エコレールマーク

鉄道貨物輸送はトラック輸送のように排気ガスを出さないことから、環境の優等生といえるでしょう。そのクリーンな輸送手段を活用して地球環境保護に取り組む商品や企業に表示するのが、「エコレールマーク」です。
この制度は鉄道貨物輸送を一定以上取り入れている商品や企業を消費者に見えるようにするため、国土交通省と鉄道貨物協会が製造業を対象に2005年4月からスタートしました。
同一距離で二酸化炭素排出量を比較すると、鉄道輸送はトラック輸送の8分の1で済みます。京都議定書の目標達成計画では、2010年度までに2000年度比でコンテナ輸送量を32億トンキロ増やすと年90万トンの二酸化炭素排出量を削減できるとしており、その達成をソフト面から後押しする狙いがあります。
認定基準は、商品が認定を受ける場合、数量または数量×距離の比率で30%(企業の場合は15%)以上、輸送(500キロメートル以上の陸上貨物輸送)に鉄道を利用していなければなりません。前年度実績が審査対象となり、有効期間は2年。審査は3カ月ごとに鉄道貨物協会の運営審査委員会があたります。
消費者にはほとんど馴染みがないかもしれません。それもそのはず。制度が始まり2年半になりますが、2007年9月末現在、認定を受けた商品は携帯電話や乾電池など13件にすぎません。
しかも認定商品はすべて、梱包する段ボール箱やパッケージにマークを表示しているため、消費者の目につきにくいのが難点です。商品単体にマークを表示する企業がなかなか出てこないのは「認知度が低いためコスト面であわない」(認定企業)のが理由のようです。
大手企業が認定商品を積極採用するなど、産業界が自ら制度のインセンティブを高める努力や工夫をする必要があります。
(掲載日:2007/11/16)
エコレールマーク
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/24 04:21 UTC 版)
(JR貨物19D形(50周年記念カラー))
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エコレールマークは、製品等の物流においてモーダルシフトを行い、二酸化炭素排出量の少ない鉄道貨物輸送を利用している商品又は企業を対象とした認定制度及びマークである。認定を受けた企業は商品パッケージやカタログ・広告、環境報告書などにマークを表示し、環境負荷の少ない輸送手段を採っていることについて周知を図ることができる。
運営主体
社団法人鉄道貨物協会内に設けられた「エコレールマーク事務局」が運営にあたり、諮問機関として、国土交通省が選定した学識経験者で構成される「エコレールマーク運営・審査委員会」が設置されている。申請のあった企業に対しての認定は、運営・審査委員会が行う。2005年5月18日に開かれた第1回エコレールマーク運営・審査委員会で、商品1件と企業9社が認定された。なお、マーク使用料として年間10万円(2年分前納)を要する。
認定基準
当初の認定基準は以下のようなものであった。
- 商品
- 当該商品群の500km以上の陸上貨物輸送のうち、「数量(個数、重量、又は容積を指す。以下同じ)」又は「数量×距離」の比率で、全体の30%以上の輸送に鉄道を利用していること。
- 取組企業
- 当該企業が行う500km以上の陸上貨物輸送のうち、「数量」又は「数量×距離」の比率で、全体の15%以上の輸送に鉄道を利用していること。
- 協賛企業
- 上記の他、「定常性」「継続性」「有用性」「積極性」があると認められた、鉄道輸送に関わる物流事業者7社が協賛している。
これに対して、相当量の鉄道貨物の利用がありながら、全体の陸上貨物輸送量が非常に多いために鉄道利用が15%以上の基準を満たせず、取組企業に認定されない企業があった。また、実績を元に評価していたため、新商品を開発した時点では認定が受けられず、後で認定を受けてもパッケージデザインを変更してエコレールマークを追加するのは難しいとの意見があった。これを受けて2008年5月30日の運営・審査委員会で基準が見直された。変更後の基準は取組企業について、「年間1万5000トン以上、または数量×距離で年間1500万トンキロ以上の輸送に鉄道を利用していること」(500km以上の陸上貨物輸送、または全陸上貨物輸送)の条件が追加され、割合が15%を満たせなくても数量が多ければ認定されるようになった。また、実際の鉄道貨物輸送の利用開始前であっても、輸送契約を締結するなど鉄道貨物輸送を利用することが明らかである場合には、それを実績とみなして認定できることにした。この場合、1年後に実績値を再審査することになっている[1]。
認定商品・企業
数値はすべて、2020年7月末現在。
認定商品
- ※六甲のおいしい水(ハウス食品)
- トナー(リコー)
- サランラップ(旭化成ライフ&リビング)
- 生茶・アルカリイオンの水(キリンビバレッジ)
- 携帯電話(パナソニックモバイルコミュニケーションズ)
- イオン水・天然名水出羽三山の水・アルフォート(ブルボン)
- アルカリ乾電池 ダイナミック・イプシアルファ(日立マクセル)
他、計203商品(※を付したものは制定当初より認定)
認定企業
- ※アサヒ飲料
- ※味の素
- ※味の素AGF
- ※味の素冷凍食品
- ※花王
- ※カゴメ
- ※キヤノン
- トヨタ自動車
- ※ハウス食品
- ※パナソニック エナジー社
- パナソニック ストレージバッテリー
- パナソニック電工香川
- パナソニック プラズマディスプレイ
- パナソニック モバイルコミュニケーションズ
- ミサワホーム
- TOTO
他、計92社(※を付したものは制定当初より認定)
協賛企業
他 計38社
脚注
関連項目
外部リンク
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