朝鮮半島の名前
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 01:25 UTC 版)
この朝鮮語のハングル文字には、一部のコンピュータや閲覧ソフトで表示できない文字が含まれています(詳細)。 「漢姓#朝鮮」、「朝鮮人の姓の一覧」、および「朝鮮人の人名」も参照 朝鮮半島の人名は中国の影響を受けて、典型的には漢字一字(まれに二字)の漢姓と、一字か二字の名からなる。特に、金・李・朴・崔・鄭の姓を持つ人は非常に多く、この5つの姓だけで、国民の約54%を占める。同じ姓でもいくつかの氏族に別れており、金海金氏が最も多い。 統一新羅の時代以前は今とまったく違う名前を用いていた。『日本書紀』や『古事記』に見られる朝鮮半島系の渡来人の名は中国式の名(当時の百済・高句麗などの非朝鮮系の人々は現在の中国人名とは異なる名前であったため)ではなかったことからもわかる。 例えば、高句麗王朝末期の貴族、淵蓋蘇文は今日の韓国では漢語発音で「ヨン・ゲソムン」と呼ばれているが、『日本書紀』の「伊梨柯須弥」という表記から当時の高句麗では「イリ・カスミ」と発音したことが知られている。「イリ」は高句麗語で淵を意味すると言われており、日本語の訓読みに類似した表記方法、「カスミ」を「蓋蘇文」とするのは漢語の発音を用いて高句麗語を表現した、日本の万葉仮名に類似した表記方法と考えられる。 現在の姓名体系は統一新羅の時代に中国式を真似たものである。姓は基本的には漢字一文字であるが、皇甫などの二字姓(複姓)も少数だが存在する。これとは別に、祖先の出身地(本貫)を持ち、同じ姓・同じ本貫(同姓同本)を持つ者を同族と見なす。この同族意識はかなり強固なものであり、かつては同姓同本同士の結婚は法的に禁止されていた(大韓民国民法第809条(英語版))。ただし、同姓でも本貫が違う場合は問題ない。現在、朝鮮半島内で最も多いのは金海金氏(釜山広域市付近の金海市を本貫とする「金」氏)である。族譜(족보)という先祖からの系譜を書いたものが作製・継承され、親族関係の象徴として尊重されるが、女性の名は族譜に記載されない。族譜は朝鮮王朝の時代に党争の激しくなったころから作られ始めた。日本の系図類と同様、族譜も初期の系譜は伝説に依拠していたり古代の偉人に仮託したものが多く、史料としての価値はさほど高くない。 名が漢字二文字の場合、同族で同世代の男子が世代間の序列を表すために名に同じ文字を共有する行列字(ko:항렬)という習慣がある。行列字は中国の輩行字と同様のもので、陰陽五行説に基づいて決められる。つまり「木・火・土・金・水」の入った字を順番に付けていく。たとえば、ある世代で「木」の入った字(根、桓)、次の世代は「火」の入った字(煥、榮)、次の世代は「土」の入った字(圭、在)……と続く。十干(甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸)、十二支(子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥)を使うこともある。ある世代で名前の漢字二文字のうち前の字を行列字にしたら、次の世代は後の字を行列字にする。 現在の韓国においては、漢字がほとんど使われなくなっているため、姓名もハングルで表記される。金ハヌルや尹ビッガラムなど、若い世代では名の部分に関して固有語をそのまま用いる例もある。 子は、中国の氏と同様、姓が父系の血統を表現するものであることから、当然に父の姓を名乗るものとされていた。しかし、2005年の法改正により、子は、父母が婚姻届出の時に協議した場合には母の姓に従うこともできるようになった。 なお、在日コリアンは、民族名(朝鮮半島式の姓名)のほかに日本式の通名を持っている場合が多い。原因としては創氏改名の名残、あるいは戦後の混乱期の様々な事情などによるものとされるが、在日コリアンへの差別が公に非難されるようになった社会の意識の変化により、エスニックなアイデンティティへの見直しが進み、通名使用は減少しつつある。[要出典]
※この「朝鮮半島の名前」の解説は、「人名」の解説の一部です。
「朝鮮半島の名前」を含む「人名」の記事については、「人名」の概要を参照ください。
- 朝鮮半島の名前のページへのリンク