プサントレンの教育と生活とは? わかりやすく解説

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プサントレンの教育と生活

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/06/04 13:09 UTC 版)

プサントレン」の記事における「プサントレンの教育と生活」の解説

インドネシア人口の9割前後がムスリムであり、彼らムスリムにとって、ムハンマドによる神の啓示であるクルアーンコーラン)は日々の生活から切り離すことはできないのである。そのため、インドネシア人ムスリムの子供たちがまず学ばなければならないのが、イスラーム五行と、礼拝必要なアラビア語でのクルアーン読誦である。 もっとも初歩的なクルアーン読誦礼拝所ランガル)やモスクなどで行なわれる子供たち昼間の学校から帰って夕方からランガルなどに集まってアラビア語音でのクルアーン暗誦を学ぶ。 そうした初歩的なクルアーン学習終えた者が、イスラーム教義書・注釈書であるキターブを学ぶのがプサントレンである。そのため、一般にプサントレンで学ぶのは、将来イスラーム指導者になりたいという意欲を持つ者である場合もある。多数学習者は、将来家庭をもつにあたり必要となる最低限度知識を学ぶためにやってくるのが実情である。学習に際して費用かからないが、プサントレンでの自炊生活に必要な米や教師へ贈り物電気代等の費用両親や近い親戚仕送りする場合が多い。公教育が行き渡るまで、歴史的に学問のない家庭にあってプサントレン子供をおくり学習する機会与えているということは村落生活において名誉なことであったまた、婚姻生活を営んでいくにあたって必要な実践的かつ義務的知識正しく学ぶことができるのはプサントレンにおいてであるという認識がひろく共有されている。このため独身男性は生活上に余裕あるかぎり、しばらくプサントレン身を寄せ形だけでもプサントレン学んだという体裁をととのえることが、よい結婚相手となれる条件一つとなっている。これがプサントレン学習者10代後半から30歳代の独身男性占められている理由である。 プサントレンは、そこを主催するキヤイそのもとで学ぶ生徒であるサントリ学習の場であるモスク、そしてキヤイ・サントリが共に起居する寄宿舎であるアスラマ(寮)あるいはポンドック(小屋)によって構成されているが、その規模学習者数十程度から九〇〇人を超えるものまで大小さまざまである東南アジアみられるプサントレン・ポンドックの多くは六〇~二〇〇名程度学習者成り立っている。土地周囲村人から寄進され、ワカフとして管理されている場合が多い。農地商業森林をもつものもある。 プサントレンインドネシア語で、字義通りにはサントリ学習者)のあつまるところという意味である。同じものとみなされる伝統的施設東南アジアイスラーム圏各地にあり、マレーシアではポンドック、タイではポーノと呼ばれている。カンボジアチャム人集落フィリピン海域ムスリム社会にも同様のものが知られている。 プサントレン指導者みなされる人物の存在から自然発生的に設立され、そして指導者キヤイ死亡とともに消滅する一世限り形式基本となっている。これは知識個人付随ずるため、親子であっても自然に継承されるものではないという認識があるからである。一部公教育組織化成功したプサントレン除き自然発生的プサントレンでは指導者の子が継ぐケースあまりないが、能力のある学習者養子にして世代交代実現するケースがよくみられる一人指導者知識有限である。そのためプサントレンによって、学習する専門分野特徴があり、サントリはその専門性優れたキヤイ求めて自身良きムスリム良きキヤイになるために、各地プサントレン遍歴(ピンダー・トゥンパッ)するのが一般的である。プサントレン教育という与え観点からつくられ施設ではなく、学ぶ側から求め視点から自然発生的にできたものであるため、入学卒業年限はなく、広く門戸開かれている。インドネシアプサントレンでは世代交代成功し、有名プサントレン化した大規模なところでは高額教育費徴収するところもある。しかしイスラームにおいては知識教えることで対価をとることは大変卑しむべき行為とされているため、教育費そのものは本来無料とされるべきであり、またそのようになっている場合が多い。 プサントレン内では、生徒は、全てのムスリム要求される1日5回の礼拝サラート)を基準に生活を営んでいる。また、モスクやアスラマを維持・管理するのはサントリたちの役目である。 プサントレン主催するキヤイは、主にプサントレン創設者一族関係者であることが多くサントリたちからだけでなく、その周辺在家ムスリムたちからも、教師としてまた、信仰心の厚い人として尊敬され地域社会大きな影響力持っているある程度規模があり運営組織余裕があるところでは、麻薬中毒者の更生や、老人ホーム未婚妊娠女性一時隠匿場所としての機能果たしている場合がある。 老人身の回りの生活を自分でできる健康な間、経験かつ静謐プサントレン暮らしのなかに身を置くことで、死後の安穏というパハラ功徳)が得られる考えられている。

※この「プサントレンの教育と生活」の解説は、「プサントレン」の解説の一部です。
「プサントレンの教育と生活」を含む「プサントレン」の記事については、「プサントレン」の概要を参照ください。

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