日本国内での最近の研究動向
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/03 13:47 UTC 版)
「常温核融合」の記事における「日本国内での最近の研究動向」の解説
2009年8月には神戸大学 北村晃、大阪大学 高橋亮人らのグループによる荒田方式の追試実験が国際的な物理学の査読付き学術雑誌である「Physics Letters A」に掲載されるなど、少しずつではあるが著名学会誌に掲載されるケースも増えてきた。企業による研究は、1990年代に多くの日本企業が撤退したものの、その後も研究を継続した当時、三菱重工の岩村康弘グループ(東北大学特任教授、元・三菱重工)、アイシン精機(現:アイシン)の子会社である株式会社テクノバの高橋亮人(大阪大学名誉教授)と北村晃(神戸大学教授)のグループ、水野忠彦(水素技術応用開発株式会社、元・北海道大学助教授)のグループ、2000年代に入ってから新たに参入した豊田中央研究所のグループなどで、現在も研究が継続されている。 また、2014年4月8日には、日本経済新聞は前述の三菱重工の岩村グループが、「三菱重工業は重水素を使い、少ないエネルギーで元素の種類を変える元素変換の基盤技術を確立した。」と報じた。同紙はさらに、『同社の研究に協力した独立行政法人物質・材料研究機構の西村睦水素利用材料ユニット長は「現在まだ解明されていない新種の元素変換反応の可能性を示唆している」としている。トヨタグループの研究開発会社、豊田中央研究所(愛知県長久手市)も元素変換の研究を続けており、成果が出ているようだ。』と報じている。 さらに、2015年4月1日に東北大学と株式会社クリーンプラネットは、凝集系核反応によるエネルギーを利用した新しいクリーンエネルギーの実用化を目指す応用開発研究に取り組むために、東北大学電子光理学研究センター内に2015年4月1日に「凝縮系核反応研究部門 クリーンエネルギー研究開発センター」を設立した。安全かつ強靭な次世代型エネルギー社会の実現に向けて、「飛躍的にクリーンかつ安全なエネルギー生成技術を開発することで、我が国の産業構造に大きな変化をもたらす可能性を追求します。」と、東北大学からのプレスリリースの中でうたっている。笠木治郎太(東北大学名誉教授)、岩村康弘(東北大学特任教授、元・三菱重工)、菊永英寿(東北大学准教授)、伊藤岳彦(東北大学客員准教授、株式会社クリーンプラネット、元・三菱重工)、水野忠彦(水素技術応用開発株式会社、元・北海道大学助教授)、吉野英樹(東北大学共同研究員、株式会社クリーンプラネット)が当共同研究部門の研究者として名を連ねている。凝縮系核反応を掲げた大学の研究部門は、当研究部門が日本国内初となる。同研究部門は、内閣府の進める革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の一環として、「核廃棄物除染研究プロジェクト」にも取り組んだ。 2018年、国立研究開発法人NEDOのエネルギー・環境新技術先導プログラムへの成果報告で、神戸大学の発熱量評価装置、東北大学の新設発熱量評価装置および九州大学のDSCを用いた共同試験を全16回実施し、同一試料、条件での発熱実験において、同様な発熱データが得られ、本発熱反応の実在と再現性を確認することができ、積算過剰熱量は数MJ/mol-H(D)(最大3.6GWh/kg)以上であり、既存化学反応の10,000倍以上のエネルギーであり既存の化学反応では説明できない現象であることを明らかにしたと報告した。また、世界的にガス吸蔵法が主流となっているとされる。 株式会社クリーンプラネットは、2018年に100wモデルを完成させ、2021年5月に1kW相当の過剰熱を長期的に発生させるプロトタイプを試験運転している段階である。クリーンプラネットのシステムは、比較的安価なニッケルと銅と軽水素を用いる。具体的には14nmのニッケルと2nmの銅を多段に積層したチップ(発熱素子)を真空状態に置き、軽水素を封入して加熱すること、ニッケルと銅の積層膜内を水素原子が表面に向かって拡散し反応が誘発され、加熱に用いたエネルギー以上の発熱を長時間放出するシステムである。基礎実験では、一度の水素の吸蔵で900度以上の発熱が120日以上継続したとされる。また、2021年9月28日に三浦工業と共同開発契約を締結し、工場やビルの冷暖房などで使う高温蒸気を発生させるボイラーを想定して製品化を進めている。常温核融合を利用した世界初の製品として、注目が集まっている。
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