ポリネシア人 身体的特色

ポリネシア人

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/15 16:16 UTC 版)

身体的特色

ポリネシア人はいわゆるモンゴロイドに分類されてきた[13]が、モンゴロイドの中では例外的なまでに大型の体格と、彫りの深い顔立ちから、コーカソイドではないかと考える白人も多かった。現在では遺伝子の研究からオーストラロイドとの混合人種であることが判明している[14]。それぞれの島の間に広大な海域を挟んではいるが、どのポリネシア人の身体的特徴もほぼ同一である。

ポリネシア系タヒチ人

ニュージーランドの先住民マオリもポリネシア人の一派であり、ラグビー・フットボールのアオテアロア(ニュージーランド)代表チーム「オールブラックス」が試合前に披露するハカは、ポリネシア系言語のマオリ語である。

ガリヴァー旅行記の大人国の人々のモデルと言われる(特にトンガの人についてそのように言われる)。

K-1およびPRIDEを舞台に活躍してきたサモア系ニュージーランド人の格闘家―マーク・ハントは、打撃力測定器において、共に計測したマイク・ベルナルドジェロム・レ・バンナの2倍以上のパンチ力を記録し、その頭蓋骨ピーター・アーツのそれのおおよそ2倍の厚みを有していた。[15]

ポリネシア人は体重に対する量と量の比率が他のあらゆる人種を大きく上回る[16]。こうしたことから、『地球最強の民』(最も強い身体を持つ人々)などと称されることがある。 肥満人口が多い[17]世界保健機関の調査は、住民の肥満率において、世界上位10カ国のうちの4カ国をポリネシア系諸国が占めるとの結果を報告している。具体的には、クック諸島が世界第3位、トンガが世界第4位、ニウエが世界第5位、サモアが世界第6位という結果であり、第8位のクウェートと第9位のアメリカ合衆国を除けば、全てがポリネシア及びその周辺の島国で占められた[18]

多くのポリネシア系移民人口を有するオーストラリアニュージーランドでは、肉体を酷使するスポーツにおけるポリネシア人の活躍が目覚しい。世界最高のラグビーチームと名高いニュージーランドの代表チームにあっては、いわゆる上位陣のほとんどがサモア系/トンガ系およびマオリ系の人材で占められている。

カリフォルニア州を中心に少数のポリネシア系移民を擁するアメリカ合衆国にあっても、そのごく少数の人口にしては異常なほどに多くのアメリカンフットボールのトップ級の選手を輩出している。GQ誌が1999年に行った調査は、アメリカンサモアの少年がNFLにプロとして入場できる確率が、アメリカ合衆国本土の少年のそれの40倍にのぼっているとの見積もりを示している[19]

オーストラリアにおいては、一般的にポリネシア系の児童と白人系の児童とで身長を含む体格が大人と子供ほど違うため、少年ラグビーのリーグにおいて、ポリネシア系児童を専門とした重量級部門の設置という議論がしばしば起こっている[20]

数多の力士の中でも最大級の重量を記録した、サモア系ポリネシア人の武蔵丸光洋

他のスポーツと比べてもとりわけ肉体を酷使するプロレスにあっても、サモア・ジョーワイルド・サモアンズキング・ハクジミー・スヌーカジャマールロージーザ・ロックなど、ポリネシア人の血を引く選手が数多く活躍を見せている。「究極の重量級スポーツ」と称される日本相撲にあっても、その最高級の選手に相当する横綱にまで昇った曙太郎(母方がポリネシア人)や武蔵丸光洋、外国出身者初の入幕を成した高見山大五郎をはじめ、六代目小錦八十吉南海龍太郎など優れた力士らを多く輩出してきた。


