宮城球場
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歴史
プロ野球の公式戦に評定河原球場を使用していた仙台市内で、第二次世界大戦後(GHQによる占領期)に造成されていた土地(大日本帝国陸軍練兵場の跡地)に建設。日本プロ野球がパシフィック・リーグとセントラル・リーグによる2リーグ制へ移行した1950年(昭和25年)5月に開場した。
パシフィック・リーグでは宮城球場の竣工(1950年5月27日)を目前に控えていた同月5日、変則ダブルヘッダー方式の公式戦(毎日オリオンズ対南海ホークス戦と毎日対大映スターズ)を組んでいた[33]。実際には4日の夜から観衆が続々と詰め掛けていて、5日の未明(午前2時頃)には数千人が集まっていた。5日の朝には群衆がもみ合う状況になった[33]ため、主催者は当初午前10時に予定していた開場時間を午前8時に繰り上げた[33]ところ、開場の直後に観衆が入口のトンネルで転倒。その影響で将棋倒しが発生したため、3名が即死した[33]。さらに、入口からあふれた観衆が1塁側スタンド側のフェンス(高さ2メートル)を越えての入場を試みたため、フェンスがおよそ80mにわたって倒壊。地面に転落した観衆から、12名の重傷者と19名の軽傷者が出た[33]が、前述したダブルヘッダーは当初の予定どおりに催された。
1972年(昭和47年)までは照明設備が存在しなかったため、ナイトゲームを開催できなかった。これに対して河北新報社を中心に、宮城県内から15の有力企業・団体が同年9月に東北野球企業を共同で設立。1972年のプロ野球(NPB)シーズン終了後には、同社からの資金援助を背景に大規模な改修工事を実施した。この工事では、照明設備の増設(6基の照明塔の新設など)によってNPBのナイトゲームの開催に必要な照度を確保できるようになったほか、得点を電光で掲示できるスコアボードを導入[34]。いずれも、東北地方の野球場では初めての設備だった[34]。なお、東北野球企業は改修工事の完了を機に、事業の軸足を宮城球場での興行関連事業(NPB公式戦の誘致や入場券の販売など)に移している。
ロッテ本拠地時代
1973年(昭和48年)から1977年(昭和52年)までは、NPBのパシフィック・リーグ(パ・リーグ)に加盟しているロッテオリオンズ(現在の千葉ロッテマリーンズ)の本拠地であった。ロッテが1962年(昭和37年)のシーズン途中から本拠地として使用していた東京スタジアムが、1972年(昭和47年)のシーズン終了後に閉鎖されたことに伴う措置で、実際には、パ・リーグのレギュラーシーズンに前・後期(2シーズン)制が導入された1973年に限って、「準本拠地」という扱いを受けていた。ロッテが宮城球場を「本拠地」として正式に定めたのは、翌1974年(昭和49年)の1月である[35](当該項で詳述)。
1974年4月6日には、東北地方の球場では初めて、NPBレギュラーシーズンの開幕戦(ロッテ対阪急ブレーブス戦)に使用[35]。ロッテはこの年に後期優勝を果たしたため、前期を制していた阪急とのプレーオフでは、第3戦を宮城球場で開催した。プレーオフの第1戦から連勝していたロッテは、第3戦にも勝利したことによってリーグ優勝を決めた(当該項で詳述)ものの、後述する事情から宮城球場で日本シリーズを開催できなかった。ロッテは1977年(昭和52年)にも後期で優勝したため、宮城球場が阪急(前期優勝)との1977年のパシフィック・リーグプレーオフ(第3戦以降)で再び使われたが、2勝2敗で迎えた第5戦(10月15日)に敗れたため日本シリーズ進出を逃した。
その一方で、宮城球場でのロッテ主催公式戦では、完全試合が2度にわたって達成されている。最初の試合は1973年10月10日の対太平洋クラブライオンズ後期第12回戦(ダブルヘッダーの第1試合)で、ロッテの八木沢荘六が達成。逆に、1978年(昭和53年)8月31日の対阪急後期8回戦では、ロッテ打線が阪急の今井雄太郎に完全試合の達成を許した。ちなみに、今井の完全試合は(NPB発足前の1リーグ時代や2リーグ制移行後のセントラル・リーグを含む)昭和時代の日本プロ野球公式戦で最後に達成されたものである(当該項で詳述)。
ロッテによる川崎球場への本拠地移転
