制服問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/10 08:20 UTC 版)
制服については教育委員会ではなく学校長判断で着用が決定し、また変更等が決められる。しかし、これまでに制服の問題が数々指摘されており、たとえば、性自任への配慮やスカート内の盗撮とその動画販売拡散などの被害、女生徒の生理の経血もれの心配や寒さによる月経困難症の重篤化や自転車通学でのスカート着用において風で捲れる、スカートの巻き込み事故があるといった行動面での問題もある。 制服がセクシャルハラスメント、性的暴行を誘発しているという指摘もなされている。通学途上で、被害者は18歳以下の場合が71・5%で中学生以上の通学時だけでなく、性的知識が不十分な幼児や小学生がターゲットとなる痴漢という性的虐待が、その多くが既婚男性が34.7%を占める4大卒のサラリーマンにより行われているが、加害者は大人しそうで泣き寝入りしそうな人物を狙い、「制服は従順の象徴である」判断して制服を着用した学生への加害行為に及んでいるという問題もある。また、#WeToo Japanの調査の結果痴漢被害にあいやすいのはスカートが短いからではなく、私服より制服着用者が多く、制服そのものが被害を誘発し生徒の安全を脅かしていることが分かっている。 学業の本分と健全な学校運営に関わらない余計な生徒指導を生む現状があるブラックな「校則の見直し」と「教師の負担軽減」の両立についての指摘があり、。教員の長時間労働とブラック校則の問題は根底でつながっているとの意見もある。 私服も認める制服改革はコロナ禍での衛生面や換気などによる寒暖差への対応から加速している。また制服を見直す団体には制服が肌に合わず苦しんだ、など体質的な問題を提起する声も寄せられている。一式の購入費が8~9万のため家計への負担のコストも考慮すべきとの意見もある。 2019年4月から、中野区と世田谷区では全区立中学校で女子生徒もスラックスの制服(標準服)を選べるようにした。世田谷区では上川あや議員の経験による質疑がきっかけとなった。 福岡市では中学校長会の代表や保護者代表などによる市立中学校の制服を見直す検討委員会が発足し2019年5月には新たな標準服の案がまとまり、同年福岡市は全69校のうち4校がジェンダーフリーの独自学生服を採用。残り65校も福岡市が準備した新たな標準服となり、市内全校がスラックスとスカートを自由に選べる選択式の標準服を採用した。動きやすさや寒暖への対応のほか、男女に関係なく、ズボン、キュロット、スカートのいずれを着るか選べる。 栃木県の県立高校では、コロナ禍対策の換気による防寒もあり6割で女子生徒にもスラックスが導入されている。 静岡県では、既存の制服では寒暖差に応じた調整が難しく、また生徒が小学校でズボンを履き慣れていて制服のスカートに戸惑ったり、性差があらわな格好に抵抗を感じることがあるため多様性や機能性の配慮から女子用スラックスを追加するなど制服見直しが進んでいる。 世田谷区の区立桜丘中学校では、制服の形状を選択することがカミングアウトにつながるとの校長の配慮もあり制服でも私服でもよいとしている。 2020年、全国で制服選択制の公立高は600超となった。 さいたま市立大宮北高等学校は、2022年4月から制服にユニクロ既成製品の採用を検討し、既存の制服との選択制導入をした。。
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