アルキル置換
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/04/14 22:13 UTC 版)
7位のエチレン(C2H5)やクロロメチル(CH2Cl)などのアルキルによる置換は細胞毒性を増加させることが示されている。これらの官能基は腫瘍の活性増加をもたらすトポIの存在下でDNAと反応することができる。7位において炭素鎖の長さを増加させることは親油性を増加させ、その結果としてヒト血清の活性と安定性を向上させることも示されている。別の7位に修飾を受けたカンプトテシン相同体としてシラテカン(silatecan)とカレニテシン(karenitecin)がある。これらは強力なトポI阻害剤でどちらも7位にアルキルシリル基を持つ。これが親油性を与えより安定化させている。シラテカン(7-シリルカンプトテシン)は薬剤とヒト血清アルブミンとの相互作用を減少させ、これが血中安定性をもたらし血液脳関門を越えられるようにもしている。DB-67は10位ヒドロキシ基誘導体でシラテカンの中で最も活性が高い。カレニテシンの一種であるBNP1350は細胞毒性を持ち、薬剤耐性に打ち勝つ能力を呈する。イミノメチルやオキシイミノメチルなど更に別の置換でもカンプトテシンの親油性を導入できる。その中で最も強力な化合物はオキシイミノメチル誘導体のST1481で、これは輸送機構によって引き起こされる薬剤耐性に打ち勝つことができる利点を持つ。炭素鎖の7位にある塩基性窒素は化合物をより親水性にするため、より水に溶けやすくなる。一例を挙げると、CKD-602と呼ばれる誘導体は、強力なトポI阻害剤で水溶性の低さとカンプトテシンで見られるような毒性をうまく克服している。 かなり大きな活性がアミノ(NH2)、ニトロ(NO2)、ブロモ(Br、臭素)、クロロ(Cl、塩素)のような電子求引性基を9位と10位に、ヒドロキシ基を10位か11位に置くことにより実現できる。ところが、これらの化合物は比較的水溶液に溶けにくく、管理が難しい。10位と11位両方のメトキシ基は同時に不活性化を導く。
※この「アルキル置換」の解説は、「カンプトテシン」の解説の一部です。
「アルキル置換」を含む「カンプトテシン」の記事については、「カンプトテシン」の概要を参照ください。
- アルキル置換のページへのリンク