MiG-29 «9.12»(フルクラムA)系列
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MiG-29 «9.12» ソ連国内向けの基本型。初飛行は1977年。NATOではフルクラムA(Fulcrum-A)と呼んで識別した。MiG-29 var.A «9.12A» ワルシャワ条約機構加盟国向けのダウングレード輸出型。同条約機構解散後は9.12B規格に改修されたとも言われている。MiG-29G MiG-29 var.Aの統一ドイツでのNATO規格改修型で、20機が改修された。改修の内容は以下の通り。NATO規格の敵味方識別装置を搭載。 新型の通信機器や、戦術航法装置などを搭載。 計器類(高度計や速度計など)の単位を、ソ連で一般的なメートル法から、西側で一般的なヤード・ポンド法に変更。 機体背面と左エンジンナセル腹面に衝突防止ビーコンを搭載。 GPS航法装置を追加(7機のみが追加)。 MiG-29 «9.12M» ウクライナにおける近代化改修型。リヴィウ航空機修理工場(ウクライナ語版、ロシア語版)で実施された。最初の機体はウクライナ海軍に配備されたとされるが、改修対象となった機数は不明。改修機は2008年より部隊配備される。また、それに先駆けて同様の改修を受けた機体がアゼルバイジャンに提供されている。 MiG-29 スナイパー ルーマニアのAerostar(ルーマニア語版、英語版)とイスラエルのIAIおよびエルビット・システムズ、ドイツのDASAが共同開発した近代化改修型。 戦闘能力の向上とNATOシステムとの互換性確保のために計画された改修型で、1999年に政府間協定が行われ、テストベッドとして1機のMiG-29 «9.12A»が改修されたうえで、2000年のベルリン国際航空宇宙ショーで展示された。 改修の内容は以下の通り。新型のモジュラー式多目的コンピュータの搭載 MIL-STD-1553Bデータバスの装備。 コクピットの改修 - HUDをEl-Opに換装するとともに、カラー式の多機能ディスプレイを2基追加、イスラエル製DASH-3 ヘルメットマウンテッドディスプレイの運用能力付与。 航法装置の改修 - Litton Italiana製の慣性航法装置とTrimble GPS受信機、飛行データ処理コンピュータを搭載。 ハネウェル製の無線装置を装備。 レーダー警戒受信機を、SPO-15LM ベリョーザLMからエリスラSPS-20に換装。 兵装類については一部の西側製兵器との互換性を確保。 当初の計画では18機のフルクラムAと3機のフルクラムBが改修される予定であったが、システム統合が難航したため計画は中止され、ルーマニア空軍は2003年にMiG-29の退役を決定。アエロスターとDASAは輸出市場への売り込みを図り、その中ではレーダーをEL/M-2032へ換装することも計画されていたが、ロシアのMiGから承認が得られず断念した。 MiG-29AS スロバキア空軍のNATO規格改修型で、2005年に初飛行。10機がMiG-29 var.Aから改修された。改修の内容は以下の通り。MIL-STD-1553Bデータバスの装備 BAEシステムズ製のAN/APX-113(V) 敵味方識別装置を装備。 ロックウェル・コリンズ製のAN/ARC-210(V)デジタル式無線機を装備 ロックウェル・コリンズ製のAN/ARN-147 VOR/ILS受信機を装備。 ロックウェル・コリンズ製のAN/ARN-153(V) TACAN航法装置を装備。 コックピットのIPV-2白黒レーダーディスプレイを、MFI-54 1色液晶式多機能ディスプレイに換装するとともに、計器類をメートル法からヤード・ポンド法に変更。 MiG-29 var.B «9.12B» ワルシャワ条約機構加盟国以外の国向けのダウングレード輸出型。L-18 MiG-29 var.Bのユーゴスラビア(現セルビア)での呼称。 MiG-29ESh MiG-29 var.Bのスーダン向け輸出型。輸出された2003年頃、スーダンはダルフール紛争による国際的非難を浴びており、兵器輸出を行ったロシアは当機について対地攻撃に使用できない派生型であるため紛争とは無関係であると説明している。 MiG-29S «9.12S» 9.12規格の能力向上型。レーダーをN019Mトパーズに更新し、R-77の運用能力を付与。MiG-29SE «9.12SE» MiG-29S «9.12S»の輸出型。 MiG-29SD 輸出向けに開発された、9.12S規格に準じたアビオニクスを搭載した9.12規格機。主翼下にPTB-1150増槽を装備可能となっているほか、前部胴体左側面に折り畳み式の空中給油プローブを装備。初飛行は1995年。MiG-29N MiG-29SDのマレーシア向け輸出型。初飛行は1998年。16機製造。
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