大会の運営
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「ワールド・ベースボール・クラシック」の記事における「大会の運営」の解説
大会の勝ちあがり方法については、第1回大会では、第1ラウンド、第2ラウンドで4チームによるリーグ戦を実施したが、2次リーグA組で日本、アメリカ合衆国、メキシコが1勝2敗で並び、失点率で日本が2位となり、準決勝に進出した。得失点を含めて順位を決定するのは他のスポーツでも行われることであるが、野球の場合はコールドゲームがあったり、延長戦やサヨナラがあったり、後攻めがリードの場合には9回裏がないなど得失点の機会に不均衡が生じるため、単純な得失点数で順位を決するには都合が悪い。そこで第1回大会では順位決定に失点率が採用されたが、この大会の2次リーグA組でメキシコが準決勝に進むためには、最後のアメリカ戦で「延長13回または14回までアメリカを0点に抑えかつ自らも延長13回または14回まで無得点で進行しいずれかの当該回においてサヨナラ3ランホームランかサヨナラ満塁ホームランで勝利(2次リーグは延長14回まで、またメキシコはこの試合で後攻)」という非現実的な条件が必要となった。第2回大会では、第1回大会の反省から、ダブルイリミネーション方式を採用した。そのため、展開によっては大会を通じて同一カードが最大5度もある可能性があり、実際に日本対韓国の対戦は5試合行われた。その他のカードでも複数回の対戦が目立ち、対戦カードに新鮮味がないと指摘された。松坂大輔のように、出場した選手側からも組み合わせを批判する声が上がった。 運営組織については、オリンピックのIOC(国際オリンピック委員会)、サッカーW杯のFIFA(国際サッカー連盟)のように、国際大会は世界を束ねる中立的な立場の組織が主催することが多いが、WBCの場合は一国のプロリーグであるMLBの機構・選手会が共同出資して作った運営会社が開催しているため、中立的な運営がなされていないのではないかとの意見がある。このこともあり、開催国もほかの世界選手権競技のような開催国・大陸持ち回りではなく、アメリカが中心の複数国共催となっている(後述)。 大会参加国については、過去2回の大会は予選なしで招待された16ヵ国が争う形式であるが、南アフリカ共和国や中華人民共和国のように、本国での野球の認知度が低く、参加国間のレベルの差が指摘されている。第3回大会では、参加国を28ヶ国に増やし、1次ラウンドの前に予選を行ったが、国内に野球の本格的なプロリーグが存在する国は既に全て参加してしまっているため、新規参加国はセミプロないしアマチュアレベルの国が中心となり、新参加国とアメリカ、日本などの強豪国との大きなレベルの差が指摘されている。 開催地については、第1回・第2回の大会では、第2ラウンド以降を、第3回では決勝ラウンドをすべてアメリカ合衆国で開催してきたが、前述のようにアメリカよりWBCに対する関心が高い日本や韓国で開催すべきだという意見がある。しかし、第2回の時点では大会運営部は「(第2次ラウンド以降の)日本開催の可能性は常にある」としながらも、集客力の観点から現時点での開催地変更には否定的である。第3回では第2ラウンドの一部を日本で行った。 収益は大会運営会社のWBCインクに一括して集められるが、集地域別の一番の大口スポンサーは日本であり、収入の半分以上はテレビの放映権料・冠スポンサー料といった「ジャパンマネー」だとされている。大会収益の分配について公式的に明らかにされていないが、2009年大会の場合、優勝を争った日本と韓国はそれぞれ 13%、9% に過ぎない一方で、アメリカだけで 66%(MLB機構とMLB選手会が3分の1ずつ)を占有したと報じられている。これについて二宮清純は、「WBCはメジャーリーグのマーケットを拡大し、新しい収入源を獲得するための大会。『真の世界一を決める大会』とのうたい文句はタテマエに過ぎない」などと指摘している が、大会の収支が赤字だった場合には主催者が全額補填することとなっている上、MLBが利益を得る仕組みが無ければメジャーリーガーの参加は期待できず、大会を開催する意味がないとされる。他競技ではバスケットボール世界選手権がNBAも参画してWBCを模した運営方式となる事が計画されている。 代表チームにつくスポンサーからの収入と、代表グッズのライセンシング料がそのまま参加国に入るよう、WBCインクにスポンサー権とライセンシング権の譲渡を求めている日本プロ野球選手会は、2011年7月22日、名古屋市で臨時大会を開き、交渉の結果次第では第3回大会に出場しないことを全会一致で決議した。NPBは、選手の出場給や傷害保険料、合宿費用などの支出が大きく採算が取れない状況で、選手会は「現状では優勝してもリーグや球団に利益はなく、選手派遣のリスクを負うだけだ」と説明しており、12球団のオーナーも同調したところ、MLB側は回答期限を9月30日までと設定したが、日本参加による収益を望むMLBは回答期限以降も参加を受け付けている。その後、当初は選手会と協調していたNPB12球団のオーナーは、別に収益を確保する構想をまとめた事により、同年11月にWBCへの参加を表明した。
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