  1. ^ a b c d e 矢野1990
  2. ^ 『銃・病原菌・鉄――1万3000年にわたる人類史の謎(上・下)』ジャレド・ダイアモンド倉骨彰訳 (草思社, 2000年)
  3. ^ 近藤2005:1
  4. ^ Davis, Nicola (2018年4月12日). “Tests on Captain Cook's sweet potato fuel row over how crop reached Polynesia” (英語). the Guardian. 2018年9月9日閲覧。
  5. ^ Dr. Martin Richards. “Climate Change and Postglacial Human Dispersals in Southeast Asia”. Oxford University Press. 2015年7月20日閲覧。
  6. ^ New DNA evidence overturns population migration theory in Island Southeast Asia”. Phys.org (2008年5月23日). 2013年5月25日閲覧。
  7. ^ Australoid mtDNA and Y-DNA in Southeast Asians and Austronesians”. AnthroScape: Human Biodiversity Forum. 2015年8月8日閲覧。
  8. ^ Scheinfeldt, L.; Friedlaender, F; Friedlaender, J; Latham, K; Koki, G; Karafet, T; Hammer, M; Lorenz, J (2006). “Unexpected NRY Chromosome Variation in Northern Island Melanesia”. Molecular Biology and Evolution 23 (8): 1628–41. doi:10.1093/molbev/msl028. PMID 16754639. 
  9. ^ Kayser, M; Brauer, Silke; Weiss, Gunter; Schiefenhövel, Wulf; Underhill, Peter; Shen, Peidong; Oefner, Peter; Tommaseo-Ponzetta, Mila et al. (2003). “Reduced Y-Chromosome, but Not Mitochondrial DNA, Diversity in Human Populations from West New Guinea”. The American Journal of Human Genetics 72 (2): 281–302. doi:10.1086/346065. PMC 379223. PMID 12532283. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC379223/. 
  10. ^ Kayser, Manfred; Lao, Oscar; Saar, Kathrin; Brauer, Silke; Wang, Xingyu; Nürnberg, Peter; Trent, Ronald J.; Stoneking, Mark (2008). “Genome-wide analysis indicates more Asian than Melanesian ancestry of Polynesians”. The American Journal of Human Genetics 82 (1): 194–198. doi:10.1016/j.ajhg.2007.09.010. 
  11. ^ Friedlaender, Jonathan S., Françoise R. Friedlaender, Floyd A. Reed, Kenneth K. Kidd, Judith R. Kidd, Geoffrey K. Chambers, Rodney A. Lea et al. "The genetic structure of Pacific Islanders." PLoS genetics 4, no. 1 (2008): e19.
  12. ^ Assessing Y-chromosome Variation in the South Pacific Using Newly Detected, By Krista Erin Latham [1]
  13. ^ モンゴロイドの形成 Archived 2013年9月6日, at the Wayback Machine. 九州大学総合研究博物館のサイト。2012年12月16日閲覧。
  14. ^ 崎谷満『DNA・考古・言語の学際研究が示す新・日本列島史』(勉誠出版 2009年)
  15. ^ 正確には1.8倍(レントゲンによる目視も可能であった)『パワーの楽園超人王国』(THE独占サンデー)にて。
  16. ^ やしの実大学:ミクロネシア講座財界
  17. ^ 片山一道『身体が語る人間の歴史 人類学の冒険』筑摩書房、2016年、187頁。ISBN 978-4-480-68971-9 
  18. ^ Streib, Lauren. World's Fattest Countries. Forbes. 2007年2月8日.
    この調査では世界194ヶ国が対象となり、BMIが25以上の人が総人口に占める割合を「肥満率」とした。上位10ヶ国は1位: ナウル、2位: ミクロネシア、3位: クック諸島、4位: トンガ、5位: ニウエ、6位: サモア、7位: パラオ、8位: クウェート、9位: アメリカ合衆国、10位: キリバスの順。日本は163位であった。
  19. ^ シアトルPI英語版『ちっぽけなアメリカンサモアから来た天才選手らがフットボールの様相を一変させている』 (英語)
  20. ^ シドニー・モーニング・ヘラルドIs Fotu, 9 and 85kg, too big for his teammates' boots? (英語)


「ポリネシア人」の続きの解説一覧




固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ポリネシア人」の関連用語

ポリネシア人のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ポリネシア人のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのポリネシア人 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS