アジ化水素とは? わかりやすく解説

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アジ化水素

(アジ化水素酸 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/13 07:24 UTC 版)

アジ化水素
識別情報
3D model (JSmol)
ChEBI
ChEMBL
ChemSpider
ECHA InfoCard 100.029.059
EC番号
  • 231-965-8
Gmelin参照 773
PubChem CID
UNII
CompTox Dashboard (EPA)
特性
化学式 HN3
モル質量 43.03 g mol−1
外観 無色、揮発性の高い液体
密度 1.09 g/cm3
融点

-80 °C, 193 K, -112 °F

沸点

37 °C, 310 K, 99 °F

への溶解度 溶けやすい
溶解度 アルカリ、エタノール、ジエチルエーテルに溶ける
酸解離定数 pKa 4.6 [1]
構造
ほぼ直線
危険性
労働安全衛生 (OHS/OSH):
主な危険性
猛毒性、爆発性、反応性
GHS表示:
Danger
H200, H319, H335, H370
P201, P202, P260, P261, P264, P270, P271, P280, P281, P304+340, P305+351+338, P307+311, P312, P321
NFPA 704(ファイア・ダイアモンド)
Health 4: Very short exposure could cause death or major residual injury. E.g. VX gasFlammability 0: Will not burn. E.g. waterInstability 3: Capable of detonation or explosive decomposition but requires a strong initiating source, must be heated under confinement before initiation, reacts explosively with water, or will detonate if severely shocked. E.g. hydrogen peroxideSpecial hazards (white): no code
4
0
3
関連する物質
その他の
陽イオン
アジ化ナトリウム
アジ化リチウム
アジ化カリウム
関連する水素化窒素 アンモニア
ヒドラジン
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

アジ化水素(—かすいそ、英語: hydrogen azide)は、化学式が HN3 で表される無機酸の一種[2]アジ化水素酸英語: hydrazoic acid)、アゾイミド英語: azoimide[3]とも呼ばれる。刺激臭を有する無色透明の液体。爆発性を有する。CAS登録番号は [7782-79-8]。

シアン化水素(青酸)並みの猛毒で、皮膚、粘膜などを刺激する。取り扱いには適切な設備と厳重な管理を要する。

歴史

アジ化水素は1890年、テオドール・クルチウスにより最初に単離された[4]

化学的性質

アジ化水素は弱酸性を持つ (pKa 4.6–4.7)。に溶けやすく、水溶液は多くの金属(亜鉛など)を、水素を放出しながら溶かす。そのとき、金属のアジ化物を生成する。

多くの金属アジ化物には爆発性が知られる。また、無水物の結晶は加熱により分解し、金属の純品を与える。水銀のアジ化物は水に難溶であり、そのことはハロゲン化水素とアジ化水素との類似点である。アジ化物はまた、ヨウ化アルキルと容易に反応する。

カルボン酸ハロゲン化物アルデヒドケトンなどに作用させると、シュミット反応を引き起こす。

製造

アジ化水素はアジ化ナトリウムなどの塩に酸を作用させて得る。

毒性

毒性は青酸に匹敵し、後遺症の報告もある[5]。アジ化水素は揮発性と高い毒性を持つ。蒸気を吸い込むと、刺激臭を感じるとともに激しい頭痛に見舞われる。蓄積性はない。

アジ化ナトリウムが胃酸と反応し、アジ化水素を発生させ、治療者に二次被害を与える危険性がある[6]。日本でも、医療スタッフに二次被害が発生した事例がある[6]

脚注

  1. ^ Pradyot Patnaik. Handbook of Inorganic Chemicals. McGraw-Hill, 2002, ISBN 0-07-049439-8
  2. ^ Dictionary of Inorganic and Organometallic Compounds. Chapman & Hall 
  3. ^ Chisholm, Hugh, ed. (1911). “Azoimide” . Encyclopædia Britannica (英語). Vol. 3 (11th ed.). Cambridge University Press. pp. 82–83. This also contains a detailed description of the contemporaneous production process.
  4. ^ Curtius, Th. Berichte 1890, 23, 3023.
  5. ^ 宮川定吉「アジ化水素による中毒の後遺症と判断される1例について」『産業医学』第20巻第5号、社団法人日本産業衛生学会、1978年、267-277頁、doi:10.1539/joh1959.20.276 
  6. ^ a b 広瀬保夫,畑耕治郎,本多拓,山崎芳彦,堀寧,大関暢「アジ化ナトリウム集団中毒症例の検討」『日本救急医学会雑誌』第12巻第3号、日本救急医学会、2001年、125-129頁、doi:10.3893/jjaam.12.125 

関連項目

参考文献





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