「カトウ・チャカ」とは? わかりやすく解説

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「カトウ・チャカ」

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/15 10:22 UTC 版)

タニワタリノキ連」の記事における「「カトウ・チャカ」」の解説

熱帯アジアからオーストラリア北部にかけて分布見られる木本バンカル(Nauclea orientalis)の学名リンネにより記載されたものであるが、リンネがこの学名根拠とした資料一部には「カトウ・チャカ」 (Katou Tsjaca あるいは Katou Tsjaka) というバンカルとは別の種への言及含まれていた。この「カトウ・チャカ」の正体が何であるのかは19世紀以来諸説入り乱れることとなったが、1984年以降はクビナガタマバナノキとする説で固まりつつある。 バンカルは最初リンネにより『植物の種英語版)』初版 (1753年) で Cephalanthus orientalis という学名与えられ、後にリンネ自身の手によりナウクレア属に組み替えられたものである。そしてこの『植物の種初版には複数資料引用されているが、それは実質的に次の3種類のものに絞られるヘルマン植物標本室図版338番に基づいてリンネ著したセイロン植物誌』 p. 22, no. 53 (1747年) の記述 ヘンドリク・アドリアーン・フォン・レーデ・トート・ドラーケステイン(英語版)による『マラバル植物園英語版)』第3巻、p. 29 および図版33番 (1682年) ベルナール・ド・ジュシューによる果実2個の情報あるいは資料 この中でバンカルを指していると認められるのは最初ヘルマン図版のみであり、ジュシューによる情報対応する記録が見つからず資料現存しいとされる。そして残る Rheede (1682) は現地語名の音写「カトウ・チャカ」の名と共に紹介されているものであるが、このカトウ・チャカが何の種に対応するのかに関しては以下に挙げるように3通り解釈出され、そのいずれもがバンカルとは異なる種であったとする見解である。 Haviland (1897:32) および Merrill (1915:533) による Ochreinauclea missionis 説 Wight & Arnott (1834) による Neonauclea purpurea 説 Rumphius (1743)、Trimen (1894)、Bakhuizen van den Brink (1970:473) によるクビナガタマバナノキ説 レーデ・トート・ドラーケステインの『マラバル植物園』はインド南西部マラバール地方、つまり現在のケーララ州にあたる地域見られる植物対象とした著作であり、リズデイルは「カトウ・チャカ」という呼称の由来を探るために同地域の植物誌3冊を参照しているが、候補となる3種現地語名は以下の通りである。 「カトウ・チャカ」の候補とその現地語名Bourdillon (1908)Gamble & Fischer (1921)Rama Rao (1914)Neonauclea purpurea- Ahwan - Ochreinauclea missionisタミル語およびマラヤーラム語:Attu vanji Attu vanji マラヤーラム語:Attuvanji クビナガタマバナノキマラヤーラム語: Attu k, Kodavâra, Chakka Kodavara: Attu tek マラヤーラム語:Kodavara, Attuthekku リズデイルは 'Katu' から 'Attu' への変化や 'Tsjaca' から 'chakka' への変化許容範囲あるよう思える述べ、「カトウ・チャカ」とは Attu chakka のことで、クビナガタマバナノキを指して広域一貫して用いられてきた呼称である模様だとしているが、実際にはクビナガタマバナノキを指して野生ジャックフルーツ〉を意味するマラヤーラム語名 കാട്ടുചക്ക (kāṭṭucakka) も存在するいずれにせよ3つの候補のうち N. purpurea に関してそもそも呼称以前花の色雌蕊(めしべ)の柱頭英語版)の形状果実断面といった要素が「カトウ・チャカ」と十分に一致せず、さらに N. purpurea 自体ケーララ州トラヴァンコールには稀にしか見られないということもあり、リズデイルは真っ先に「ありえないであろう」としている。ただ残る2つ候補に関しても O. missionis はがより倒卵形托葉がはっきり半宿存性である点、クビナガタマバナノキは無毛基部楔形といった特徴は普通は持たない点が「カトウ・チャカ」の記述図像とは食い違っている。この「カトウ・チャカ」の図版には花と果実両方描かれているが、そのこと先述現地語名の一貫性総合しリズデイルは、これらが別々の機会採取されたもので、レーデ・トート・ドラーケステインは本来クビナガタマバナノキについて述べたかったものの実際に複数要素混ざっていたのではないか推察している。その後1984年にジャン・ボセが混乱していたクビナガタマバナノキの学名検討し直した際、有効な学名の基となった学名記載された際の文献が Rheede (1682:t. 33) を引用しているということもあり、この図版タイプとしている。 なおバンカルとクビナガタマバナノキの形態には以下のような相違点存在する。 バンカルとクビナガタマバナノキとの相違点バンカルクビナガタマバナノキ頂生生長強く扁平(ただしまれに見かけ円錐状のものも見られる円錐托葉半跨状ではない 半跨花冠漏斗状 高坏子房2室、胎座がY字形2つの短い上向きの腕と長く下向きの足を持つ 下部は2室だが上部は4室、胎座2つ全体的に裂けたところがないか二また 果実集合果 集合果ではなく子房の上部に4つ空洞軟骨質構造物(#検索表胎座の図を参照)を持つ 種子(ナウクレア属全体について)卵状から楕円状、時に弱く左右相称偏平 幾ばくか3角状あるいは不規則な形状

※この「「カトウ・チャカ」」の解説は、「タニワタリノキ連」の解説の一部です。
「「カトウ・チャカ」」を含む「タニワタリノキ連」の記事については、「タニワタリノキ連」の概要を参照ください。

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