他律性論とは? わかりやすく解説

他律性論(たりつせいろん)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 13:50 UTC 版)

朝鮮の歴史観」の記事における「他律性論(たりつせいろん)」の解説

朝鮮の歴史は、常に外部勢力によって他律的動かされてきたという主張である。檀君否定し箕子朝鮮衛氏朝鮮漢四郡など朝鮮出発点中国支配に置き、以後中国属国であったとする。更に、朝鮮半島南部では任那日本支配地域であったとする歴史認識三品彰英は、戦後韓国研究者からは、朝鮮史黎明期から外国勢力支配下成り立っていただけではなく朝鮮史の全過程通じて外国勢力支配貫かれており、朝鮮史対外関係だけでなく、朝鮮国内の政治・文化の諸情況外国勢力支配するようになり、朝鮮史全体外国勢力への依存的事大的なものであり、ひいては朝鮮人民族性までが事大的・依他的・依頼的な性格になった主張した研究者として、指弾されている。三品彰英は、自著朝鮮史概説』(弘文堂書房1940年)の序説で、「朝鮮史他律性」という題を付け朝鮮史性格付随性周辺性・多隣性として、朝鮮史規定する最大要因は、朝鮮半島という地理にあり、アジア大陸付随する半島は、政治的・文化的にも大陸起きた変動影響を受け、周辺位置することにより本流から離れてしまう半島付随性主張し、「このように周辺的であると同時に多隣的であった朝鮮半島歴史においてこの2つ反対作用が、時には同時に時には単独働き、複雑極まりない様相もたらした東洋史本流から離れているのに、いつも1つ或いはそれ以上諸勢力影響輻輳的に及んだり、時には2つ上の勢力争い苦しめられたり、時には1つ圧倒的な勢力支配されたりした」として朝鮮史の多隣性を指摘し朝鮮では政治文化弁証法的歴史発展足跡甚だしく欠乏してしまい半島性格を持つ朝鮮は、古くから中国典礼主義的主知主義的な支配を受け、理想的な蕃夷として褒めたたえられ、次は満州モンゴル征服主義的主意主義的な侵略受けたが、それは「政治分化伴わない力だけの征服」であり、この半島性格事大主義という朝鮮史性格形成つながり、「絶対的存在とされた国の勢力従い、その権威の下で藩属になり、依存主義によって国の維持図ったこと」を規定し朝鮮史における事大主義は、親明派・従清派・親日派親露派などを生み、政治文化では宗主国模倣する他律的歴史展開するしかなく、事大主義的・他律主義的な歴史展開してきた朝鮮が、日本の情に抱かれることで、他律主義的な朝鮮史克服できるとする。 最後に日本だ。…要するに、我々の古代朝鮮経営においても、また最近世のそれにおいても見られるように、それは征服主義でもなく、利己主義からのものでもない。昔は百済任那保護し、それによって彼らに国を樹立させた。それは真に平和的かつ愛護的な支配と言うべきである。蒙古のように意志的征服的なものでもなく、支那のように主知的で形式的なものでもなかった。…日本のそれは主情主義的で愛好主義的で、彼我区別越えたより良い共同世界建設念願したものであった。…優れた歴史世界建てた日本が、この同胞として彼らを抱え込んだのは、彼らをその古里呼び戻すことである。ここに初めて本来の朝鮮としての再出発がある。…今、その歴史を見ると、朝鮮支那の智に学び北方の意に服し最後に日本の情に抱かれ、ここに初め半島史的なものから脱する時期得たのである。 — 三品彰英朝鮮史概説、p6-p7 批判に対しては、『三国史記』も翻訳している井上秀雄が「要求の正当さや強烈さ負けて迎合的応えをするのは、はるかに大きな害毒社会に流すのではないか」と述べ室谷克実もこれらを皇国史観への過剰反応とみて「隣国との関係史は、隣国を知る上でも、自国を知る上で重要だ。それが、大声を出す暴力的な集団圧力や、隣国との政治的妥協配慮、あるいは研究者個人的自虐嗜好などによって歪められることがあってはならないのだ」と述べている。

※この「他律性論(たりつせいろん)」の解説は、「朝鮮の歴史観」の解説の一部です。
「他律性論(たりつせいろん)」を含む「朝鮮の歴史観」の記事については、「朝鮮の歴史観」の概要を参照ください。

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