System/360 オペレーティングシステムとは? わかりやすく解説

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System/360 オペレーティングシステム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/12 02:29 UTC 版)

IBMメインフレーム用オペレーティングシステムの歴史」の記事における「System/360 オペレーティングシステム」の解説

1960年代初頭までIBMのローエンドシステムとハイエンドシステムには互換性がなく、プログラム別のシステム移植するのは難しく、各システムディスクドライブなどの周辺機器異なっていることが多かったこのためIBMでハードとソフトの設計開発製造コスト高騰し顧客からのアップグレード要望応えきれなくなり、そのために売り上げ頭打ちになった同社1964年発売したSystem/360全てのマシンで共通の周辺機器使用でき、プログラムもほぼ共有できることが売りとなった。 元々IBMバッチ処理特化したOSであるOS/360だけをSystem/360提供するつもりだった。後によりシンプルなバッチ処理専用OSであるDOS/360開発しており、これを開発した理由には主に以下の2つがあった。 System/360モデルのうち、メモリ少な小型モデルにはOS/360大きすぎた。 OS/360開発予想以上に遅れており、System/360ハードウェア売り上げ落ちて市場崩壊することを防ぐため、隙間埋めラインナップ1つとしてDOS/360提供した別のラインナップとしてはBOS/360(小型機用のBasic Operating System)とTOS/360(テープドライブだけしか装備していない機種用のTape Operating System)があった。 System/360OSこれまでIBM開発したOS中でも特に複雑で、それには以下のような理由があった。 マルチタスクサポートディスク読み込みなどのI/O処理が完了するのを現在のアプリケーションブロック処理待っている間に別の動作中のアプリケーション切り替えるマルチタスク対応しなければこのクラスCPUが持つ高い処理能力のほとんどを遅いI/O操作対す待ち時間浪費してしまう。従ってシステム司る心臓部としてOS位置づけアプリケーション対す正当な要求全て応じつつ、もしアプリケーションクラッシュしたり永久ループなどの誤動作生じた場合は、同時に動作している別のアプリケーション影響与えないよう対処することが求められた。 様々なクラスマシンサポートメモリ搭載量が16KBの下位モデルから1MBの上モデル対応し秒間1000命令から50命令までの命令処理速度対応した様々なアプリケーション要求応える例えばあるアプリケーションではファイル先頭から最後まで読むだけでよいが、別のアプリケーションでは巨大なファイル特定のレコード高速ランダムアクセスする必要があり、また別のアプリケーションでは処理時間のほとんどを計算費やしておりディスクをほとんど読み書きしなかった。 こうした厳し要求によりOS/360や他のSystem/360ソフトウェアの開発当時としては前人未到大規模プロジェクトとなり、間もなくIBM問題直面し膨大な時間費用をかけて大量バグ対処しなければならなくなったPCがなくクロスコンパイラエミュレーターもない当時開発環境では、System/360OS実機上で開発してテストしなければならず、問題大きくなる一方でIBMBasic Programming Support / 360 (BPS/360)を先に開発しなければならなくなったBPSDOS/360OS/360開発するのに必要なツール開発するのに使われFORTRANCOBOLコンパイラソートなどのユーティリティ及びこれら全てビルドするのに必要だったアセンブラなどのツールがあり、これらのツールDOS/360OS/360にも含まれた。 IBM競合他社OS/360System/360開発遅れたことを利用しIBM市場最大弱点システム捉え各社ともOS発表したIBMSystem/360セールス失敗するのを防ぐため4つ間に合わせOS繋ぎリリースしたBasic Operating System / 360 (BOS/360) - ディスクドライブまたはテープドライブから起動しテープドライブと数種類ディスクドライブサポートする。このシステムベータテストユーザー提供されたもので、DOS/360初期バージョン考えることもできる。 TOS/360 - テープドライブ装備しディスクドライブ装備していないIBM 1401シリーズコンピュータを持つユーザーへのアップグレードパスとして提供するべく開発された。 DOS/360 - BOS/360やTOS/360に向けたアプリケーション開発していたIBMのスモールビジネスコンピュータ部門開発者ビルドしたもので、その後広く普及して主力OSとなったz/VSE祖先Operating System/360 (OS/360)で、マルチタスクサポートしないPrimary Control Program (PCP)の構成固定されたもの。 IBMはS/360-67の発表同時に、360/67の新し仮想メモリ機能活用したタイムシェアリングOSのTSS/360も発表した。TSS/360のリリースは遅れ、初期バージョン遅くて不安定だった当時既にIBMケンブリッジ科学センターCP-67別途開発しており、タイムシェアリング機能としてIBM一部大口顧客向けに無保証ながら提供しているほどに上手く動作していた。CP-67VM/370アップグレードし、最終的にz/VMとなったIBMはTSS/360を導入したユーザーアップグレードパスのTSS/370 PRPQを3度リリースした後にこれを放棄したSystem/360 OS開発する際に得られ教訓からソフトウェア工学学問的に整備しようとする機運高まりソフトウェア開発プロジェクトマネジメント科学的に取り扱うようになったSystem/360プロジェクト全体監督し、後にOS/360特定パート責任者となったシニアプロジェクトマネージャーのフレデリック・ブルックスは、プロジェクト中に遭遇した問題学んだ教訓をもとにベストセラーとなった人月の神話執筆した。その教訓とは主に次の2つである。 問題発生しているプロジェクト追加リソース(主にスタッフ)を追加投入すると、コミュニケーション困難になり、急に生産性落ちて逆効果になることがある。これは書籍のタイトルでもある「人月の神話症候群である。 成功したシステム後継版は、元のシステム使った人からの要望全て取り込もうとして肥大化し、問題生じやすい。ブルックスはこれを「セカンドシステム効果」と呼びOS/360を悪い例として全体的に引用している。

※この「System/360 オペレーティングシステム」の解説は、「IBMメインフレーム用オペレーティングシステムの歴史」の解説の一部です。
「System/360 オペレーティングシステム」を含む「IBMメインフレーム用オペレーティングシステムの歴史」の記事については、「IBMメインフレーム用オペレーティングシステムの歴史」の概要を参照ください。

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