帆船の戦術とは? わかりやすく解説

帆船の戦術

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/12 04:45 UTC 版)

帆船時代の海戦戦術」の記事における「帆船の戦術」の解説

帆船時代の海戦戦術は、主にその当時帆走軍艦帆走技術戦闘能力によって決定される帆船指揮官提督)がその艦隊命令下せることの中で特に3つの制約的な要素がある。 すべての帆船がそうであるように、キール利用したとしても帆走軍艦風上向かって45度より小さな角度ではほぼ帆走できない横帆中心高速船場合はとくに速度低下顕著である。このことが、接近戦での艦隊操縦性制限していた。 当時の船は2つ大きな砲座、すなわち左右舷側に砲を配置しており、艦首方向艦尾方向発射できる砲はわずかしか搭載していなかった。帆走軍艦は両舷は強靭強力だが、艦首艦尾脆弱だった。舷側は強い木材作られていたが、特に艦尾には士官用船室の大きな窓などがあり、脆い構造になっていて、縦射弱かった敵艦艦首または艦尾から縦射することによって砲弾が艦の全長わたって飛び抜けることになり、またその場合には舷側砲火で反撃することもできなかったからである。 海上での情報連絡難しさである。艦隊同士での文書での連絡航行中不可能であり、声を出して伝えることは風の音気象のせいで困難であった。そこで提督達はあらかじめ決められ旗旒信号旗艦掲げ方法に頼らざるを得なかった。しかしながら信号旗戦闘時硝煙確認できないという問題含んでいた。 15世紀には、真の航洋軍艦であるマン・オブ・ウォー(man-of-war、武装帆船)が開発された。これは複数マスト大小さまざまな横帆おうはん)を備え風上に切りあがることができ、また大砲重武装していた。中世末期までは、対人用の兵器艦首または艦尾の上位置していたが、重い大砲採用によって、転覆の危険を避けるために船体の低い位置装備する必要が生じた。このことは、以前なら軍艦と商船兼務できた船の内部を、大砲弾薬満たすということ意味しており、軍艦特化した船の出現促すものであった。これはまた、その都度用船するのでなく、艦隊として常設されたものの出現つながっていった。マン・オブ・ウォーは風のない沿岸部での作戦除いてそれまでガレー船に取って代わった。帆走のマン・オブ・ウォーの開発と、それにより大きな船団が長期間航海できるようになったことが、古い海戦戦術革新を必要とした。 推進力風に頼っている船では衝角戦術を取ることはできない衝角攻撃のためには好適な風を受けて前進する必要がある。風が弱けれ効果期待できず、風下側から不可能である。その場合に利用でき、スペイン人長く用いてきた戦術は、船首を敵の横腹ぶつけて戦闘員敵船甲板侵入する移乗攻撃だった。このような攻撃をするためには、風上位置取り追い風受けて横陣突き進むことになる。しかし、風下の敵もこの向き変えればこの攻撃をかわすことができ、また舷側砲で敵の艦首破壊することができた。 組織重要な革新が、サー・フランシス・ドレークによってなされた軍艦は、彼のリーダーシップの下に、掌帆長、航海長、掌砲長、海兵隊長らによって構成される一種委員会によって階級的統率された。ドレーク専門知識持たないものがその「委員会」に加わることを認めず、艦においては社会的な地位と関係なく、その技能経験によって裏打ちされ艦長命令唯一絶対のものであるという原則確立した。この革新は、帆船時代スペイン海軍で実現されず、その時代を通して紳士」による妨害が行われ続けた革命フランス海軍では、十分な経験訓練積んでいない水兵昇進させるという、それとは逆の愚行が行われた(それは陸軍においても同様だった)。イギリス海軍では、それと対照的に中流階級出身多く優れた指揮官輩出した。それはたとえばホレーショ・ネルソン牧師息子)、ジョン・ジャーヴィス事務弁護士息子)またはコリンウッド肉屋息子)などであり、トマス・コクランのような貴族出身者対等活躍をした。しかも、まれな例ではあるが、ジョン・ベンボウ(enのような労働者階級出身者までいた。

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