次数
「次数」とは、文字を含む数式において文字が何回掛け合わされたかを表す指標となる数学用語を意味する表現である。簡単にいえば、最大の次数が「2」である代数方程式を「二次方程式」、次数が「3」の場合は「三次方程式」という。
「次数」の基本的な意味
「次数」とは、文字を含む数式において表れる文字の数を表す数学用語である。文字式のうち、文字で表された変数と数から、掛け算のみによってつくられる式を単項式という。単項式を有限回足し算してつくられる式を多項式または整式と呼ぶ。単項式の次数とは、その式において文字が表れる回数である。ただし、累乗されている部分がある場合は、その指数の分だけ重複して数え、他の文字の分と足し合わせていく。こうして計算された合計がその単項式の次数である。多項式に含まれる単項式のことを項と呼ぶ。多項式の次数とは、その多項式に含まれる項の次数の中で最大のものを表す。複数の変数を持つ場合は、特定の文字に着目した次数を求めることもある。この場合は、他の文字をただの数であるかのように扱って次数のカウントには含めないようにする。多項式の中の、変数を含まない、数のみからなる項のことを定数項と呼ぶ。定数項の次数は0である。
数のみからなる単項式の次数も、その単項式が0でない場合は0である。しかし、0のみからなる多項式である零多項式については、次数は定義できない。多項式の次数は厳密には、それが含む0でない項の次数の最大値として定義されるため、零多項式の次数については何も規定していないためである。零多項式の次数は不定とするか、慣例としてマイナスの数や負の無限大として扱われる。
次数という用語は数学の他の分野で用いられることもある。グラフ理論では、頂点と呼ばれる点の集まりと、辺と呼ばれる、2つの頂点を結ぶ線分の集まりからなる図形であるグラフについて議論する。グラフにおけるある頂点の次数とは、その頂点を含む辺の数を意味する。
「次数」の語源・由来
「次数」は英語の「dgree」や「order」に相当する概念で、これらに対する訳語と考えられる。次数という単語の語源や由来は不明であるが、多項式などの次数は基本的に0か自然数の値をとるものであるため、「一次」「二次」などと段階的に数えていく使われ方がされる「次」という漢字を含む「次数」という言葉が使われるようになったと考えられる。「次数」と「係数」の違い
多項式の項は、文字同士を掛け算してできる式に、数を掛けたものと見なせる。このように項を分解して考えたとき数の部分を、その項の「係数」と呼ぶ。次数は文字からなる部分に関しての情報であるため、次数と係数は互いに大きく異なる概念である。「次数」と「指数」の違い
「指数」とは、累乗、つまり同じ数や文字を複数回掛け算する計算において、何回掛けたかを表す数である。指数は単一の数や文字の累乗に対する概念であるのに対して、次数は複数の文字を含む場合や1でない係数が存在する場合、さらには多項式の場合に対しても定義される。各項に対して、文字ごとに着目して求めた指数を足し上げると、その項の次数となるといった関係がある。じ‐すう【次数】
次数
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/03/12 08:25 UTC 版)
詳細は「多項式の次数」を参照 一変数多項式に関するいくつかの定義は一般化される: 単項式とは、A の各元と MS の各元との積を言う。このときA の元をこの単項式の係数と呼ぶ。 単項式の次数は MS の元に現れる不定元の冪指数の和を言う。 非零多項式の次数は、この多項式に現れる単項式の次数のうち最大のものを言う。(零多項式の次数は負の無限大とする。) 定数多項式は零多項式または零次多項式である。 多項式の定数項は零次の単項式の係数である。 他方、例えば「モニック多項式」や「最高次単項式」のような概念はもはや意味を為さない。 整域上の多項式環では、一変数の場合と同様に、二つの非零多項式の積の次数は各多項式の次数の和に等しい。 A が可換体のとき、多項式環 A[X] はユークリッド環であった。これは多変数の場合には拡張されない。例えば、二変数多項式環 A[X, Y]は、X, Y の生成するイデアル (X, Y) が主イデアルでないから、主環でない(したがってユークリッド環にはならない)。 したがってより弱い性質を見る必要がある。一変数の場合において、次数の概念はヒルベルトの基定理「A がネーター環ならば多項式環 A[X] もそうである」を確立することを可能にする。 A[X1, …,Xn] の帰納的定義から、直ちに以下を得る: 定理 (ヒルベルトの基定理) A がネーター環ならば、有限個の変数に関する A-係数多項式環もそうである。 この結果は無限変数の場合には拡張できない。例えば A[(Xn)n∈ℕ] のイデアル列 (X0, …, Xn) (n ∈ ℕ) は真に増大するから、この環はネーターでない。 代数的整数論の基本的な結果に従えば、代数体の任意の整数環は有限型 ℤ-加群、より強く(英語版)、有限型可換 ℤ-多元環であり、したがってそれは多項式環の普遍性により ℤ[X1, …,Xn] の剰余環で、ネーターとなる。その帰結として 命題 代数体の(代数的)整数からなる任意の環はネーターである。
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次数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/07/18 21:25 UTC 版)
「多項式の次数」も参照 零多項式において係数が非零である項は存在しないから、非零係数を持つ項の変数が持つ冪指数の最小値という通常の定義によって次数を定めることはできない。零多項式の次数は明示的に「定義しない」とするか、負整数または負の無限大とする規約がよく用いられる。非零定数多項式の次数は明らかに 0 であるから、定数多項式に零多項式を含めないという規約を定めるならば、多項式に対して次数 0 であることと定数であることとを同じ意味に用いることができる。 多項式のユークリッド除法では、多項式 P を M で割った商 Q と剰余 R をP = QM + R (R = 0 または deg(R) < deg(M)) となるただ一組の (Q, R) として定義できる。零多項式の次数 deg(0) を負数と定義することは、単純に P = QM + R (deg(R) < deg(M)) と書けるという点において有意である。 整域上の非零多項式の和に対してその次数は deg(P + Q) = max{deg(P), deg(Q}), あるいは積について deg(PQ) = deg(P) + deg(Q), などが成り立つが、零多項式の次数を −∞ とすることで、P または Q が零多項式となる場合も除外せずに済む。
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次数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/21 02:42 UTC 版)
詳細は「多項式の次数」を参照 非零多項式函数 f の次数とは ak が零でない最大の自然数 k をいう(ゆえに次数 n ならば an は必ず非零である)。零多項式の次数は −∞ であるものと約束する。 多項式函数の akxk の形の各項は(次数 k の)単項式函数と言う。最高次単項式の係数は先頭係数または最高次係数と呼び、また a0 は定数項係数(零次係数)と呼ぶ。
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