山容・登山
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/15 18:07 UTC 版)
如意ヶ嶽・大文字山界隈はハイキングコースとして人気がある。山頂までは様々なルートがあり、また京都市から大津市まで踏破することも可能であり、鉱物収集コースとしても有用なものである。特に火床からの京都方面の眺望は素晴らしいものであり、「京洛第一」との呼び名もあり、送り火が行われる五山の内、他の四山を全て眺めることができる。山頂からは天候が良ければ大阪の高層ビルや、遠く木曽御嶽山などを視認できる場合もある。 一帯はレクリエーションの森(東山風景林)、第一種風致地区、大文字山歴史的風土保存地区、東山鳥獣保護区、風致地区特別修景地域(おおよそ慈照寺から火床にかけて)などに指定されており、市内から火床を見て向かって左手、銀閣寺山または月待山を中心とする23.89ヘクタールについては銀閣寺山国有林となっている。 京都側からの主な入山口は、慈照寺の北側、浄土院、八神社(後述)および行者の森石碑辺りからのもの。眺望の良い火床までは30分程度。大文字山山頂まではさらに20分程度。『フィールドガイド大文字山』によれば、山頂まで90分程度。「大」の字の左側に出るかたちである。砂防ダム、千人塚(後述)を経由し「大」の字の左手に到達。大文字山頂まではいましばらくの距離がある。大文字山山頂を越えて、しばらく東に歩を進めると「四つ辻」に到着する。 鹿ヶ谷霊鑑寺、瑞光院(浪切不動)付近からも入山が可能で、園城寺に至る道は如意越と呼ばれた。崇徳上皇や以仁王などが用いたゆかりがあるほか、合戦にまつわり言及されることがある。このルートは千人塚近辺で慈照寺からのルートと合流することもできるが、そちらと比較すると若干きついルートであるという。また慈照寺からのルートに合流せず登り続けると、如意寺由来の楼門の滝(楼門の瀑布、または如意滝。高さ約10メートル)がある。さらに登ると、1935年9月または1944年に「平家物語」などに因んで祇園十二段家西垣精之助により建てられた高さ3メートルの石碑、「俊寛僧都忠誠の碑」がある。周辺に桜も数百本植えられ「瓶子桜」とも言われたが、1957年には既にその数をかなり減らしているという。また、碑の下には硫黄島の石も埋められた。また近辺の谷は俊寛らの談合に因んで「談合谷」と呼ばれ(鹿ケ谷の陰謀も参照)、これについても石碑が建てられている。このルートは火床は通らず、大岩(奇石)を経由し大文字山山頂より東の「四つ辻」に到着するかたちである。 南禅寺付近、蹴上の日向大神宮からの入山は脇道が多いが、これは「京都一周トレイル」の東山ルートでもあり、道標が 完備されているため、安心してハイキングを楽しむことができる。このルートも火床は経由せず、一旦は京都から見て裏手になる「四つ辻」に到達する。標高差は約413メートル。慈照寺付近に下山するとすれば、行程はおおよそ3時間ないし3時間20分程度である。 京都側からの以上3つの登山道は大文字山東方「四つ辻」近辺で一旦合流し、大津側へ向かうのであれば、改めてさらに東に分け入る形となる。 山科からの入山は山科駅北方、山科川の上流安祥寺川のほとり、毘沙門堂付近からのものなど。途中で南禅寺・蹴上ルートと合流し四つ辻に至り、毘沙門堂から大文字山山頂までは約90分。 大文字山山頂および「四つ辻」東はおおよそ、「雨神社」(雨社大神)を通過し如意ヶ嶽山頂に至る。ただし山頂には大阪航空局大津航空無線標識所があり、立ち入りは制限されている。なお「雨神社」から北へ向かうと「池ノ谷地蔵」(後述)、「薬草園」があり、その北方は比叡平である。この付近から南東へ向かえば山科盆地(大津市藤尾近辺)へ、東にルートを取ると滋賀県大津市に入り、皇子山カントリークラブ近辺を経由し、長等山-園城寺に至る。 大文字山では、2017年に10件、2018年に9件の遭難が発生。2014年-2016年の2件から増えた。京都観光や登山の人気が高まり、軽装で入山する人が増えた影響が指摘されている。大文字山は送り火の火床が京都市街から見える近さであるものの、脇道や山塊の連なりで方向感覚が狂いやすい箇所も多く、注意が必要である。
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