ロッテは1978年(昭和53年)から、神奈川県川崎市が保有する川崎球場へ本拠地を移転した。前年(1977年)まで川崎球場を本拠地として使用していた大洋ホエールズが、1978年に完成したばかりの横浜スタジアム(神奈川県横浜市)へ本拠地を移したことによる。
本拠地を首都圏の球場に置くことを東京スタジアムの閉鎖後も模索していたロッテは、横浜スタジアムの完成に際して、同スタジアムを「共同本拠地」として使用することを大洋側に申し入れていた。当時は後楽園球場が読売ジャイアンツ(巨人)と日本ハムファイターズの「共同本拠地」になっていたが、大洋側は「横浜スタジアムの専用球場化」という方針を打ち立てたうえで、1978年から本拠地を川崎球場から横浜スタジアムへ移転することを1977年8月に川崎市へ通告。この通告が川崎市側との事前折衝を経ずに突然為されたことから、川崎球場が周辺地域にもたらしてきた経済効果が本拠地の移転によって失われることを懸念した同市は、ロッテの本拠地を川崎球場へ誘致する姿勢に転じた。一方のロッテも、横浜スタジアムの共用案が大洋側に受け入れられなかったことから、川崎市の積極的な誘致活動に応じる格好で川崎球場への本拠地移転を決めた(当該項で詳述)。
ロッテの川崎移転後
ロッテは1978年以降も、主催公式戦の一部に宮城球場を2004年(平成16年)まで使用していた。当初は年間10試合前後だったが、本拠地を川崎球場から千葉マリンスタジアムに移転した1992年(平成4年)以降は、年に1 - 2カード(2 - 5試合)程度にまで減少していた。その一方で、横浜ベイスターズ(大洋ホエールズの後継球団)が年に1試合、読売ジャイアンツ(巨人)が隔年開催の東北シリーズで使用するなど、セントラル・リーグに加盟する球団の公式戦も催されていた。さらに、1992年にはNPBオールスターゲームの第3戦を開催。NPB球団の本拠地以外の球場がNPBオールスターゲームに使われた事例は、1992年の第3戦が初めてであった[36]。
毎年7月には全国高等学校野球選手権宮城大会の会場にもなっているが、前述したスコアボードは選手名が手書き式であったほか、座席の劣化など施設の老朽化が著しかった。さらに、1978年以降の夏場には選手権宮城大会での使用が優先されているため、NPBの公式戦は雨の多い時期に組まれることが多かった。このような事情から、東北野球企業では経営状態が急速に悪化した末に、2002年(平成14年)をもって解散。2003年(平成15年)と2004年(平成16年)には、宮城球場の興行に関する事業を河北新報社が引き継いでいた。
さらに、グラウンドに水が溜まりやすい立地であることから、高校野球の選手権宮城大会でも試合の雨天中止が続出。大会の運営や日程調整に支障を来していたため、宮城県内では宮城球場の改修・移転・建て替えなどをめぐる議論がたびたび浮上していた。1999年(平成11年)には、宮城球場を全面的に改修する旨の嘆願書が、およそ12万人分の署名簿と合わせて宮城県に提出されている。一方の宮城県では当時財政難で、都市公園法を初めとする法律上の問題と相まって、具体的な改善策を打ち出すまでに至らなかった。
ヤクルトスワローズの本拠地誘致構想
2004年の6月には、NPBに加盟する球団を東北地方へ誘致することを目指していた複数の市民団体が、セントラル・リーグのヤクルトスワローズを仙台市に誘致する活動を開始した。ヤクルトの本拠地・明治神宮野球場の使用に関する契約期間が1年で、ヤクルト側が使用を継続するために毎年の契約更新を余儀なくされていることを踏まえての活動で、非公式ながら署名などの誘致活動を展開。団体では「5年後(2009年シーズン)を目途にヤクルトの本拠地誘致したい」という意向を示してはいたものの、老朽化が進んでいた宮城球場の扱いや、宮城球場に代わる球場の建設などについての具体案を出すまでには至らなかった。
その一方で、パ・リーグではこの年のシーズン終了後に、オリックス・ブルーウェーブによる大阪近鉄バファローズの吸収合併でオリックス・バファローズが誕生。合併に至る過程でNPBの再編問題が生じたこともあって、ヤクルトの本拠地誘致構想は後述する新球団の参入計画に事実上引き継がれた。
「ライブドア」と「楽天」による球界参入構想
