明の琉球優遇策とは? わかりやすく解説

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明の琉球優遇策

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/21 02:49 UTC 版)

琉球の朝貢と冊封の歴史」の記事における「明の琉球優遇策」の解説

建国間もない明は、琉球に対して様々な朝貢優遇策実行していく。朝貢頻度について1372年以降洪武帝3年ごとに朝貢を行う、いわゆる三年一貢を朝貢原則定めた。しかし琉球に対して当初三年一貢の原則適用されることはなかった。洪武帝統治理念等をまとめた「皇明祖訓」には、琉球朝貢についてはいつ朝貢しても構わない朝貢不時」との見解述べられており、三年一貢の原則遵守要求されていた他国から見て極めて優遇されていたことは明らかである。 そして明は琉球朝貢時に使用する船舶下賜していた。明は琉球のみに船舶下賜していたわけではないが、琉球下賜され船舶洪武から永楽年間にかけて30隻に達し、しかも船舶修理明に依頼していた。これも他国比較して明らかな優遇受けており、明か下賜され船舶で、琉球朝貢のみならず東南アジア諸国朝鮮などを相手活発な貿易行っていった。 また中国朝貢を行う場合朝貢ルート固定することが原則であった琉球洪武年間泉州永楽年間以降は主に福州出入国場所となっていたが、実際に寧波瑞安出入国場所として利用しており、朝貢ルート固定されていなかった。これに関連して朝貢時には当局発給した勘合という割符照合手続きが必要であったが、琉球免除されていた。勘合照合手続き朝貢窓口一本化、つまりルート固定が必要となるが、勘合照合免除されていた琉球朝貢ルート複数持つことが可能であり、これもまた他国には無い優遇得ていた。 朝貢、そして貿易活動行っていくに際しては、海洋国である琉球場合船舶操縦したメンテナンス等を行う人材が必要である。その他にも必要とされる事務手続き通訳等を行う人材不可欠である。黎明期琉球には当然、そのような人材はまだ育っていなかった。明は琉球に対して人的支援行っていく。琉球には明か閩人三十六姓下賜受けたとの伝承があるが、その多く琉球形成されていった華人社会基礎となったもので、計画的に閩人三十六姓下賜され事実は無いと見られている。しかし琉球帰化するように明当局から命じられ琉球朝貢事務船舶運航携わるようになった事例確認されており、明からの人材提供は事実としてあったと考えられている。そして明は琉球人材育成にも配慮した1392年から琉球からの留学生三五郎亹らを国子監受け入れたのである国子監での琉球留学生の受け入れは、途中中断しながら1868年まで続けられた。 これほど優遇を明が琉球施した理由としては、以下が想定されている。明に琉球優遇通じて当時大きな政治問題となっていた、倭寇中心とする中国近海跋扈していた海上勢力への対処とともに東アジア全体見据えた外交関係安定化進め狙いがあった。倭寇禁圧に関して洪武帝はまず日本側の懐良親王足利義満直接働きかけることによって対処していく方針であったが、対日交渉当初難航していた。明は勘合等の朝貢制度整備するとともに海禁行い海防体制強化した。これは倭寇などの海上勢力による被害から中国沿岸人々を守るとともに沿岸住民海上勢力加入協力するのを防ぐ目的もあった。しかし海禁海防強化によって中国民間貿易従事者は生活の糧を失い、より困難な状況追い込まれることになる。放置すれば倭寇等に加入して更に海上勢力勢力拡大しかねない判断した当局は、新興国琉球目を付けた琉球は、倭寇始めとする海上勢力活動範囲圏内であった琉球勃興してきた中山山南山北いわゆる三山は、ともすると倭寇と結びついてしまう危惧を明当局抱いていた。そこでまず新興国琉球明との関係結んだ上で優遇し倭寇から切り離し図ったそのことによって東アジア全体安定寄与するとともに倭寇などの情報収集そして監視にも役立つと考えた。そして琉球中国民間貿易従事者活動拠点として活用することにした。琉球拠点として合法的な貿易活動従事させることにより、倭寇問題解決繋げようとしたのである。また明としては琉球対日外交窓口として利用したいとのもくろみもあった。 明は海上交通要衝にあった琉球とともに、やはり交通の要衝にあって通商国家色彩が強いハミマラッカ王国に対しても、琉球同様に強力なテコ入れ図っている。これは中国統一王朝として成立間もない明が自国通商ルート確立図り琉球ハミマラッカ王国対す手厚い援助行ったという共通事情があった。しかしやがて明の国力低下情勢変化に伴い琉球ハミマラッカ王国ともに明の支援後退し否応なしに政策体制の転換進められるうになる

※この「明の琉球優遇策」の解説は、「琉球の朝貢と冊封の歴史」の解説の一部です。
「明の琉球優遇策」を含む「琉球の朝貢と冊封の歴史」の記事については、「琉球の朝貢と冊封の歴史」の概要を参照ください。

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