《召し上がる》の敬語
「召し上がる」の敬語表現
「召し上がる」は、「めしあがる」と読みます。「食う」「飲む」の尊敬語で、敬語表現です。この場合の「食う」の意味は、「食べる」「噛んで飲み込む」です。「飲む」は、「液体などを口から体内にとり込む」という意味です。敬語表現には尊敬語の他に謙譲語と丁寧語がありますが、「召し上がる」はすでに述べた通り敬語表現の尊敬語なので謙譲語と丁寧語はありません。丁寧形は、丁寧を表す助動詞の「ます」をつけた「召し上がります」です。
「召し上がる」の敬語の最上級の表現
敬語の最上級の表現は、最高敬語です。最高敬語は天皇や皇族、王や王族のみに使う尊敬語になります。最高敬語がない場合には、天皇や皇族に対してはわざと1つの言葉に同種の敬語を重ねた二重敬語を使って敬意を表します。従って「召し上がる」の最上級の表現は二重敬語となり、尊敬の表現を2つ重ねた「お召し上がりになる」です。構造としては「食う」の尊敬語「召し上がる」に、規則的に変化して敬語になる動詞に用いる「お~になる」がついています。「召し上がる」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
「召し上がる」は尊敬語なので、ビジネスメールや手紙でもそのまま使うことができます。「社長は、昼食を社長室で召し上がるので用意してください」と書いても失礼には当たりません。疑問形は「お食事は、何時に召し上がりますか」、否定形は「時間がないので、社長は昼食を召し上がりません」などとなります。「召し上がる」は、「飲む」の尊敬語でもあります。従って、「社長は、常に決まったメーカーのお茶を召し上がります」「お茶を召し上がりますか」「健康のために、社長はお酒を召し上がりません」などのような使い方も可能です。「召し上がる」を上司に伝える際の敬語表現
「召し上がる」は、敬意の度合いの高い尊敬の表現です。社長に直接「先日社長が召し上がったお菓子は、A社の〇〇様からいただいたものです」などのように言うことができます。社員から課長に対して「社長は、昼食を召し上がりました」といった使い方も可能です。しかし、社員から社長に対して「課長は、昼食を召し上がりました」という言い方は失礼に当たるという考え方もあります。社長は、課長よりも目上だからです。自身が課員であれば、課長は身内だから外部の人に対しては敬語を使わないという考え方もできます。社長に対して課長のことを言う場合など、目下の人のことを目上の人に言う場合は謙譲語を使って「課長は、昼食をいただきました」というのが一般的です。
一方、目下を立てることが目上をさらに立てることになるという考え方もあります。気になる場合は「食べられる」を使って、「課長は、昼食を食べられました」と言うとよいでしょう。「食べられる」は「食べる」という動詞の未然形に、助動詞の「られる」がついた形です。助動詞の「られる」は軽い尊敬を表すので、尊敬の度合いが「召し上がる」よりも低くなります。
「召し上がる」の敬語での誤用表現・注意事項
テレビで芸能人が、料理を人にすすめるときなどに見られる誤用が「いただいてください」です。「いただく」は謙譲語なので、自分を低めて相手を立てるときに使います。謙譲語は、自分の動作にしか使えません。料理を食べる相手に敬意を表する場合は、尊敬語を使います。料理を人にすすめたい場合は、「どうぞ、料理をいただいてください」ではなく「どうぞ、料理を召し上がってください」と言うのが適切です。「召し上がる」の誤用には、「お召し上がりください」もあります。「お召し上がりください」は食品のパッケージなどでもよく見られる表現ですが、尊敬を表す「お」と尊敬語の「召し上がる」が重なっており、一般の人に使う場合には二重敬語となり間違いです。人に食事をすすめるときは「どうぞ、お召し上がりください」ではなく、「どうぞ、召し上がってください」というのが正しい言い方です。
しかし「お召し上がりください」は現在すでに違和感なく使われている表現なので、使ったとしてもそれほど気にする人はいないでしょう。言葉は使われる頻度が上がると正しい使い方となることも多いですが、いまのところは敬語としては正しい表現ではないことを頭に入れておきましょう。
「召し上がる」は、尊敬語独自の動詞です。一般的に尊敬語独自の動詞がある場合には、「お~になる」の形で尊敬語にすることはありません。尊敬の程度も、尊敬語独自の動詞、「お~になる」の順で低くなります。「お食べになる」や「お飲みになる」は、間違いとまでは言えませんが敬語としては使わない方がよい表現です。
「召し上がる」の敬語での言い換え表現
「召し上がる」は、「召す」「上がる」と言う形でも尊敬語として使うことができます。「召す」は「食事を召しますか」などという使い方ができますが、「食う」「飲む」以外にも「着る」「買う」などの意味があるため、状況や文脈から意味を理解する必要があります。「上がる」は「低い場所から高い場所へ移動する」という使い方が一般的ですが、「食う」「飲む」の尊敬語でもあります。そのため「先生は、書斎で昼食を上がりました」といった使い方ができます。
《召し上がる》の敬語
「召し上がる」の敬語表現
「召し上がる」は、「食べる」または「飲む」の尊敬語です。「召し上がる」だけで十分な尊敬表現であり、「お召し上がりになる」は二重敬語であり不適切と解釈されます。相手に飲食を促す場面では「召し上がってください」という言い方が最も穏当でしょう。「お召し上がりください」は一般的に使われていますが、二重敬語です。「召し上がりください」が正しいのですが、これは一般的とはいえず違和感を与えかねない懸念があります。「召し上がれ」は尊敬語に基づくとはいえ命令表現であり言うまでもなく不適切です。
「召し上がる」の敬語での誤用表現・注意事項
「召し上がる」の敬語での誤用表現は、「お召し上がりください」「ご賞味ください」です。「お召し上がりください」は2重敬語となります。「召し上がる」は、その言葉自体が敬語であるために、言葉の頭に「お」を付ける必要はありません。ただし「お召し上がりください」という言葉は、日常で頻繁に用いられている表現です。飲食店のメニューや食品の裏表記などにも用いられています。そのため厳密にいえば誤用表現ですが、現代の言葉として浸透している言葉でもあります。時代に合わせて柔軟に変化していくのが言葉でもあるので、「お召し上がりください」は誤用表現ではないという意見もあります。
「ご賞味ください」は「賞味」という言葉の持っている意味に違いがあります。「召し上がる」は「食べる」という意味を持っている言葉であるのに対して、「賞味」は「喜びながら食べる」「存分に味わいながら食べる」という意味を持っています。そのため「ご賞味ください」は、自分自身が飲食店などを行っている人が用いる言葉です。飲食店側の人がお客様に対して、自信を持って提供する料理に対して使用します。
その他には、「私が召し上がる」なども誤用表現となります。「召し上がる」とは相手に対して用いる言葉なので、自分自身に対して用いる言葉ではありません。また「後輩が召し上がる」という表現も間違っています。「召し上がる」とは目上の人に対して用いる尊敬語であるために、自分自身より目下にあたる人に対しては用いません。
「召し上がる」の敬語での言い換え表現
「召し上がる」の敬語での言い換え表現は、「おあがりになる」です。「召し上がる」は、フォーマルなイメージが強い言葉でもあります。例えば、来客を丁重にもてなす場合や、正式な会食などで用いられることが多いです。その為少し大げさに感じるために、使用する時に躊躇する場合もあるでしょう。
そのような時に「おあがりになる」を用いると、もてなす側が相手に対して謙遜している意味合いも含みます。「召し上がる」よりも控えめな表現として言い換える事ができます。例えば、相手に食事を勧める際に「どうぞおあがりください」という風に用います。
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