操舵台車・ラジアル台車とは? わかりやすく解説

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操舵台車・ラジアル台車(輪軸操舵機構つき台車)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/02 01:42 UTC 版)

鉄道車両の台車」の記事における「操舵台車・ラジアル台車(輪軸操舵機構つき台車)」の解説

操舵台車輪軸操舵機構により輪軸方向変えて曲線スムーズに通過できるようにした台車である。普通の台車車体に対して回転することにより曲線区間滑らかに通過することができるが、それでもなお1台車2輪軸は一定間隔ホイールベース)を保って平行に支持されているため、輪軸レールが完全に直角にはならず車輪とレールとの間にアタック角攻撃角とも。レール円弧接線車輪進行方向のなす角度。)が発生して車輪のフランジレール磨耗させるだけでなく騒音(きしり音やゴロゴロ音)を発生させる。もし、各々車軸延長線レール曲線中心曲線半径中心)を通るように変位させることができればアタック角が0となり、車輪のフランジレール磨耗が一層少なくなり騒音発生抑え、さらにスムーズに通過することができるようになるこのため単台車において、2つ輪軸それぞれ左右に備わる軸箱をクロスアンカーリンクでたすき掛け結合し台車枠と軸箱の位置関係可変させることで曲線通過時の横圧低減目指すラジアル台車研究開発されるなど、比較早期から自己操舵アイデア注目されていた。だが、この方式はラジアル台車機構ボギー台車応用して1970年代実用化された南アフリカシェッフェル台車などを含め一般に軸箱の前後方向支持剛性意図的に低下させることになる。この点は1980年代カナダのバンクーバー実用化されたスカイトレインMark I操舵リンク方式でも同様で、高速走行時には支持剛性決定的に不足し蛇行動発生しやすくなるという、致命的な弱点抱えていた。 そのため、1台車の中で完結する自己操舵機構高速鉄道向けとして実現するにあたっては、直進時の軸箱について前後支持剛性確保と、曲線通過時の前後支持剛性低減による操舵性能確保という、矛盾した要素両立強く求められた。さらに、日本では自然振り子式車両導入本格化に伴い曲線区間での横圧の軽減軌道保守観点から特に強く要求されるようになり、自然振り子式組み合わせることを主眼とした自己操舵台車研究開発本格化した。この点についてある程度解決見られるようになったのは1980年代中盤入って以降のことで、まず1986年日本の国鉄がDT953形台車として、制御付き自然振り子同様に軌道曲線情報をあらかじめ制御装置記録しATS地上子による位置情報速度情報から曲線進入検知油圧により強制自己操舵を行うという方式開発381系電車装着して本線走行試験が行われた。 この方式はただちに実用化されることはなかったが、こうした実験データ蓄積その後の研究進展で、1台車2組ずつ備わる輪軸いずれか一方の軸箱と台車枠水平面における位置関係固定とし、一方のみを操舵可能とすることで曲線直線双方での特性両立可能な見通しが立ち、1990年代以降JR東海383系電車皮切りに日本JR各社中心に制御付き自然振り子車と組み合わせる形で自己操舵台車導入するケース増えている。 このほか、リニアモーター地下鉄車両ではその構造上、一般的な回転式電動機駆動装置接合部不要であることから操舵機構用いた台車採用されており、軸箱に積層ゴム用いることで自己操舵機構を持つ台車使用されている。 現在実用化されているのは以下の各種である。 各ボギー台車に備わる軸箱の一方について支持剛性柔らかい設定とする方式JR東海383系電車車体端側軸箱を柔支持) 各ボギー台車の両軸箱をリンクで結合して変位可能とし、各車軸変位角を均等にする方式スイス国鉄Re460形、BLS AGRe465形(枕木に対して車軸最大4度まで変位半径300m曲線で104km/hでの走行が可能、最高速度230km/h) 台車前後主電動機および吊り掛け式駆動装置輪軸全体台車中心付近ピボット中心にして曲線あわせて台車枠に対して転向する方式スイス国鉄Re450形(最高速度130km/h)、スイスモントルー・オーベルラン・ベルノワ鉄道GDe4/4形など 台車前後主電動機および吊り掛け式駆動装置輪軸全体台車中心付近ピボット中心にして曲線あわせて台車枠に対して転向するのに加え、さらに前後主電動機駆動装置輪軸をリンクで結合して2軸の車軸変位角を均等にする方式スイスレーティッシュ鉄道Ge4/4III形モルジュ-ビエール-コソネイ地域交通Ge4/4形モントルー・オーベルラン・ベルノワ鉄道Ge4/4形(1m軌間設計最高速度120km/h)など 曲線区間車体に対して台車回転すると、車体台車位置関係変化リンク機構により輪軸伝え両輪軸の延長線曲線中心に指向するように角度与えられる方式JR北海道キハ283系気動車東京メトロ1000系電車車体中心側軸箱のみ操舵台車そのもの転向制御する方式スイス国鉄Re420形・Re620形など1960 - 80年代スイス多く電気機関車小田急50000形連接台車など 383系電車のC-DT61形台車。軸箱を支持する軸ばね上部構造左右異なっている(向かって右側の軸箱が柔支持となる)ことに注意 キハ283系気動車のN-DT283形台車中央の枕ばね下部から左右の軸箱に伸びるリンクに注意

※この「操舵台車・ラジアル台車(輪軸操舵機構つき台車)」の解説は、「鉄道車両の台車」の解説の一部です。
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