『ハフト・パイカル』
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「バハラーム5世」の記事における「『ハフト・パイカル』」の解説
詳細は「ハフト・パイカル(英語版)」を参照 『ハフト・パイカル』(ペルシア語: هفت پیکر)は、『バハラーム・ナーメ』(バハラームの書)(ペルシア語: بهرامنامه)としても知られ、1197年にペルシアの詩人ニザーミー・ギャンジャヴィーによって書かれた有名なロマンス叙事詩である。ペルシア起源のイスラム以前の物語であり、マラーゲの支配者であったアラー・アッディーン・クルプ・アルスラーンに捧げられている。 この物語はバハラームの美化された伝記となっている。バハラームは、子供がなく子供を授かるためにアフラ・マズダーへの嘆願が行われた二十年後にヤズデギルド1世を親として生まれる。彼の冒険的な人生は『シャー・ナーメ』でフェルドウスィーによってすでに扱われており、このことについてニザーミーは何度もほのめかしている。一般的にニザーミーは、以前の詩人が扱ったエピソードを省略するか、非常に簡潔にそれらに触れた上で、新しい物語の題材に集中する方法をとっている。詩人はバハラームの誕生と、アラブの王ヌゥマーンと彼の伝説的な宮殿クワーナクでのバハラームの生い立ちについて説明することから物語を始める。教育をヌゥマーンに委ねられているバハラームは、強力な狩人として成長する。 伝説の宮殿をさまよいながら、バハラームは七人の王女の肖像画が収められている鍵のかかった部屋を発見する。ハフト・パイカル(七人の美女)の名はこれに由来している。それぞれの王女は七つの異なる地方(ゾロアスター教における伝統的な地球上の地域)の出身であり、バハラームは彼女たちに恋をする。父のヤズデギルド1世が亡くなると、バハラームは王の権利主張者たちから王位を要求するためにペルシアへ戻る。いくつかのエピソードの後、バハラームは王として認められ、飢饉からペルシアの人々を救う。国が安定するとバハラームは七人の王女を捜し出し、花嫁として彼女たちを迎え入れる。バハラームの建築家は、新しい花嫁ごとに七つの宮殿を建設するように命じられる。 建築家は七つの地方がそれぞれ七つの惑星(ゾロアスター教の世界における古典的な惑星系)によって支配されていることをバハラームに伝え、各地方と惑星に関連付けられた色でそれぞれの宮殿を装飾することによって幸運を保証するようにバハラームへ助言する。バハラームは懐疑的であったものの、建築家の助言に従う。王女たちはこの壮麗な建造物に住居を定め、バハラームは訪問のたびに曜日の順に王女たちを訪れる。例えば、土曜日に訪れるのは土星などに影響を受けているインドの王女である。それぞれの王女の名前は、月のように美しいインドのラージャの娘、フラク。トルコ人のカガンの娘、ヤグマ・ナズ。 ホラズムの王の娘、ナズ・パリ。スラヴ人の王の娘、ナスリン・ヌシュ。モロッコの王の娘、アザルビン。ローマ皇帝の娘、フメイ。そしてカイ・カーウス(英語版)家出身の美しいペルシアの王女ディロステ(「健全な」を意味する)である。 それぞれの王女は各々の色の持つ雰囲気に一致する物語をバハラームへ語る。これらの七つの美しく構成された非常に官能的な物語は、詩全体の約半分を占めている。バハラームが七人の花嫁と多忙に過ごしている間、彼の邪悪な大臣が国の権力を掌握する。バハラームは、ペルシアの情勢が混乱し、国庫が底をつき、近隣の支配者の侵入を引き起こしていることに気づく。最初に彼は狩りに行くことによって心を清める。狩りから戻った後、彼は木から吊るされた犬に出会う。羊飼いである犬の飼い主は、どのようにして飼い主に忠実な番犬が性的な関係の見返りに羊の群れを雌狼へ売り渡したかを語る。バハラームは腐敗した大臣の調査を始め、多数の苦情者の中から七人を選び、彼らは彼らが苦しんでいる不正についてバハラームに告げる(七人の被害者の物語は、七人の王女の物語に対する陰鬱さによる釣り合わせとなっている)。その後大臣は処刑され、バハラームは正義を取り戻し、神の喜びのために七つの喜びの宮殿を火の寺院へ改装するように命じる。バハラームは最後に狩りに出かけるが、不思議なことに姿を消してしまう。(洒落として)野生のロバ(グール)を狩ろうとしている間に、彼は代わりに自分の墓(グール)を見つける。
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