スピード・ガラージとは? わかりやすく解説

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スピードガラージ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/07 01:13 UTC 版)

スピードガラージ
様式的起源
文化的起源 1990年代前期 - 中期、 イギリス
派生ジャンル
  • ベースライン (音楽ジャンル)英語版
  • ドンク (音楽)英語版
関連項目
UKハードハウス
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スピードガラージ (speed garage)[時にプラス8(プラスエイト、plus-8)の名でも知られる[1]]は、UKガラージの始まりと言われる音楽の様式。1997年前後に流行した。[2]

特徴

スピードガラージを特徴づける要素の1つは、テンポを若干速めたNYガラージ (NY garage) の4つ打ちビートブレイクビーツ的な趣向を取り合わせたリズムである[3]スネアドラムは4分の4拍子のドラムパターン上で2拍目と4拍目のバスドラムと重なる位置に加え別の位置にも配置される[4]。もう1つはジャングル[5]レゲエ[6]の影響を受けた重量感のあるベースライン英語版である。発音後、ピッチが上下いずれかに滑らかに変化する、またはフィルターカットオフ周波数が高方に移動し倍音成分が増加して音が明るめになる、もしくはこれらの特徴を併せもつ「スウィーピング・ベース」(sweeping bass) と呼ばれるベース音は、本ジャンルで典型的に使用される音色である[7]。また多くの場合、曲中にブレイクダウンが出現する[8]タイムストレッチ処理を施したボーカルも時に特色となる[9]。加えてジャングルの強い影響から、銃声やサイレン音などジャングルやダブで聴かれる効果音も多く使用される[10][11]

スピードガラージの先駆者としては音楽プロデューサーDJリミキサーアーマンド・ヴァン・ヘルデン (Armand Van Helden) が広く認められる。スニーカー・ピンプス (Sneaker Pimps) の楽曲「スピン・スピン・シュガー」(Spin Spin Sugar) のヘルデンによる1996年の "Dark Garage" リミックス[2ステップ (2-step) のうちダブステップ (dubstep) の前身となるダークな作風を備えるものに対する呼称の1つとしてのダーク・ガラージ (dark garage) との混同に注意]は本ジャンルがもつスタイルの主流化を促進した[12]

来歴

主なアーティスト・楽曲/リミックス

"Spin Spin Sugar (Armand's Dark Garage Mix)"
"Digital (Armand Van Helden's Speed Garage Mix)"
"Gunman"
"Kung-Fu"
"Deeper"
"God Is a DJ (Serious Danger Remix)"
"RipGroove"
"Something Goin' On (Loop Da Loop Uptown / Downtown Mix)"

脚注

  1. ^ DJ magazine, 1996–97, "Raggage": "...earning the scene the slightly mocked nick-names of 'plus-8' or 'speed garage'."
  2. ^ 【コラム】リバイバルを果たしたUKガラージ/2ステップの現在と歴史”. FNMNL (フェノメナル) (2020年4月28日). 2024年2月5日閲覧。
  3. ^ History of Speed garage: "Speed garage can be broadly defined as a mixture of slightly sped up garage beats..."
  4. ^ 2Step: "In the original 1997 speed garage, the snares are fussy and clattering over the stomping 4-to-the-floor kickdrum."
  5. ^ History of Speed garage: "Speed garage can be broadly defined as a mixture of slightly sped up garage beats with a heavy almost junglistic bassline"
  6. ^ (2004) "Popular Music Genres: An Introduction", ISBN 0-7486-1745-0, 978-0-7486-1745-6, p.216: "Speed garage basslines were drawn from Jamaican reggae..."
  7. ^ (2004) "The Dance Music Manual",  ISBN 0-240-51915-9, 978-0-240-51915-9, p.157: "The sweeping bass is typical of UK garage and speed garage tracks and consists of a tight yet deep bass that sweeps in pitch and/or frequencies"
  8. ^ articles/speedgarage.html History of Speed garage: "Speed garage can be broadly defined as a mixture of slightly sped up garage beats [...], and usually with a break in the middle where the beat is stripped down and then builds up for a long period of time."
  9. ^ History of Speed garage: "Speed garage can be broadly defined as a mixture of slightly sped up garage beats [...], sometimes with timestretched vocals"
  10. ^ (2004) "Popular Music Genres: An Introduction", ISBN 0-7486-1745-0, 978-0-7486-1745-6, p.216: "Jungle and ragga-style sound effects, such as the rash of gun shot volleys heard on popular speed garage tracks,..."
  11. ^ (2004) "Popular Music Genres: An Introduction", ISBN 0-7486-1745-0, 978-0-7486-1745-6, p.216: "Overall, two-step [..], less relied on the dub sound effects [...] of speed garage"
  12. ^ The 15 Greatest Remixes of All Time”. Magnetic Magazine (2016年2月19日). 2017年9月10日閲覧。

