小説と戯曲の違い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/17 19:29 UTC 版)
「にんじん (小説)」の記事における「小説と戯曲の違い」の解説
小説と戯曲の大きな相違点は、小説では母とにんじんが愛情で通じ合う場面を山場として物語が締めくくられるのに対して、戯曲では父と子の葛藤を主題として書かれていることがある。小説では母親とのやりとりが中心で父親の影は薄かったが、戯曲では物語の大半がにんじんと父親の会話で構成されている。 また、戯曲は一幕物と短いため、登場人物はにんじん、ルピック氏、ルピック夫人、アネットの4人に絞られている。アネットは戯曲にだけ登場するルピック家にやって来たお手伝いであり、その一方で小説でそれなりに登場していたにんじんの兄フェリックスは会話でしか登場せず、姉のエルネスチーヌは一切出てこない。 にんじんの本名が「フランソワ」だということは戯曲を元にした映画やミュージカルの紹介などにも書かれているため、一部では知られた事実である。しかし、小説では「フランソワ」というにんじんの本名は一切登場せず、その後に書かれた戯曲で初めて登場したものである。光文社古典新訳文庫版の翻訳を担当した中条省平は、映画『にんじん』(戯曲版をもとに作られた)でにんじんの本名が出てくることについて、「本名をつけられないから「にんじん」なのに。」と述べている。
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