ヒスイ文化の消滅と最後の使用例とは? わかりやすく解説

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ヒスイ文化の消滅と最後の使用例

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/10 01:58 UTC 版)

糸魚川のヒスイ」の記事における「ヒスイ文化の消滅と最後の使用例」の解説

隆盛極めたヒスイ文化は、奈良時代には急速な衰退迎えた原産地である糸魚川では、古墳時代6世紀初頭)にヒスイ製の勾玉づくりが終了した。そして、奈良時代におけるヒスイ最後使用例としては、奈良市にある東大寺法華堂三月堂)の本尊不空羂索観音立像像高362.0センチメートル脱活乾漆造国宝)が知られる天平年間740年-747年造立推定されるこの立像は、頭部銀製の冠(高さ88センチメートル)を載せている。冠の中心部には高さ23.6センチメートル化仏位置し、銀の板と銀製の太い針金銀金具唐草模様透かし彫りにされている)で構成されている。冠の頂上部には火焔つきの宝珠載りさまざまな材質ヒスイ琥珀水晶真珠ガラスなど)の勾玉などが銀線つなげられている。 この冠に使われ宝玉の数は2万数千個に上るといい、その豪華さから「世界三大宝冠」の1つ数えられている。冠の正面上方からは、宝玉連なりからなる瓔珞12本が垂れていて、その先端から勾玉垂下している。中央位置する瓔珞先端部は破損のため失われているが、残り11本のうち7本ないし8本に硬玉ヒスイ)の勾玉垂下し残り3本茶色琥珀勾玉である。 不空羂索観音立像の冠を最後として、日本の歴史からヒスイ姿を消している。約6000続いたヒスイ文化消滅した理由不明とされるが、仏教の伝来に関係を求め意見がある。538年欽明天皇7年)、百済からもたらされ仏教めぐって受入れを可とする蘇我氏権力闘争打ち勝ち伝統的な神々祭祀重んじる物部氏中臣氏政権から排除した。それは同時にヒスイ威信財としてその霊力や価値尊んできた人々失墜であったヒスイ仏教の伝来前に長きわたって尊ばれてきたものだったため、仏教広めていく立場からは都合の悪い存在でもあった。 飯田孝一自著翡翠』(2017年)において、ヒスイ歴史上から消えた理由考察している。彼の推定は、西日本経由大陸からヒスイ探索の大集団侵入してきたことを察知したため、ヒスイそのもの隠匿せざるをえない状態に至ったではないかという考えである。 河村好光はヒスイ玉を始めとする玉作り衰退していく6世紀代の古墳から出土する装飾品服飾品内容から石製の玉類が無くなっていくことを指摘し、その一方で7世紀後半から8世紀にかけて東北地方北部造られ末期古墳からヒスイ勾玉を含む豊富な玉類が出土することから、6世紀以降畿内中心とした国家では玉を使用する文化衰退し、玉を用い文化維持し続けた東北地方北部夷狄とみなす概念生まれ、やがて玉を使うこれまでの文化未開文化であるとして排斥するようになったのではと推測している。 朝鮮半島でも6世紀前半までは盛んに古墳副葬されていたヒスイ勾玉が、6世紀中期以降副葬見られなくなっていく。やがて7世紀には日本同様に寺院の塔の心礎に埋納する例が確認されるうになる。そして8世紀から9世紀統一新羅時代のものと考えられている大邱市松林寺の塔からヒスイ勾玉が1個出土しているが、この勾玉三国時代新羅古墳から出土した勾玉類似しており、伝世品ないし出土品利用した可能性指摘されている。寺村『日本書紀』にある任那滅亡562年)に言及し、「このころ契機として、朝鮮半島との交流後退することは確かであろう。ここにヒスイはその務め終えたようである」と記述した

※この「ヒスイ文化の消滅と最後の使用例」の解説は、「糸魚川のヒスイ」の解説の一部です。
「ヒスイ文化の消滅と最後の使用例」を含む「糸魚川のヒスイ」の記事については、「糸魚川のヒスイ」の概要を参照ください。

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