オリックスブルーウェーブへの吸収合併に伴う近鉄球団の消滅(前述)に2004年のシーズン中から反対してきた日本プロ野球選手会は、日本野球機構(NPB)に対して、パ・リーグの6チーム制を維持すべく1チームの新規参入を認めることを要望。NPBもこの要望を受け入れたため、新規参入を希望する事業者を公募したところライブドアと楽天(いずれもインターネット関連企業)がNPBに加盟を申請した。申請に際しては両社とも宮城県を保護地域へ定めることや、宮城球場を改修したうえで本拠地として使用することなどを打ち出していた。
ライブドアでは、プロ野球チームを運営する子会社(ライブドアベースボール)を設立したうえで、9月16日にNPBへの加盟を申請した。これに対して、楽天も同月24日の午後に加盟を申請。NPBが10月6日に実施した第1回の公開ヒアリング(審査会)では、ライブドア・楽天の両社から、改修に向けた計画が示された。いずれの計画も「改修工事の費用を親会社が負担する」という前提で立てられていて、楽天側は32億円程度、ライブドア側は20 - 30億円程度の予算を提示していた。
ちなみに楽天側は、2004年のNPBシーズン終了後から増・改築を段階的に施すことを視野に、2005年レギュラーシーズン開幕時点におけるスタンドの収容人数を「23,000人規模」と設定。このような暫定措置を経て、3万人規模にまでスタンドを拡張する方針を打ち出していた。一方のライブドア側は、2005年のレギュラーシーズン開幕を「3万人規模」の収容人数で迎えた後に、同年のシーズン途中を目途に改修工事を完了させる方針を明らかにしていた。
「東北楽天ゴールデンイーグルス」の誕生に伴う本拠地化
NPBでは、2004年11月2日にプロ野球実行委員会とオーナー会議を相次いで開催。その席上で、楽天を母体とする「東北楽天ゴールデンイーグルス」の新規参入が正式に認められた。東北地方の球場を本拠地に使用する前提で創設された球団がNPBに加盟する事例は初めてで、本球場を本拠地に使用する球団の出現はロッテの撤退(川崎球場への本拠地移転)以来28年ぶりであった。
楽天側は、ゴールデンイーグルスのNPB参入とパ・リーグ加盟が正式に認められたことを受けて、上記の計画に沿った第1期の改修工事を2004年12月から開始。工期中に大雪へ見舞われながらも、当初の予定どおり、翌2005年(平成17年)のレギュラーシーズン開幕前(3月)に完了した。2005年の10月から計画されていた第2期の改修工事についても、大幅な遅れが生じないまま2006年(平成18年)3月に完工(詳細後述)。球場の近隣で仙石線の地下化工事や仙台駅東口側の都市整備が進んだこともあって、公共交通機関や自動車などによる球場へのアクセスも改修工事の前に比べて大幅に向上した。
本拠地化後の主な出来事
命名権(ネーミングライツ)制度の導入に伴う動きについては前述。
「フルスタ宮城」時代
- 2005年(平成17年)
東北楽天ゴールデンイーグルス(楽天)にとってレギュラーシーズン初の主催公式戦を、開幕第3カードの第1戦に当たる4月1日の対西武ライオンズ戦で開催した。
その一方で、巨人の主催試合として15年振りに組まれていた8月9日の対横浜戦では、この年限りでの現役引退を2日前(8月7日)に表明していた横浜の佐々木主浩(宮城県・東北高校・東北福祉大学出身の右投手)が2回裏の無死1塁(巨人の清原和博内野手を打席に迎えた局面)で登板。「(地元に住む)おふくろ(実母)の前で投げたい」との希望に沿った登板で、親友にして高校時代からのライバルでもあった清原から3球で三振で奪ったことによって、NPB(大洋・横浜)/ MLB(シアトル・マリナーズ)通算で16年間のプロ野球生活を締めくくった。
9月17日には、萩本欽一率いる茨城ゴールデンゴールズとNTTグループ東北マークス(さとう宗幸が総監督を務める地元の社会人野球チーム)の練習試合をナイトゲームで開催。13,600人もの観客を前に、NTTマークスが16対10で勝利した。
- 2006年(平成18年)
7月31日に催された第88回全国高校野球選手権宮城大会決勝で、仙台育英の佐藤由規と東北の高山一輝が投手戦を展開。当時の大会規定によって0対0のまま延長15回で打ち切られたが、翌8月1日の再試合で仙台育英が勝利したことによって5年振りの本大会出場を果たした。
- 2007年(平成19年)
