放送格差(日本)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/01 16:56 UTC 版)
放送の中でも、特に都道府県および市・町・村単位で見た地上波の民放におけるチャンネル数の格差のことを指す。 基幹局とその系列、および県域局を加えた地上波民放テレビ局の数は、各都道府県あたりの放送対象地域でみた場合、次のようになっている。()内は県域局。 関東広域圏(東京都・千葉県・埼玉県・群馬県・栃木県・神奈川県)は6局(TOKYO MX、チバテレ、テレ玉、群テレ、とちテレ、tvk) 北海道・茨城県・中京広域圏・近畿広域圏・瀬戸内準広域圏・福岡県は5局(ぎふチャン、テレビ愛知、三重テレビ、びわ湖放送、KBSテレビ、テレビ大阪、サンテレビ、奈良テレビ、テレビ和歌山) 岩手県・山形県・宮城県・福島県・長野県・新潟県・静岡県・石川県・広島県・愛媛県・長崎県・熊本県・鹿児島県は4局 青森県・秋田県・富山県・山陰準広域圏・山口県・高知県・大分県・沖縄県は3局 山梨県・福井県・宮崎県は2局 徳島県・佐賀県は1局(それぞれ近畿広域圏、福岡県からのスピルオーバーにより受信可能エリアあり) ただし、放送対象地域内でも中継局が整備されていない場合もあり、必ずしも全ての市・町・村(特に山間部)および離島で民放の局が受信できるとは限らない。逆に、スピルオーバーにより、一部のエリアでは隣接する都道府県の民放を受信できることがある。ケーブルテレビやかつてのデジタル放送の分野においても、同様の地域格差があり、重大な放送格差である。また、新規テレビ局の開局は2011年の地上デジタル放送への完全移行後も現時点では予定されていないが、新たな難視聴が発生している地域および放送対象地域内でありながらアナログ未開局でカバーできていなかった地域における中継局の開局は現在も続いている。 全国をあまねく網羅する衛星放送・衛星デジタル放送により、放送に関する格差はある一定のレベルについては解消されつつあるが、経済的な理由で地上波しか視聴できない(BS・CS放送の機器を導入していない)家庭が半数を占めているうえ、地上波が主である以上、現在地上波とは番組編成が異なる衛星放送では単にチャンネルが増えるだけであり、視聴できない全国放送の番組のほとんどが現状ではなくなる訳ではなく、また集合住宅問題として何らかの理由により衛星アンテナが設置できない問題や、衛星波のある、南西向きの方角に山やビルなどの障害物があるため受信できない問題は「起伏の激しい山村」や「中高層住宅の並ぶ都市部」で残っている。また地上波テレビも民放テレビ全国四波化等の政策によりある一定のレベルについては解消されてきたものの、様々な理由から民放テレビ局の新規割り当てそのものが行われなかった地域や割り当てられた周波数が取り消された地域も発生している。そのため、いまだに情報格差の是正には至っていない。 ケーブルテレビは地方部の多くの自治体により、地上デジタルテレビ放送は国により強力に推進されているため、地方でも若干ながら地域格差の解消は進むとは考えられるが、それでも「国内全ての市・町・村や離島が網羅されない」ことと、デジタル化を機に「民放連ならびローカル局などによる区域外再放送の原則禁止や、同意の拒否」などの放送利権の行使で、今まで視聴できていた他県の放送局が今後見られなくなる恐れがあるなど、特にケーブルテレビについては(サービスエリアの対象が市・町・村単位であるため)今後ますます地域格差が広まることが懸念される。ケーブルテレビの区域外再放送の禁止についても事業者側と民放連との部分合意により、実際は各放送局の権限に任せられているため、上記のような事例もあるものの、一部では各放送局の同意や大臣認定などで問題が解決されつつあるところもある(特に民放が3局以下の地域で多い)。ケーブルテレビなどで受信する中継局のない地域で、ケーブルテレビなどの契約を行わなければ、本来の地域の放送局の放送を見ることができない場合がある。 また、デジタル化ケーブルテレビや、光CATV(放送系光ファイバー、光放送)などのために必要な光ファイバー基盤(FTTH、FTTx)にしても前述の推進はあるとはいえ、不採算を理由に離島や過疎地での提供を忌避し、都市部に優先される傾向があるため、サービス展開上でも地域格差が生じている。 日本では番組制作会社の力が弱く、番組の著作権を放送局が所有することが多いため、娯楽番組など嗜好性の高い番組がCSなどの専門局へ(外国のようには)移行せず、在京キー局中心の番組供給体制であることが格差につながっている。
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