アルキ収容所 - アルジェリア戦争
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/07 14:43 UTC 版)
「リヴザルト収容所」の記事における「アルキ収容所 - アルジェリア戦争」の解説
1954年にアルジェリア戦争が勃発すると、リヴザルト収容所は1957年から1962年まで、アルジェリア人兵士を収容する監視軟禁施設(CARS)として使用された。1962年3月18日にエヴィアン協定によりアルジェリアがフランスから独立すると、80万人以上いた欧州系入植者(ピエ・ノワール)はフランスへの引き揚げが認められたのに対して、現地でフランス軍に雇われたムスリムの補充兵アルキは、アルジェリア人の同胞の怒りの標的となり、報復として、エヴィアン協定調印後もテロ活動を行っていたアルジェリア民族解放戦線(FLN)などにより拷問を受け、数十万人が殺害された。当時のミシェル・ドゥブレ内閣は、報復は行わないという民族解放戦線の約束を信じて、エヴィアン協定調印後まもなくアルキ部隊を解散して武器を回収し、しかも、アルキを保護する措置を講じていなかったからである。この結果、10万人以上のアルキが仏本土に逃げ渡ったが、彼らは、事実上、フランス国籍を「喪失」していた。もともと1946年5月7日の法律により、アルジェリアを含むフランス海外領土の出身者はフランス国籍を認められていたにもかかわらず、1962年7月21日のオルドナンス(法令)により、アルジェリア出身者は国籍法に定める承認を受けたうえでフランス国籍を認めるとされたからである。したがって、アルキは引揚者を対象とする政策措置を受けることができず、へき地の収容所に収容された。収容者の数は、1962年9月から1964年12月までの間に約22,000人、一時滞在者はフランス全体で42,000人とされる。 フランス政府は急遽、仮収容所を設置した。まず、1962年6月15日に、アヴェロン県(オクシタニー地域圏)のラルザック高原に約1,000のテントを設置した。6月24日にはフランス中部ピュイ=ド=ドーム県(オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏)のブール=ラスティック(フランス語版)にも仮収容所を設置した。7月19日の時点でこの2か所に12,000人のアルキが収容されたが、不衛生な環境で食料品・医薬品も不足し、ブール=ラスティックでは数週間に10人以上が死亡した。こうした状況から、政府は、この2つの仮収容所を閉鎖し、アルキを別の3つの収容所に移送した。イゼール県(オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏)ヴィエンヌのラ=レイ=ル=ヴィジャン収容所、ガール県(オクシタニー地域圏)サン=ローラン=デ=ザルブル(フランス語版)のサン=モーリス=ラルドワーズ(フランス語版)収容所、そしてリヴザルト収容所である。このうち、リヴザルト収容所には1962年10月に9,620人(女性1,910人、男性3,050人、子ども4,660人)が収容されたが、収容しきれなかったために設置されたのがサン=モーリス=ラルドワーズ収容所で、収容人数400人のところ5,000人が入ることになった。 政府は引揚者が社会的・経済的に統合されることを最優先課題とし、雇用政策に取り組んだ。この結果、1963年から主に北部の繊維工場、鉄工所、炭鉱などに職を得て、収容所を出て行くアルキが徐々に増えていったが、一方で、政府は、アルキを国有林整備・再植林の仕事に就かせるために、南仏やコルシカ島に75の「国有林管理村」を設置し、リヴザルト収容所からは主にプロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏の「国有林管理村」に1,845世帯が移住することになった。 リヴザルト収容所は、1964年12月に閉鎖された。この間に収容されたアルキとその家族の数は21,000人近くに及ぶ。やがて、「国有林管理村」も閉鎖され、1977年に残っていた家族は再びリヴザルトのレアール区に移された。 1964年に閉鎖された後、1966年3月まで、ギニアの軍人とその家族約800人が収容された。これは、1958年にギニアがフランスから独立した後、セネガル、コートジボワール、ニジェールなどのフランス軍兵舎に居住していた人々をリヴザルト収容所に移住させたためであり、同時期に、フランス領インドシナ出身の軍人も少数だが収容されていた。 さらに1986年から2007年までは国外退去命令が出された不法移民の収容所(移住者収容)として使用されたが、2007年からは記念館の建設のためにペルピニャンの収容所に移された。
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