7月21日に、ガリバーオールスターゲーム第2戦をデーゲームで開催。NPBオールスターゲームの開催は宮城球場時代の1992年以来15年振り2度目だが、東北地方でNPB球団の本拠地に使われている球場での開催は史上初めてで、デーゲームとしての開催は1995年の第2戦(7月3日に阪神甲子園球場を使用)以来52年振りであった。当日は試合の開始前から大雨に見舞われていて、8回表(セ・リーグ選抜チームの攻撃中)に雨脚が強くなったため、審判団は中断を経てコールドゲームを宣告。NPBのオールスターゲームが「コールドゲーム」として成立したことは初めてであったが、記録上はセ・リーグ選抜が11対5で勝利している。
「Kスタ宮城」時代
- 2008年(平成20年)
楽天対巨人戦がデーゲームで組まれていた6月14日の試合前(午前8時43分)に宮城県の内陸南部で岩手・宮城内陸地震(最大震度6強)が発生したことを受けて、晴天にもかかわらず、この試合が急遽中止された。地震の影響で公共交通機関の運行が停止されたことや、本震の発生後も余震が続いていたことなどを受けての措置で、地震の発生に伴う公式戦の中止は日本プロ野球史上初めてあった。このカードは翌15日に改めて開催されたが、地震の影響で宮城県を中心に死者が出ていたため、試合前には両チームの関係者や観客から黙祷が捧げられた。
- 2009年(平成21年)
第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の開催に伴ってNPBレギュラーシーズンの開幕日が4月3日に設定されたことを受けて、春先特有の気候や改修工事との兼ね合いで前年まで見送られてきた楽天主管のオープン戦を、例年開幕している時期(3月の下旬)に2試合開催(23日の対オリックス戦と24日の対西武ライオンズ戦)。さらに、楽天がレギュラーシーズン2位で球団史上初めてクライマックスシリーズ(CS)へ進出したため、10月16日・17日には福岡ソフトバンクホークス(レギュラーシーズン3位)とのCSファーストステージの会場になった。
- 2010年(平成22年)
6月13日のセ・パ交流戦(楽天対東京ヤクルトスワローズ戦)で、外野スタンドで泥酔していた男性客が2.8メートル下のグラウンドに飛び降りる事故が試合中に発生。男性客を救助するために、試合がおよそ15分中断された。男性客は左足首を打撲しただけで大事に至らなかったものの、場内スタッフからの度重なる警告へ従わないまま飛び降りていたことが確認されたため、球場側は「球場の運営に支障を来した」との理由でこの客を無期限の出入り禁止に処した。
- 2011年(平成23年)
楽天の一軍が兵庫県立明石公園第一野球場でオリックスとのオープン戦、二軍がヤクルト戸田球場(埼玉県戸田市)で教育リーグに臨んでいた3月11日の午後2時46分に東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)が発生。当球場では、場内施設のうち47ヶ所(照明塔など)が倒壊した。倒壊個所の補修に時間を要することや、地震の影響で東京電力福島第一原子力発電所事故が発生したことを受けて、NPBではレギュラーシーズンの開幕を4月12日に延期することを決定。楽天の一軍では本拠地後初めてのレギュラーシーズン開幕戦を3月25日に千葉ロッテマリーンズとのデーゲームで予定していたが、実際には会場をQVCマリンフィールド(ロッテの本拠地)に振り替えたうえで、ロッテの主催試合として開催した。レギュラーシーズン最初の楽天主催カードについても、対戦チームをオリックスに変更したうえで、阪神タイガースの本拠地である阪神甲子園球場を4月15日から3日間使用している[注 5]。
4月29日の楽天対ロッテ戦から、球場の使用を再開。7月24日には、震災の発災前まで予定されていなかったマツダオールスターゲーム2011第3戦が、「東日本大震災の被災者救済チャリティー試合」として急遽開催された[注 6]。
- 2012年(平成24年)
前年に見送られた楽天の本拠地化後初のNPBレギュラーシーズン開幕戦を、ロッテとのデーゲームとして3月30日に開催。
- 2013年(平成25年)
楽天が球団史上初めてパ・リーグで優勝したことを受けて、10月26日に、開場以来初めての日本シリーズ(楽天対巨人戦)を開催。楽天は、4勝2敗で迎えた11月3日の第7戦に勝利したことによって、球団史上初の日本シリーズ制覇を本拠地で成し遂げた。レギュラーシーズンの途中(夏場)までは常設スタンドの収容人数(23,451人)が日本シリーズ開催の「目安」とされる規模(3万人前後)に達していなかったものの、例年より観客の多かった夏場以降に座席やスタンドの仮設などを繰り返した結果、日本シリーズが開幕した時点では最大で28,120人を収容できるようになった(詳細後述)。
