公開当時
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/26 03:39 UTC 版)
映画批評家の服部弘一郎は、『鯨捕りの海』に登場した幾人かの捕鯨船の引退した元砲手らが「捕鯨の話をするときの表情は生き生きと輝き、捕鯨禁止措置について話が及ぶと、その表情がみるみる曇ってしまう」のが印象的だと語り、自らの意志ではなく、国際捕鯨委員会の捕鯨禁止(商業捕鯨モラトリアム)によって仕事を奪われ、二度と職場に戻れない砲手たちに同情した。また、この問題は労働問題でもあり、捕鯨の禁止によって労働者が雇用を奪われたと解釈する労働系の新聞は、『鯨捕りの海』に登場した元砲手が「欧米の主張はなんの根拠もない感情的なものだ。二十頭の群れであっても実際に捕ることができるのは一頭だけ。ミンク鯨は確実に増えている。欧米の主張を受け入れたために、大勢の鯨捕りが生活の場を奪われた」と(労働者として)怒ったことを記事に書いている。 更に、服部は、『鯨捕りの海』はクジラと人間のかかわりがテーマだと考え、また、「大型捕鯨船を使った商用捕鯨は禁止されたものの、そのノウハウを使った調査捕鯨は現在も行われている。それを「実質的な商用捕鯨の隠れ蓑」と評する人々も世界中に数多くいる。しかしこの映画を観れば、そうした批判がいかに的外れなものであるかがよくわかるはずだ。」と述べ、調査捕鯨で仕留めたクジラの体の部位のすみずみまできちんと利用する日本の捕鯨文化では、調査のサンプルの残りを有効に活用することができる文化だと映画は示したと解釈した。
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