モーダル‐シフト【modal shift】
モーダルシフト
モーダルシフト
モーダルシフトとは、都市間の貨物輸送をトラック輸送から鉄道や船舶にシフトする輸送方式の変換を指します。
旧運輸省が1990年代前半に、高速道路の交通渋滞緩和やトラックの排気ガスを抑えるために新しい物流政策として打ち出したものです。
具体的には、都市間や臨海工業地帯の貨物鉄道や、内航海運とトラック輸送を機動的に組み合わせることで、効率的な貨物輸送システムを確立しようというものです。
旧運輸省は、港湾やコンテナ船の整備、超高速船「テクノスーパーライナー」の実用化、貨物鉄道のスピードアップ、新型コンテナの開発、貨車の長大編成などについてJR貨物、地方の臨海鉄道、海運会社、トラック業界と調整しながら条件整備を進めています。
すでに東京〜大阪間などの物流幹線や、地方の主要港湾から貨物本線までの区間で船舶・鉄道・トラックを一体化した新しい貨物輸送が行われています。
モーダルシフト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/23 05:50 UTC 版)
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モーダルシフト(modal shift)、モビリティシフト(Mobility transition)とは、交通(貨物輸送を含む) およびモビリティを、再生可能エネルギー資源を使用した持続可能な輸送に転換し、民間交通機関と地域の公共交通機関のいくつかの異なるモードを統合する一連の社会的、技術的、政治的プロセスである。
モーダルシフトの主目的は二酸化炭素(CO2)排出量の削減にある[1][2]。 モーダルシフトは1997年に開催された第3回気候変動枠組条約締約国会議(京都会議)において、 二酸化炭素(CO2)排出削減の取り組みの1つとして注目されるようになった[1]。例えば営業用貨物車の二酸化炭素排出量と比較すると、内航船の二酸化炭素排出量は約20%であり、鉄道の二酸化炭素排出量は約12%である[1]。
この他にもモーダルシフトの副次的効果として次のような効果が挙げられる。
- 排気ガスに含まれる有害物質による大気汚染・酸性雨の防止。
- エネルギー効率の改善[1]。
- 道路交通の混雑解消[1](交通渋滞の緩和)及び交通事故の抑制[1]。
- 物流における人手不足(労働力不足)の解消[3]及び運賃の抑制[3]。
旅客輸送
旅客輸送におけるモーダルシフトは、自家用車などでの移動から公共交通機関や自転車を利用しての移動に替えることである。 環境問題や交通渋滞緩和などの理由から、モーダルシフトの為に自転車や公共交通重視の政策を進める動きがあり、特に原油価格高騰時には自動車での移動コストが高騰したため自転車や公共交通が見直されるきっかけとなった。
しかし日本では公共交通は黒字が当然という意識が強く、日本政府の公的支援も道路関係に比べて公共交通に対する支援額が極めて少ない[4]。北海道に至っては廃止された、または廃止が検討されている鉄道路線と並行して高規格道路の建設が進められている[5]。
短距離航空の禁止
短距離航空の禁止とは、航空の環境への影響を防ぐために、政府や組織が特定の距離については航空機の利用を禁止すること。
オーストリア: 2020年6月に、350キロメートル以下の航空券に対して30ユーロの特別税を課税、また鉄道で3時間以内の距離については航空路線の設定を禁止[6]。
フランス: 2020年6月、2.5時間以内の航空路線の設定が禁止された[6]。これによりエールフランスの国内路線は40%が削減された[7] 。
オランダ: 2019年3月、オランダ下院は150キロメートル以下の航空路線を禁止する提案を決議した[8][9]。
貨物輸送の転換

貨物輸送におけるモーダルシフトは、貨物トラックによる輸送を内航船輸送や鉄道貨物輸送に切り替えることを言う[1]。
カーフェリーを利用してトラックそのものを航送する「モーダルシフト」も、数多く利用されている。鉄道に比べて速達性には劣るが、単にトラック輸送するよりも単位輸送量が大きく、トラックごと運ぶため荷の積み替えの時間と手間がかからないのが特徴である。
島国の日本では海運が利用できるため鉄道貨物利用は苦戦している。
輸送費用及び効果
物流過程で例えば出荷工場から相手方倉庫まで貨物を輸送する場合でも、通常、出荷工場から駅や港まで、また駅や港から相手方倉庫までは貨物トラックを利用しなければならないため、モーダルシフトの導入には費用対効果を考慮する必要がある[3]。一般にモーダルシフトの効果を出すには、輸送距離が500 km以上の貨物輸送が目安とされている[3]。しかしながら、長良川鉄道の一部区間を利用した貨客混載列車のように[10]、 商用での貨物輸送であるのにもかかわらず、それより短距離でも自動車から鉄道での輸送に切り替えた例も見られる。
なお、市街地では貨物トラックではなく自転車による輸送が組み合わされることもある。
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貨物列車
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説明2=貨物船(コンテナ船)
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自転車による貨物輸送
脚注
- ^ a b c d e f g 木村徹『ポケット図解 物流がよーくわかる本』秀和システム、2016年、89頁
- ^ 国土交通省運輸部門の地球温暖化対策について によると、旅客輸送(人輸送)では営業用/自家用乗用車・航空・バスに比べて鉄道の方が、貨物輸送では自家用/営業用貨物車に比べて船舶・鉄道の方が輸送量あたりの排出量が少ない。
- ^ a b c d 木村徹『ポケット図解 物流がよーくわかる本』秀和システム、2016年、90頁
- ^ 「1年以内に鉄道会社の半分が潰れる」コロナ禍に進行する"交通崩壊"の深刻さ – プレジデントオンライン 2021年5月13日付記事 2021年8月15日閲覧
- ^ 道東を南北に貫く「北海道横断自動車道・網走線」貫通に向け事業再開へ 陸別~足寄 – 乗りものニュース 2021年7月30日付記事 2021年8月15日閲覧
- ^ a b Gerhard Hegmann (2020年6月9日). “Österreich verbietet die 9,99-Euro-Billigstflüge” (ドイツ語). Die Welt 2020年6月13日閲覧。
- ^ Matthias Wabl and Christopher Jasper (2020年6月9日). “Airline bailouts point to greener travel—and higher fares”. BNN Bloomberg 2020年6月13日閲覧。
- ^ Judith Harmsen (2019年3月6日). “Van Amsterdam naar Brussel vliegen blijft mogelijk” (オランダ語). Trouw 2020年6月13日閲覧。
- ^ Belga (2019年8月19日). “Reizigers blijven vliegen tussen Brussel en Amsterdam” (オランダ語). De Standaard 2020年6月13日閲覧。
- ^ 長良川鉄道とヤマト運輸が鉄道を利用した「客貨混載」の本格運用を開始
- ^ “22年ぶり就航 長距離フェリー~豪華船内も物流が収益の柱 その理由は~”. 2021年11月26日閲覧。
関連項目
モーダルシフト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/29 06:58 UTC 版)
環境対策として、輸送手段をトラックから海上・鉄道輸送に切り替える、モーダルシフトを進めている。 船舶 苫小牧工場~東京(1.4万トン級専用船3隻)、日南工場~東京・大阪(1万トン級専用船1隻)、釧路工場~東京(5千トン級専用船1隻)に専用船を就航させており、復路は工場に向けて古紙を輸送している。 鉄道 苫小牧・春日井・米子の各工場には専用線が設けられており、工場から直接貨物列車で製品を出荷している。
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