日本における東洋史とは? わかりやすく解説

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日本における東洋史

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/16 04:21 UTC 版)

東洋史」の記事における「日本における東洋史」の解説

日本における東洋史の概念は、帝国時代1868年1945年)に成立した目されている。ヨーロッパならった高等教育機関設置の際、歴史学分野国史東洋史西洋史三部門に分けられた。徳川時代1603年1868年)までは、漢学の中で中国朝鮮など東北アジア歴史研究が行われており、これが帝国時代になると近代的大学制度包含されるときに東洋史分類された。ここに日本における東洋史の複雑な性格生まれることになる。 すなわちヨーロッパ意味合いをもつ「東洋史」と従来日本中国史中心とする東アジア史複合する歴史分野となったのである(ただし、中東史中でも、特に、メソポタミア古代エジプト文明中心とした古代オリエントから、アレクサンドロス大王東征ヘレニズム世界成立ローマ帝国による中東支配キリスト教成立とその普及ローマ帝国分裂後東ローマ帝国サーサーン朝抗争時代まで、即ちイスラーム成立以前歴史は、ヨーロッパ古代ギリシア史・古代ローマ史と相互に関連しまた、キリスト教成立普及の歴史とも関連している。史料も、ヘロドトス『歴史』どのようにギリシア語ラテン語文献に基づくことが多いために日本では東洋史枠組みには入らず考古学西洋史枠組みに入ることが多い)。もちろん日本においては東アジア史研究蓄積人材圧倒的に分厚くインド中央アジア西アジア、北アフリカについては第二次世界大戦前までほとんど顧みられことなくわずかにヨーロッパにおける研究移入されるなど細々行われたに過ぎなかった。結果的に東洋史とは中国史中心とする非西洋、非日本の歴史分野全般を扱うものとなったのである東京大学京都大学及び、帝国時代東方文化学院東西2ヵ所の研究所流れをくむ東京大学東洋文化研究所京都大学人文科学研究所研究の中心となってきた。代表的研究者那珂通世内藤湖南白鳥庫吉桑原隲蔵羽田亨宮崎市定などがいる。資料収集という面では世界最大規模東洋学関連資料をもつ東洋文庫京都大学人文科学研究所附属漢字情報研究センター旧称・同 東洋学文献センター)が代表的である。 エドワード・サイードによるオリエンタリズム論の登場以降、「東洋」という枠組み問題とされるに従って日本でも東洋史」は自明存在とはみなされなくなった従来東洋史」として一括された歴史東アジア史東南アジア史、中央アジア史西アジア史北アフリカ史などの地理的地域史イスラーム世界史、インド洋世界史中央ユーラシアのような概念的地域史枠組みへと移行しつつある。もはや「東洋史」は学問的枠組みというより、大学における講座学会名などで伝統的に引き継がれている名称となりつつあるといってよい。 しかしながらオリエンタリズム問題点はあるが、日本での東洋史という広い枠組みは、各国史や狭い意味での地域研究集中しがちな研究者に広い視野与えたことは積極的に評価できる中国史中心とする東洋史研究訓練を受けつつ、西アジア中央アジア方面に目を広げた前嶋信次護雅夫らは、日本中央アジア史イスラーム研究の祖ともいえるべき存在となっている。このように日本の東洋史という枠組み各国史に留まらない大きなスケール歴史像形成貢献してきた。現在、日本世界レベル研究水準をもつ中央アジア史モンゴル帝国史は、漢文史料同時にペルシア語アラビア語史料用い必要があるが、これらの史料同時に扱える研究者輩出されたのも日本における東洋史の複合性が関与していることは明らかである。

※この「日本における東洋史」の解説は、「東洋史」の解説の一部です。
「日本における東洋史」を含む「東洋史」の記事については、「東洋史」の概要を参照ください。

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