「コボスタ宮城」→「Koboスタ宮城」→「Koboパーク」時代
- 2017年(平成29年)
8月30日にナイトゲームとして催された楽天対西武戦では、8回表の終了後に激しい降雨で中断している間に野鳥[注 7]の大群がグラウンドに飛来。内外野を低空で旋回したため、グラウンド整備後も試合を再開できない事態に陥った。スタッフが笛を吹きながら野鳥を追い掛け回したり、中堅の後方から花火を数発打ち上げたりしても上記の事態が変わらなかったため、最終手段としてテレビ・ラジオの中継ブースと1塁側・3塁側のダッグアウトを除く照明を消灯。この状況でドローンを球場の上空に飛ばしたところ、野鳥の大群は内外野から離れた。しかし、すべての照明の再点灯に時間を要したため、試合が58分間にわたって中断。さらに、8回裏の終了後に雨脚が再び強まったことから、2度目の中断を経て球審の秋村謙宏から降雨コールドゲームを宣告された(結果は8-8の引き分け)。2リーグ分立(1950年)以降のNPB一軍公式戦において、鳥の飛来で試合が中断した事例は、この試合で4例目である[38]。
- 2019年(平成31年)
4月2日の楽天対日本ハム戦から、楽天主催の一・二軍公式戦開催日限定でスタジアム内外を完全にキャッシュレス化。この試合は16:00に始まったが、1回裏の途中から激しい降雪に突如見舞われたため、16:11から22分間中断した末に再開された(試合は3-1で楽天の勝利)[39]。
7月11日には、令和時代および、宮城県内の球場としては初めてフレッシュオールスターゲームを開催した[40]。
「楽天生命パーク」時代
- 2020年(令和2年)
年頭から日本国内で新型コロナウイルスへの感染が拡大していることに伴って、NPBがレギュラーシーズンの開幕を当初の予定からおよそ3ヶ月延期。当球場では、開幕当初に楽天主催の2カード(対ロッテ戦・対西武戦各6試合)を無観客で実施した。7月15日の対西武戦から、最大5,000名限定で観客の入場を再開(詳細後述)。
7月21日には上記の措置に沿って楽天対オリックスのナイトゲームを催したところ、8回表の途中から濃霧で中断した後にコールドゲームが成立した(試合は10対3でオリックスの勝利)。濃霧によるコールドゲームはNPBの一軍公式戦で20年振り5回目(日本シリーズを含めれば6回目)だが、宮城球場時代にも、1975年4月27日のロッテ対近鉄戦と1977年6月26日の大洋対阪神戦で成立している[41]。
- 2021年(令和3年)
宮城県内で2月下旬から新型コロナウイルスへの感染が再び拡大していることを背景に、3月18日に宮城県と仙台市が緊急事態宣言を発出したことを受けて感染拡大防止策を強化。楽天主催の一軍公式戦では、日本ハムとの開幕3連戦(3月27 - 29日)を皮切りに、観客の入場を1試合あたり1万5,600人までに制限した[42]。さらに、仙台市内における感染状況の深刻化を背景にまん延防止等重点措置が4月5日から5月5日まで仙台市に適用されることを受けて、当該期間中に予定されている楽天のホームゲーム12試合の前売券の販売を4月5日の21:00で停止。試合が開催される場合には、停止時間までに前売券を購入した観客にのみ入場を認めていたが、この措置が緩和されるまでは当日券を発売しなかった[43]。
上記の条件に沿って5月2日に開催された楽天対ロッテのデーゲームでは、4回表1死1塁の局面でロッテの安田尚憲が放った飛球が、左翼フェンス最上部とネット最下部に生じている隙間へ挟まった。楽天の左翼手・島内宏明がボールの抜き取りに手間取るうちに、一塁走者の中村奨吾が本塁へ生還したものの、審判団は協議によって以上の状況を「ボールデッド」とみなした。このため、中村の生還は認められず、試合は1死2・3塁の局面から再開(公式記録上は安田の二塁打)。三塁に戻された中村は、次打者・角中勝也による二塁ゴロの間に、改めて本塁へ生還している[44]。
なお、この年が東日本大震災の発災から10年目に当たることを背景に、7月17日にはオールスターゲームの第2戦で使用。楽天から5選手が出場した結果、「3番・左翼手」としてスタメンに起用された島内がMVPに選ばれた。
