アルギニノコハク酸合成酵素偽遺伝子
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/09 01:55 UTC 版)
「中立進化説」の記事における「アルギニノコハク酸合成酵素偽遺伝子」の解説
アルギニノコハク酸合成酵素(AS)遺伝子は9番染色体上に位置しているが、ASの偽遺伝子が多数存在しており、7番染色体とY染色体に存在している2つの偽遺伝子(これをφ-7、およびφ-Yとする)の塩基配列が調べられた。φ-7、φ-Yはいずれも共通の祖先偽遺伝子(これをφ-aとする)に由来している。φ-a→φ-Yの進化の過程における塩基置換率は、φ-a→φ-7の塩基置換率の2.2倍であることが判明した。これは、オスの生殖細胞形成の際の分裂回数がメスに比べてはるかに多く、その結果複製ミスによる塩基の置換が発生しやすいことを反映している。つまり、7番染色体は平均して2世代につき1世代をオスの中で過ごすが、Y染色体は必ずオスの体にしか存在しないため、Y染色体の複製ミス発生率は7番染色体の2倍になるのであると考えればよい。このように複製ミスの発生率と塩基の置換率が単純に比例していることは、塩基の置換による突然変異が、自然淘汰に対して中立であることを示している。
※この「アルギニノコハク酸合成酵素偽遺伝子」の解説は、「中立進化説」の解説の一部です。
「アルギニノコハク酸合成酵素偽遺伝子」を含む「中立進化説」の記事については、「中立進化説」の概要を参照ください。
- アルギニノコハク酸合成酵素偽遺伝子のページへのリンク