外部リンク


スピードガラージ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/22 14:17 UTC 版)

UKガラージ」の記事における「スピードガラージ」の解説

スピードガラージにはすでに、サブベースの帯域演奏されるベースラインラガ風のボーカルバックスピン、ドラムサウンドの逆再生など、今日UKガラージサウンドがもつ要素多く組み込まれた。いわゆる2ステップ (2-step) サウンド浮上するまで時とともに加わったのが、R&Bスタイルボーカル、よりシャッフルを効かせたビート違ったドラムパターンなど、より一層ファンキー要素であった。スピードガラージから2ステップへの最も根本的な変化は、各小節2番目・4番目のキックドラムの消失であった単純に4つ打ちからこれらを間引いたパターンをもつトラック場合、キックドラムの演奏周期が2倍に引き伸ばされた状態であり、4つ打ちトラックより遅いものとして知覚されうるが、シンコペーション使用したベースライン導入や、パーカッション以外のサウンドパーカッションのように使用するアプローチリスナー興味を保つ。 スピードガラージのトラックは、テンポ上げたハウス・スタイルのビート、そして当時ドラムンベース・プロデューサーたちに人気のあった、スネアドラムの細かい連打逆再生風のニュアンス湾曲的なピッチ変化付けた[訳語疑問点]ベースラインといった要素特徴であった。 スピードガラージのサウンド磨いたとされる人物の中でもトッド・エドワーズ (Todd Edwards) はUKガラージサウンド大きな影響与えた存在としてよく引き合い出されるニュージャージー出身プロデューサーであるエドワーズは、新たな方法ボーカル扱った。完全なヴァースコーラスに代わって、エドワーズサンプリング技術用いボーカルフレーズを選び出して楽器のように演奏した個々音節はしばし逆再生されたりピッチ変更されたりすることもあった。このようなボーカル取り扱い方今もなおUKガラージ様式上の大きな特徴である。スニーカー・ピンプス (Sneaker Pimps)「スピン・スピン・シュガー」(Spin Spin Sugar) のアーマンド・ヴァン・ヘルデン (Armand Van Helden) による1997年のスピードガラージ・リミックスは、スピードガラージというジャンルをさらに普及させた(スピードガラージはこの時メインストリーム食い込んだものとしばしばみなされる)。スピードガラージ・デュオのダブル99 (Double 99)、187ロックダウン (187 Lockdown)、インダストリー・スタンダード (Industry Standard) は、1997年大きなクラブヒットを生んだ。前2組1997年・1998年いずれも全英トップ20ヒット記録しており、ダブル99は「リップグルーヴ」(RipGroove) が第14位(再リリース時)、187ロックダウンの「ガンマン」(Gunman) と「カンフー」(Kung-Fu) はそれぞれ16位、第9位となっている。インダストリー・スタンダードは「Vol. 1(ホワット・ユー・ウォント・ホワット・ユー・ニード)」[Vol. 1 (What You Want What You Need)] が1998年1月に最高第34位となりトップ40ヒットを手にしている。また、インダストリー・スタンダード (Industry Standard)、ラムゼイ&フェン (Ramsey & Fen)、R・I・P・プロダクションズ (Double 99)、シリアス・デンジャー (Serious Danger) によるリミックス収録して1997年XLレコーディングス (XL Recordings) からリリースされたソモア フィーチャリング デイモン・トゥルーイット (Somore featuring Damon Trueitt) の「アイ・リフューズ(ホワット・ユー・ウォント)」[ I Refuse (What You Want)] も同じ1998年1月に第21となっている。イギリストッド・エドワーズ相当する人物が、オーボエピアノクラシック音楽教育受けたMJコール (MJ Cole) であり、「シンシア」(Sincere) や「クレイジー・ラヴ」(Crazy Love) など1990年代後期 - 2000年代前期にチャートヒット/アンダーグラウンドヒットを連発している。MJコールまた、BBCの「ヤング・ミュージシャン・オブ・ザ・イヤー」(Young Musician of the Year) を受賞している。

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