JR(国鉄)同士 の競合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 11:18 UTC 版)
国鉄時代、新幹線に並行する在来線特急と競合したものの、同一事業者よる運用として一般的には「競合」とはみなされていなかった。しかしながら、国鉄民営化後は新幹線と在来線特急が別会社によって運用されるケースが発生し、営業的にも競合関係となった。具体的な例は以下の通りである。 福岡県内(北部九州) 山陽新幹線の小倉 - 博多間がそのひとつである。JR西日本(山陽新幹線)は博多駅発着の「のぞみ」などを増発し、朝晩の通勤時間帯を中心に小倉 - 博多間のみの「こだま」も設定している(詳細は山陽新幹線#福岡県内を参照)。また、土休日には新幹線よかよかきっぷを販売しており、在来線特急の2枚きっぷと大差ない運賃で利用できる。一方、JR九州(鹿児島本線)では特急「ソニック」「きらめき」の増発、特急料金の値下げや885系・883系・787系の投入などで対抗していたが、2010年代に入り日中の「きらめき」の廃止や在来線普通・快速と大差ない運賃で利用できる「10枚きっぷ」の廃止などが行われ、新幹線に対する優位性が低下している。2018年には鹿児島本線の快速の減便(博多駅近郊のみの区間快速化)も行われており、小倉 - 博多通しの需要ではなく、新幹線の利用が不便な途中駅からの需要を担う路線にシフトしつつある。なお、鹿児島本線の小倉 - 博多間は輸送密度(平均通過人員)がJR九州内で最大の区間となっている(2016年度)。そのほか、この区間には西鉄バスによる低廉(片道1,130円)な予約不要の高速都市間バス「ひきの号」「なかたに号」「いとうづ号」も運行されているが、こちらも新幹線との競合により減便に追い込まれている。 南関東(神奈川・伊豆方面) 東京・品川 - 熱海において、JR東日本・東海道線との競合が見られる。平日早朝に上り、夜間に下り特急「湘南」、を運行し、特に東京発 18 - 20時台では特急「湘南」が 00分・30分発と2本体制になっている。ただ、平日かつ早朝・夜間帯のみの運行であるため、競合の主な対象が通勤者に置かれており、日中の時間帯や休日では棲み分けがされている。また、快速・普通列車のほぼ全ての列車には2階建てグリーン車も連結されていて、小田原・熱海方面からの在来線利用の遠距離通勤者に配慮している。 他には、東京方面からの富士箱根伊豆国立公園方面へのアクセスにおける、東京・品川 - 熱海間(JR東海・東海道新幹線とJR東日本・東海道本線)の競合があげられる。両社はこの区間において在来線同士の直通運転を除き、新幹線と在来線の相互連携は特に見られず(国鉄時代から発売されている特別企画乗車券「伊豆フリーQきっぷ」で、東京 - 熱海 - 三島間で東海道新幹線あるいは在来線特急(踊り子号)自由席の利用が可能である程度)、JR東日本側では在来線特急を伊豆急行線や伊豆箱根鉄道駿豆線と東京を直通させている。 なおJR東海は熱海駅、小田原駅から東京都区内までは新幹線を利用し、東京都区内JR在来線・りんかい線が乗り降り自由となる「こだま都区内・りんかいフリーきっぷ」を2013年7月31日まで発売していた。 近畿圏 米原 - 新大阪・大阪間についてJR東海が運行する東海道新幹線とJR西日本が琵琶湖線・JR京都線にて設定している新快速で競合しているが、新幹線の停車駅が米原・京都・新大阪しかなく、新幹線の利用が不便な地域が多いため競合範囲は限られている。新幹線は長距離輸送が主体で、都市圏輸送を担う新快速と棲み分けがなされている。 青森市 - 今別町 奥津軽いまべつ駅と津軽二股駅が隣接するJR北海道の北海道新幹線とJR東日本の津軽線については青森市側の起点が新青森駅と青森駅で異なることもあり、棲み分けられている。また、この区間は並行在来線ではないという公式見解があるほか、出発または到着駅を同一駅とした場合でも選択乗車はできない。
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