原子時計による秒とは? わかりやすく解説

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原子時計による秒

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/26 14:44 UTC 版)

「秒」の記事における「原子時計による秒」の解説

新たな定義は、アルカリ金属であるセシウム用いた原子時計よるものである。セシウム天然では原子量133元素のみが存在し、かつその沸点は671低く、他の元素比べて使いやすいために、原子時計採用されていた。そのため、観測によってのみしか決定できない地球公転よりも、実験室求めることが可能な原子時計直接用いて秒の定義を決めることが効率的考えられた。これには、量子力学原理から、すべての133Cs原子には個別の差が存在しないため、原理的に同一の定義が可能という特色もある。 1955年6月イギリス国立物理学研究所 (NPL) がセシウム原子時計実用化すると、いくつかの国家原子時計導入し時系運用使用し始めた。まず、原子時計には誤差徹底的な洗い出し対策施され、そしてアメリカ海軍天文台 (USNO) のウィリアム・マーコウィッツ(英語版)とイギリス国立物理学研究所NPL)のルイ・エッセン(英語版)によってセシウム原子の超微細遷移周波数暦表秒との関係が求められた。マーコウィッツとエッセンは、3年間の共同研究経て1秒が9192631770周期だという数値得た。これは、1951年にマーコウィッツが発明した星と月の動き同時に追える月観測カメラUSNOが2台、大西洋挟んで並列設置し、月による星食から、高精度暦表時確認することで得られた。また、この観測NPLは、アメリカ内陸部コロラド州標準電波局(英語版短波放送による識別信号使い、2台の原子時計比較調整行った1956年国際度量衡委員会 (CIPM) の下部機関として設置された、「秒の定義に関する諮問委員会CCDS、現CCTF)」第1回会議で、エッセンセシウム原子時計天文時系の比較結果報告しセシウム原子周波数標準を秒の原器にするよう強く主張した。しかしその会議では、メートルの定義をメートル原器からクリプトン原子波長に置き換えた前例同じように、10年間ぐらいは各種周波数標準比較研究する必要がある結論された。 その後1964年には、第12回国際度量衡総会 (CGPM) で高度の時間計測のために原子標準到達する急性認めCGPM決議5による委任基づいてCIPM時間物理学測定のために暫定的に用いるべき原子又は分子に基づく周波数標準指定行った。そして、40カ国の代表が参加した1967年第13回CGPMにおいて、現在の原子時計によるSIの秒の定義が決定された。日本の法令では、1972年昭和47年)に改正され計量法で、「秒は、セシウム133原子基底状態二つ超微細準位の間の遷移対応する放射周期Template:Va倍に等し時間として現示する」とされ、秒を東京天文台現示する定めなくなり、どの機関現示するのかは明示されなくなった。さらに、1992年平成4年)に旧計量法全部改訂され新たな計量法規定に基づく計量単位令により、秒は定義だけが示され、国の機関が秒を現示する定めなくなった1997年国際度量衡局 (BIPM) の会議では「秒の定義は0 Kの下で静止した状態にあるセシウム原子基準置いている」という声明出された。しかし現実には、絶対零度止まった原子、そして外部からの電磁波等を全く排除した状態を作り出すことは事実上不可能であり、この理想状況との差異評価して補正加えなければならない。これを自動で行う機器の例には、一次周波数標準器がある。日本では法令で秒を現示する指定がない状態が継続していたが、2003年平成15年)に、秒の現示に代わって時間(秒)の逆数表される周波数について周波数標準器が経済産業大臣から特定標準器として指定された。なお、国家標準特定標準器)には、独立行政法人情報通信研究機構NICT)と独立行政法人産業技術総合研究所計量標準総合センター(NMIJ)の周波数標準器(原子時計)が指定されている。 この補則SI 秒の定義が、黒体輻射により摂動受けないセシウム原子基づいていることを明確にしている。すなわち、周囲環境熱力学的温度で0 K である。

※この「原子時計による秒」の解説は、「秒」の解説の一部です。
「原子時計による秒」を含む「秒」の記事については、「秒」の概要を参照ください。

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