アフリカ系住民に対する差別
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 22:08 UTC 版)
「アメリカ合衆国の人種差別」の記事における「アフリカ系住民に対する差別」の解説
イギリスは1800年代頃からアフリカ大陸で居住する黒人たちを財力や暴力などによって捕らえ、奴隷としてアメリカに販売し大きな利益を上げた。また、黒人奴隷たちは商人たちによって売買されたりもした。 特にアメリカ合衆国南部では黒人奴隷を多数買い入れ、広大な平野を農地として開拓させるとともに農業の働き手として用し、農業が大きな発展を遂げていた。黒人奴隷は人間ではなく、単なる労働力としか認知されなかったため黒人に対する差別を強めることとなった。 南部にも人道的見地から黒人奴隷反対派の住民は多くいた。そのため、中にはそれらの黒人奴隷反対派の住民らが、奴隷撤廃派の多かった北部への逃亡を手伝うこともあった(⇒地下鉄道)。 一方、19世紀中期の北部は工業発展の緒に付いたばかりで、豊かな南部との経済的格差があり、次第に南部と北部の対立は増していた。そのため、黒人奴隷を労働力として利用する南部のやり方に異を唱える奴隷反対派が北部の住民に非常に多かった。また、北部が目指していた工業による産業振興には多数の労働力を集約する必要はなく、奴隷制を廃止されても北部には大きな打撃とはならないのも大きな理由の一つであった。 そのため、1860年の大統領選挙では奴隷制が大きな争点となり、結果、奴隷制反対を唱えた共和党のエイブラハム・リンカーンが当選した。 しかし、南部では奴隷制が廃止されると労働力確保に大きな問題が生じるとともに、これまで奴隷として抑圧されてきた黒人の不満が爆発し暴動に発展することもあったことなどから、遂に同年4月12日に南北戦争が開戦した。その際の先制攻撃は南軍によるものであった。 「アメリカ合衆国の奴隷制度の歴史」、「アフリカ系アメリカ人公民権運動」、「アフリカ系アメリカ人#被差別」、および「ネグロイド#アメリカにおける状況」も参照 ジム・クロウ法に代表される法制度(州法、連邦法)上の差別は、南北戦争(1865年)後の憲法修正条項第13条(奴隷制の禁止)、14条(法の平等の保護と適性手続きの保障)、15条(投票権の保障)により是正された。その後、公民憲法(1875年制定)により、交通機関や公共設備等の利用における人種差別が撤廃された。しかしながら、当時の実情を示す「プレッシー対ファーガソン裁判」は、法制度と実態の差を明確に示している。 黒人は今でも様々な面で社会的に不当な差別を受けているとされる。ある調査によると、「黒人に多い名前で求人に応募すると、連絡をもらえる確率が50%低くなる」という。2017年の米国勢調査局調査によると、連邦政府が定めた貧困ライン(18歳未満の子供が2人いる4人家族で年収約24,858ドル以下)未満の人口の割合(貧困率)において黒人の貧困率は約21.2%で、白人の約8.7%の約2.4倍にのぼる。また、貧困線の2倍までの人を含めた場合は、黒人は約44.6%となり、白人の約27.0%の約1.7倍となる。経済的格差も世代を超えて固定化がしつつあり、貧困率の高さは犯罪率の上昇や教育水準の低下、就職機会の減少につながると懸念されている。 また、公式的に黒人への差別につながる法律や制度や慣習が撤廃された時代以降に誕生した若年層の世代の間でも、黒人への差別感情が解消していないことを示唆する事件も発生しており、黒人差別問題の根強さを浮き彫りにしている 「ブラック・ライヴズ・マター」も参照
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アフリカ系住民に対する差別
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詳細は「アメリカ合衆国の人種差別#アフリカ系住民に対する差別」を参照 「アメリカ合衆国の奴隷制度の歴史」、「公民権運動」、および「アメリカ合衆国の歴史」も参照 アメリカの南北戦争は、奴隷解放戦争としての性格を性格の一つとして帯びていた。多くの黒人奴隷に経済基盤を支えられ、奴隷解放に反対していた南部の各州が敗れると、制度としてのアメリカの奴隷は、撤廃・解放されたが、実質的な差別は、根強く残った(ジム・クロウ法)。第二次世界大戦後の歴史では、ベトナム戦争の反戦運動に関連してマーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師による公民権運動が、多数のアメリカ市民に影響を残した。
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