パナウェーブ研究所の概要
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「パナウェーブ研究所」の記事における「パナウェーブ研究所の概要」の解説
パナウェーブ研究所はその一部門として設立され、「スカラー電磁波は人体にとって有害である」と主張していた。また、スカラー電磁波から身を守るために有効という白装束(長袖のコート型白衣・白マスク・白頭巾・白長靴)を身にまとっている。また、移動用の車両には、スカラー電磁波を防ぐ効果があるという渦巻き模様の図柄を貼り付けていた。 1977年頃に任意団体として設立され、「千乃正法」の名で活動したことがあり、1997年9月に岡山県英田郡作東町(現・美作市)で町道をふさいだとして、責任者1人が往来妨害容疑で逮捕された。その奇妙な様子から、2003年の4月から5月にかけて活動がワイドショーなどで大きく取り扱われ、一時的に有名になった。また、研究所の名称に「パナ」を冠するため、パナソニック(当時の法人名・松下電器産業と松下電工)との関連性を問われたことがあったが、同社およびその関連会社とは完全に無関係である。 思想的には反共主義であり、「共産主義者が『スカラー電磁波』で日本を襲う」とも主張している。一例として、電柱上の電線が巻かれた部分(敷設の際にあまらせてあるもの)を示し、そこでスカラー電磁波を発生させるという攻撃がなされているとし、教祖はその被害を受けているなどと述べている。 1999年には、「電磁界等を考えるシンポジウム京都会議」に参加し、スカラー電磁波問題について持論を展開したこともある。彼らは、人工的に作られたスカラー電磁波が自然環境を汚染することで、自然環境が破壊され動植物の生存の危機となり人類の滅亡に至ると主張する。また大量の人工スカラー電磁波の放出により地球の公転や自転にも影響があり、地球崩壊をもたらすという。 2002年9月から横浜市西区の帷子川などで生息が確認されていたアゴヒゲアザラシのタマちゃんにエサを与え続けていることを明らかにした。 2003年4月26日頃から、岐阜県郡上郡八幡町(現・郡上市)から大和町(同)にかけての林道を、同年5月2日頃には岐阜県大野郡清見村(現・高山市)の国道472号を占拠。同年5月15日に天変地異が起こると主張、会員に対して山梨県北巨摩郡大泉村(現・北杜市)にあるドーム型施設に避難するよう呼びかけを行った。 2003年5月9日、森山真弓法務大臣が記者会見で、公安調査庁が調査中であることを明かした。5月14日、虚偽の自動車登録をしていた疑いが強まったとして、警視庁公安部が全国の施設を家宅捜索した。同研究所代表(千乃裕子とは別人)、自動車整備工場の検査員ら3名が起訴され、2004年5月25日、福井地方裁判所でそれぞれ懲役1年6カ月、執行猶予つきの有罪判決がなされた。 2003年8月7日、福井市五太子町(12世帯22人の高齢者が暮らす小さな集落)の施設内で、福岡教育大学助教授で、反共産主義の論文執筆を行うなど、集団の中枢メンバーであった千草聡が変死した。警察の調べで死因は、背中の打撲による外傷性ショックと熱中症によるものと判明、12月5日、メンバー5人が傷害致死容疑で逮捕された。 2004年秋頃からカラスに餌付けを始めたため、周辺の農作物に被害が発生、自治会や福井市からの中止の申し入れに対して、野生動物の愛護を主張した。福井市は、2006年5月2日から1ヶ月間の駆除を許可し、地元猟友会員が駆除を行った。 また、2003年に有名になる以前にも、日本共産党に対して何らかの文書を送りつけるなどの活動も行っていたとされる。 2006年10月26日、千乃裕子代表は72歳にして死亡した。 2011年10月、福井新聞の取材によれば、研究所は以前とは打って変わって普通の民家のような佇まいになっており、中の者によると「パナウェーブ研究所はもう無い」という返事が返ってきており、自然消滅したようである。 2021年5月8日、定期的にパナウェーブ研究所の本拠地を訪れていたフリーライターの鹿取茂雄が文春オンラインに寄稿した。「白装束集団の今」というタイトルで前後編に分けて書かれた記事の後編「かつての本拠地を訪ねてみると…白装束集団『パナウェーブ研究所』が18年間で激変してしまったワケ」によると、2004年には本拠地を訪ねたときはサーチライトで照らされ、懐中電灯を持った人々、そして『ストーカー車追跡中』と書かれた四駆の車に追いかけられた。本拠地は2005年にかけて白い布で覆われ、立ち木にも巻かれ、渦巻き模様のマークが貼られていった。しかし、2006年に代表の千野が死去すると白い布は減っていき、2007年の時点では立ち木に巻かれた布は取り払われ、渦巻き模様も消えていた。2009年には白い布は撤去され、パナウェーブ研究所の看板も降ろされ、千乃正法会の書籍のみを扱う出版社の社名が掲げられていた。白装束集団などとして報道されてから18年が経過した2021年の時点で取材を申し込んだが、「うちは一切関係ありませんので」「過去のことを言ってもしょうがないので。今はみんな通ってきています。ここで平穏に過ごしたいだけなんです」と関係者は答えたという。
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