また、7月19日から25日までは2020東京オリンピック野球日本代表の強化合宿、オリンピック開会式後の24日・25日には日本代表の強化試合に使用されている。当球場で開催される楽天関連の試合では、基本として後攻のホームチーム(楽天)が三塁側のダグアウトを使用するが、24日の強化試合第1戦(日本代表対楽天戦)では日本代表が後攻(ホームチーム扱い)ながら一塁側のダグアウトへ入っていた[45](結果は5対3で楽天が逆転勝利)[46]。
- 2022年(令和4年)
8月30日に楽天対オリックスのナイトゲームを18:01から開始したところ、日没の直後から場内の至る場所で蛾が大量に飛翔。バックネット、バックネット裏のフェンス、照明設備の近くに張り付いたほか、3回までマウンドや打席の近くでも飛び回るなど、選手の視界を遮っていた。スタンドの観客が屋内へ避難することも相次いでいたが、審判団が試合を中断させるまでには至らず、5回裏に楽天が攻撃を終えた時点で試合が成立した[47][48]。もっとも、2日後(9月1日)の同カードでは、試合が9回に入ったところで十数羽の鳥が外野方向からグラウンド内へ飛来。主に左翼から中堅のエリアを低空で旋回したばかりか、一部の鳥が内野グラウンドにまで飛んできたため、審判がプレーを一時止める事態に至った[49]。
「楽天モバイルパーク」時代
- 2023年(令和5年)
8月11日に楽天対オリックスのナイトゲームが18:00から組まれていたが、晴天にもかかわらず、試合の開始時間が急遽19:46にまで繰り下げられた。楽天で前日(10日)までの遠征先(福岡市)から当球場へ向かっていたチーム用具車が、東北自動車道を移動中に、帰省ラッシュと郡山ジャンクション(福島県郡山市)付近での事故に起因する渋滞へ巻き込まれたことによる。この事態を受けて、楽天野球団が5回裏の終了後に予定していた場外での花火の打上げを試合前に繰り上げることなどで対応していたところ、19:00過ぎにチーム用具車が球場へ到着した。試合自体は、楽天の先発投手・岸孝之が108球で9回完封勝利を収めたこともあって、開始から2時間37分後の22:23に終了した[50]。
注釈
- ^ 専用球場扱いとなるのは1974年から
- ^ 契約料は年額1億5000万円以上。契約料が年額1億5000万円から2億円未満の間であった場合は、県の収入は5000万円に固定され、残余が楽天野球団の収入となる。年額2億円以上の場合は、県1/4、球団3/4という受取配分になる。
- ^ 第770回宮城県教育委員会定例会日程 (PDF) (宮城県 2008年1月16日)によると、日本プロ野球機構の内規により、6文字以内の表記もあることが求められている。そのため、6文字を超える愛称が命名される場合、6文字以下の公式略記も合わせて発表される。
- ^ ただし、NHKプロ野球の中継では頭に楽天はつかず「コボスタジアム宮城」という表現が用いられている。
- ^ 阪神はこの期間に、ナゴヤドームで中日ドラゴンズとの3連戦に臨んでいた。
- ^ ただし、予備日が設けられていなかったため、降雨などで中止になった場合に開催を取り止めることが想定されていた。
- ^ 財団法人・日本野鳥の会は報道陣の取材に対し、この時の鳥の種はアカエリヒレアシシギで、本来は繁殖地の北極海から越冬のために数万の大群で南下するものの、風の影響でその一部がはぐれて迷鳥となったのではないかとする見解を述べている[37]。
- ^ 後にナゴヤドームなども同様のシステムに改造。
- ^ 都市公園法施行令第14条第4項に記載あり。
- ^ 日本選手権シリーズ試合規定第15条では、入場料で得られた収益をNPBと進出2球団で折半する割合が定められている。
- ^ 東京の後楽園球場にて代替開催。
出典
- ^ 『2022プロ野球選手写真名鑑』日刊スポーツ出版社、2022年2月17日。
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- ^ 球場物語―この1冊で球場のすべてが分かる! B.B.mook―スポーツシリーズ(338) - 2005年3月、ベースボール・マガジン社発売 ISBN 4583613113
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