ボクシング・プロモーション
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/28 17:33 UTC 版)
「ダニエル・キナハン」の記事における「ボクシング・プロモーション」の解説
キナハンはボクシングを、スポーツウォッシング(英語版)として使い、犯罪組織のボスとして傷ついた自身の評判を回復させようとしているという指摘や、犯罪活動で稼いだ資金のマネー・ロンダリングに使用していると指摘されている。 2012年、キナハンはアイルランド人ボクサーのマシュー・マックリンと、スペインのマルベーリャに、ボクシングプロモーションおよびボクサーマネージメント会社のMTKグローバル社(設立当時はMGM社)を設立した。 MTKグローバルは設立以来、タイソン・フューリー、ビリー・ジョー・ソーンダース、ジョシュ・テイラー、カール・フランプトン、チャーリー・エドワーズ、マイケル・コンラン、ジャック・カットラル、テレンス・クロフォード、ジャメル・ヘリング、サバンナ・マーシャルなどの数々の有名ボクサーのマネージメントをしてきた。 2016年2月、MGM社が主催するボクシング興行の、公開計量を行っている最中だった会場に、武装した対立組織ハッチ・ギャングが乗り込んできて、キナハン・カルテルの幹部デビッド・バーンを射殺する事件が起きる。キナハンは窓から脱出して無事だったが、この襲撃の本来の標的はキナハンだったと報じられた。この事件の直後にキナハンはドバイに移住したと言われている。 2016年9月、スペイン警察が、キナハン・カルテルの犯罪活動に対する国際一斉捜査の一環として、プエルトバヌースにあるMGMマルベーリャを強制捜査した。 2017年、ネバダ州ラスベガスのMGMリゾーツ・インターナショナルからのクレームにより社名をMGM社(Macklin’s Gym Marbella)からMTKグローバル社(Mack The Knife Global)へ変更した。 2017年2月、主催興行の計量会場でキナハンが標的だったとされる銃撃事件が起きたことをきっかけに、MTKグローバルはキナハンとの関係を断ち切ったことを発表した。しかし、キナハンはその後も、タイソン・フューリーをはじめとした有力ボクサーのマネージャーやマッチメイカーとして活動を続けるなどボクシング界で強い力を持ち続けた。 2019年3月、トップランク社と複数年契約し、MTKグローバルの興行がアメリカのESPNで放送されることになった。 2020年5月、MTKグローバルは、関係を絶ち距離を置いていたキナハンと、キナハンが特別顧問に就任したバーレーンのKHKスポーツを介して再び提携することを発表した。 2020年6月10日、タイソン・フューリーとアンソニー・ジョシュアが対戦することで基本合意したことが発表される。その際にフューリーは、対戦交渉を仲介して合意に達する支援をしてくれたとして公にキナハンに感謝を述べ称賛した。 2020年6月、アイルランド政府が、フューリーとジョシュアの対戦合意にキナハンが仲介したことについて「激しい憤り」を表明した。キナハンはアイルランド議会で名前を挙げられて批判され、アイルランドの首相レオ・バラッカーから告発された。また、アイルランド外務省は、キナハンが在住するアラブ首長国連邦の当局に連絡を取った。 2020年6月、この問題の影響でキナハンは就任していたKHKスポーツの特別顧問をわずか1か月で解任された。 2021年、キナハンがアメリカ合衆国ボクシングライター・アソシエーションの年間最優秀マネージャー賞にノミネートされる。 2021年2月、BBC制作の時事問題ドキュメンタリー番組「パノラマ」で、キナハンが今でもボクシング界のトップで活動を続けているというレポートが放送された。番組の中で、MTKグローバルの弁護士が、キナハンがボクサーのアドバイザーとして今も活動していると認めたが、英国ボクシング管理委員会のロバート・スミスは、MTKグローバルのプロモーターライセンスを交付しているのはMTKグローバルのリー・イートン個人に対してであり、ライセンスを必要としないアドバイザーに対しては規制する権限がないので、キナハンに対して何もできることがないと語った。 2021年2月5日、北アイルランド警察が、パノラマの番組制作に協力したジャーナリストが脅迫を受けたため、引っ越しを余儀なくされ、その家族とともに北アイルランド警察の保護下に置かれたことを発表した。 2021年2月7日、キナハンがアドバイザーを務めるボクサーのビリー・ジョー・ソーンダースが、ツイッターのダイレクトメッセージを使って、ジャーナリストのニコラ・タラントに、キナハンとのインタビューをセッティングするので、キナハンについてポジティブな記事を書いて欲しいと要請した。タラントはこの要請を断っている。 2021年2月8日、キナハンがイギリスのスポーツメディアで声明を出し、ボクシングに今でも関与していることは認めたが、犯罪組織への関与や、ジャーナリストへの脅迫は否定した。パノラマについても、以前から作られてきた根拠のない申し立ての焼き増しにすぎないと主張した。 2022年3月、WBC会長マウリシオ・スライマンが、メキシコのメディアに、中東で「ボクサーの代表者であり代理人」のキナハンに会い、ボクシングに利益をもたらしているとしてキナハンを称えるとともに、キナハンに対して「全面的な支援」を与えるとした記事を寄稿した。 2022年4月12日、アメリカ合衆国国務省が、キナハンに制裁を科し、キナハンの逮捕および有罪判決につながる情報の提供者に、500万米ドルの懸賞金を支払うと発表した。 2022年4月15日、タイソン・フューリーの共同プロモーターであるボブ・アラムが、2019年から2021年の間にフューリーが対戦した、デオンテイ・ワイルダーとの2試合、トム・シュワルツ戦、オット・ワリン戦の計4試合で、キナハンにコンサルティング料として約300万ポンド(約4億9000万円)支払ったことを明らかにした。 2022年4月20日、MTKグローバルは同月末で事業を停止することを発表した。 2022年4月、マシュー・マックリンがSky Sportsのテレビ解説者としてアメリカで行われる試合のために渡米しようとするが、イギリスの空港でキナハンとの関係を理由にアメリカへの入国を禁止された。 2022年6月、タイソン・フューリーがイギリスの空港でキナハンとの関係を理由にアメリカへの入国を禁止され、翌週にも再び渡米しようとするが空港で再び入国を禁止された。
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