小説としての08/15とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 小説としての08/15の意味・解説 

小説としての08/15

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/04/22 14:56 UTC 版)

08/15」の記事における「小説としての08/15」の解説

三部作通じてのキルストの視点は反ナチズムというよりは反軍隊であり、それぞれに登場する敵役的キャラクターは、いずれも親衛隊ではなく国防軍将兵である。 この小説出版された時多く書店取扱い拒否した。それは当時アデナウアー首相の下で無任所大臣であったフランツ・ヨーゼフ・シュトラウス唆したためである。「連邦軍国防軍伝統引き継ぐべきである」という彼の信念と『08/15』は相容れなかったのであった。 キルストとシュトラウスは共に中尉時代アルテンシュタット(バイエルン州)の第4高射学校勤務していたことがあるが、互いに激し嫌悪感抱いていた仲であり、戦後至って対立続いていた。 当時ドイツでは再軍備に対しての是非論争が盛んであり、この『08/15三部作反対派象徴となった最初書店に並ぶ数は多くなかったが、結局ベストセラーになった。 "08/15 in der Kaserne" 『八/一五 兵営の巻』(邦訳櫻井正寅櫻井和市第二次大戦勃発直前ドイツ国防軍のある砲兵中隊兵営での物語である。自身志願兵砲兵であったキルストの体験から、下士官や兵たちの訓練風景兵営生活が生き生き描かれている。三作通して主人公はヘルベルト・アッシュ。本作では上等兵である。戦友フィアバイン砲手対す新兵いじめなど、どこの国の軍隊にでもいそうな理不尽な下士官無定見将校たち。アッシュ上等兵はそんな軍隊不条理に一人反抗していく。本作の裏主人公と言えるのは中隊最先下士官シュルツ先任曹長である。その妻とともに単なる憎まれ役上の細かい性格づけがなされている。 "08/15 im Krieg" 『八/一五 戦線の巻』(邦訳藤村宏・櫻井和市第二次世界大戦始まりアッシュたちの砲兵中隊東部戦線へ。主な舞台戦場であるが、本作では戦闘描写よりも、前進車両陣地様子物資調達の「神様」、そして慰問団など戦場での生活が第一作同様細かく描かれている。本国から転勤して来た、実戦経験がないために戦功章を狙っている新任中隊長混乱巻き起こすアッシュ今や軍曹となっていて、この栄達しか頭にない中隊長対決する他方鉄十字章受章の砲班長となったフィアバイン伍長機材受領のため故郷補充大隊派遣されるが、そこで中尉特進していたシュルツ先任曹長に捉まってしまう。泥濘戦場と、のんびりした日常続いていた本国との対比描かれている。 この、「本国から転勤して来た、実戦経験がなく戦功章を狙っている新任中隊長」がサム・ペキンパー監督『戦争のはらわた』設定とそっくりであるとして映画公開当時話題になったことがある。 なお、この巻に限り現在のドイツ語版原作ある戦争実相描いた部分数か所が、1955年初版三笠書房版には欠落している。 "08/15 bis zum Ende" 『八/一五 終戦の巻』(邦訳城山良彦櫻井和市1945年戦線崩壊し戦場故郷へと迫る。第三作の舞台は再び本国のかつての砲兵中隊駐屯地である。戦争末期混乱乗じて抜け駆け利益得ようとするハイエナのような二人将校登場する。しかも彼らは多く兵士を情容赦なく処断してきた、即決軍法会議構成員のである今は少尉になったアッシュは彼らを追及する上等兵であった時と同じくあくまでも自らの信念基づいて不条理戦おうとするアッシュ。やがて米軍兵営占領しCICつまり米軍諜報部隊が君臨する本作終戦直後ナチズム信奉者であったとの誹謗によって9ヶ月米軍収容所収監され作者の、敗戦後まだ10年経過していない時点でのドイツ戦後対す思い現れている。敵役二人将校いわゆるナチスの代表である親衛隊将校でなく「親衛隊とは異な真の愛国者たち」と賞賛される国防軍将校であり、米軍犯罪者抵抗運動者を誤認し大尉まで登り詰めたシュルツの妻は新し支配者媚を売る三部作の中で最もシニカルな筆致書かれているのが本作である。1955年この作品映画化された時、敵役二人将校SD親衛隊保安部)の将校変えられていた。再軍備ドイツ連邦軍創設当たって旧国防軍に対す配慮があったものと思われる

※この「小説としての08/15」の解説は、「08/15」の解説の一部です。
「小説としての08/15」を含む「08/15」の記事については、「08/15」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「小説としての08/15」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「小説としての08/15」の関連用語

1
10% |||||

小説としての08/15のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



小説としての08/15のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの08/15 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS