承の成功率が比較的高いと言われている。 しかし、創価学会においても「退会者」(創価学会を退会した元学会員)や「脱会者」(創価学会を脱会して創価学会と敵対する日蓮正宗の法華講や冨士大石寺顕正会などの宗派に入信した元学会員)や「退転」(退会者や脱会者を批判的に言う呼び方)や未活動・活動休止中の学会員である「未活動者」(未活)になる若年層世代の学会員が増加している現状である。 とりわけ中等部員・高等部員は、10代の思春期、反抗期を迎える多感な年頃ともなり、友人やインターネットやSNSなど周囲の環境から入ってくる創価学会について批判的な情報を得る機会が増えることから、信心(信仰心)が揺らいで、「未活動者」(未活)になる場合が多い。また、学校の部活動や受験勉強などの多忙さに追われ、信心(信仰心)はあったとしてもやむを得ず創価学会の信仰活動を離れるという時期になる場合も多い。 そういった「未活動者」(未活)になる学会員が増加しており、この事態を重大に捉えた創価学会本部(執行部)は、将来の創価学会を担う未来部員の育成を、従来の「信心一辺倒」から「部員間の友情の絆の強化」によって「退転」(退会者や脱会者を批判的に言う呼び方)や「未活動者」(未活)を防止するよう、目標の転換を試みた。また、今後の人生の進路と、幼少期からの宗教教育の結果の成否、すなわち学会員としての信仰者・活動家に成るか否かを決定づける最も大事な時期にある高等部員に対しては、創価学会の未来部担当者による家庭訪問等を積極的に実施し、高等部員を対象とした指導や指針を示して育成に努めるといった、多角的な方向性に転換していった。 また、高等部員の大学進学を奨励している。これは創価学会員の学歴を高学歴化させて、あらゆる職業(業種)に創価学会の理解者である人材を送り込むことが創価学会の社会での影響力を強めることに繋がると考えられているからである。 鎌倉時代の僧・日蓮の教えを信奉する創価学会では、仏教における輪廻の思想を背景に、「前世からの宿縁によって創価学会の信心をする使命がある。子供は自ら親を選んで望んで生まれてくる。」と解釈している。 ゆえに、熱心な創価学会員の家庭に誕生した子供は、通常は、親の意思によって生後1か月の乳児(赤ちゃん)の時期に創価学会に入会させられる場合が多い。あるいは、5月3日(池田大作名誉会長の第3代会長就任記念日)や11月18日(創立記念日)などの創価学会の記念日をあえて意図的に入会日として選んで乳児(赤ちゃん)を、地域にある創価学会の会館において、参加者全員で勤行・唱題をした後、入会者の名前を役員が読み上げ、乳児(赤ちゃん)の場合は家族が抱き上げる「入会記念勤行会」に参加し、創価学会に入会し学会員となる。 近年は、未来部員の大多数が、祖父母や両親の世代から2世代や3世代と続く産まれた時からの創価学会員が多い。(学会2世や学会3世と呼ばれる。)これらの子供は、創価学会では「福運を受けて生まれてきた子供」という意味の「福子」(ふくし)とも呼ばれている。 特に、熱心な創価学会幹部の家庭に誕生した子供の中には、池田大作(創価学会名誉会長)から誕生時に「名前を付けて貰った」という場合もある。 なお、過去において日蓮正宗信徒団体の時代には、寺院において僧侶が読経した上で、入会する子供の額に巻物の形の本尊をかざすという「御受戒」の儀式が行われた。 しかし、一方で創価学会の非会員の親類などからは、本人の意思確認できない乳児(赤ちゃん)の時期に創価学会に入会させるのは子供への信仰の強要にあたる行為であり、日本国憲法第20条で保障している信教の自由を侵害しているとして非難されることもある。ただし、他の宗教でも乳児(赤ちゃん)の時期に宗教への入信は行われる。実例としてキリスト教のカトリック教会では、幼児洗礼(乳児期の入信)は奨励される傾向にある。ただし、キリスト教のカトリック教会の場合は、思春期以降に自身の意思で改めて信仰を表明する堅信の儀式がある。 学会活動に熱心な創価学会員の家庭においては程度に差はあるが、乳幼児期の1歳から2歳を過ぎた頃から、創価学会に関連する絵本・書籍や映像メディアの観賞、仏壇の「お水替え」や米飯の「お供え」の手伝い、仏壇の前において唱題の南無妙法蓮華経(法華経)の題目三唱して礼拝するなどの宗教教育を開始するのが一般的である。
※この「未来部の現状」の解説は、「未来部」の解説の一部です。
「未来部の現状」を含む「未来部」の記事については、「未来部」の概要を参照ください。
- 未来部の現状のページへのリンク