82 mm PM-37とは? わかりやすく解説

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82mm迫撃砲BM-37

(82 mm PM-37 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/25 06:15 UTC 版)

82-мм батальонный миномета обр. 1937 г
82mm迫撃砲BM-37(写真の迫撃砲はポーランド製)
種類 迫撃砲
原開発国 ソビエト連邦
運用史
配備先 ソビエト連邦
ロシア
中国
北朝鮮
 ベトナム
その他東側諸国
関連戦争・紛争 第二次世界大戦朝鮮戦争ベトナム戦争・その他多くの戦争紛争
開発史
派生型 BM-36
BM-41
BM-43
53式82mm迫撃砲中国製)
諸元
重量 56kg
要員数 3名

口径 82mm
仰角 +45~+85
発射速度 25-30発/分
有効射程 3,040m
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82mm迫撃砲BM-37:82-мм батальонный миномета обр. 1937 г)は、第二次世界大戦赤軍が使用していた迫撃砲である。

概要

フランス製のブラント81mm迫撃砲Mle27/31の改良型に当たるが、砲本体の形状はごく一般的なもので外見上特にこれと言って目立つ特徴は無い。最大の特徴は口径がオリジナルの81mmよりもやや大きめの82mmとなっていることである。このため、外国軍で一般的に使用されている81mm迫撃砲ではソ連の82mm迫撃砲弾鹵獲しても流用できないが、ソ連の82mm迫撃砲は鹵獲した敵の81mm迫撃砲弾を発射可能である。

82mm迫撃砲BM-36の初期生産型。展示品のため砲身の内腔にはインサートが溶接され、砲弾を装填できないよう処理されている

この特徴は、大祖国戦争序盤においてドイツ8 cm sGrW 34への82mm迫撃砲弾の流用を不可能とし、ドイツの戦力増強にならないようにすることができた[1]だけでなく、後の冷戦時代でもこれを供与された共産系反政府ゲリラ組織が親米・親西側政府軍から奪取した81mm迫撃砲弾を利用した弾薬調達を容易とし、ゲリラ戦遂行に対する大きな一助となった。

しかし、大祖国戦争序盤の劣勢時にはかなりの数の「砲」そのものが接収され、BM-36には8.2cm迫撃砲274/1(r)の名称が、BM-37には8.2cm迫撃砲274/2(r)の名称が、BM-41には8.2cm迫撃砲274/3(r)の名称がそれぞれ与えられ、ドイツ軍によって使用されている。なお、これらの砲から81mm迫撃砲弾を発射した際には、砲弾と砲身との間のすき間が大きくなるため、命中率が著しく低下する。

派生型

ソ連の82mm迫撃砲は、時期によって4種類の生産型に分類される。

BM-36
初期型。支持架は逆Y字型二脚で、底盤の形状は、開発当時のストークブラン81mm迫撃砲で一般的な長方形である。
BM-37
最初の改良型で底盤の形状が円盤形に変更された他、砲口に砲弾の二重装填を防止する装置が取り付けられている。なお、同様の二重装填防止装置は120mm迫撃砲PM-43にも取り付けられている。
生産は戦後も続行されて東側諸国に大量供与されたほか、中国東欧などでライセンス生産もおこなわれている。
BM-41
支持架の形状を、逆Y字型よりも生産の容易な逆T字型に変更(折り畳み可能)。また、兵士1人での迅速な運搬を容易とするために、支持架に車輪を取り付けることも可能となっている。BM-43の生産開始に伴い、生産は終了した。
BM-43
支持架の形状はBM-41と同様の逆T字型であるが、折り畳み機構を廃止し車輪を固定装備とするなど、構造を更に簡略化している。分解して運ぶ際に支持架の重量と容積増加が嫌われたのか、戦後に生産は終了している。

戦歴

開発時期を考えると、ノモンハン事件冬戦争に投入された可能性もあるが、具体的な戦歴は不明。大祖国戦争においては赤軍大隊迫撃砲として、より上位の120mm迫撃砲PM-38と共に広く使用された。第二次世界大戦以降も長期にわたって生産が続けられ、中国では53式82mm迫撃砲としてライセンス生産が行われるなど、東側諸国の標準迫撃砲となった。

冷戦時代には東側諸国の政府軍は勿論、ベトコンなどの共産系反政府ゲリラ組織にも多数が供与されている。1970年代後半からは軽量化などの改良が加えられた新型の82mm迫撃砲2B14への更新が進められたが、多くが予備兵器として保管されていると思われる。

運用国

現用

注釈

  1. ^ これと対照的なのが太平洋の戦闘で、アメリカ軍M1 81mm 迫撃砲日本軍九七式曲射歩兵砲は、同じフランス製ブラント81mm迫撃砲をライセンス生産したものだったため、双方間にほぼ完全な弾薬の互換性があった。このため、双方ともに自前の弾薬が不足した際には、鹵獲した敵の迫撃砲弾を流用して急場をしのぐことがあった。ただし、厳密には、敵迫撃砲弾を流用すると弾道特性が変わるため、正確な射撃は困難となる。そのため日米双方とも敵の弾薬を使用した際の射表を用意していた。
  2. ^ a b Richard D. Jones,Leland S. Ness (2011-01-27) (英語). Jane's Infantry Weapons 2011-2012. Janes Information Group. pp. 697-712. ISBN 978-071062947-0 
  3. ^ The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語). The Military Balance 2023. Routledge. p. 439. ISBN 978-1-032-50895-5 
  4. ^ IISS 2024, p. 497.
  5. ^ IISS 2024, pp. 103–104.
  6. ^ The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語). The Military Balance 2023. Routledge. p. 461. ISBN 978-1-032-50895-5 
  7. ^ The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語). The Military Balance 2023. Routledge. p. 182. ISBN 978-1-032-50895-5 
  8. ^ IISS 2024, p. 523.

参考文献

  • The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2024) (英語). The Military Balance 2024. Routledge. ISBN 978-1-032-78004-7 

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