高橋伴明とは? わかりやすく解説

高橋伴明

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/14 20:49 UTC 版)

たかはし ばんめい
高橋 伴明
本名 高橋 伴明(たかはし ともあき)
別名義 剣山象、高橋伴
生年月日 (1949-05-10) 1949年5月10日(76歳)
出生地 日本 奈良県奈良市
職業 映画監督実業家
ジャンル ピンク映画青春映画、社会派映画、ヤクザ映画
活動期間 1975年 -
活動内容 脚本家
京都造形芸術大学教授・映画学科長
ブロウアップ代表取締役
配偶者 高橋惠子
著名な家族 秋山佑奈(娘)
事務所 高橋プロ→ディレクターズ・カンパニー→ブロウアップ
主な作品
TATTOO<刺青>あり
光の雨
BOX 袴田事件 命とは
受賞
ヨコハマ映画祭
監督賞
1983年TATTOO<刺青>あり
毎日映画コンクール
日本映画優秀賞
2023年夜明けまでバス停で
キネマ旬報ベスト・テン
日本映画監督賞
2023年『夜明けまでバス停で』
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高橋 伴明(たかはし ばんめい、1949年昭和24年〉5月10日 - )は、日本映画監督実業家。ブロウアップ代表取締役脚本家として剣山象、高橋伴の名義で活動したこともある。

来歴・人物

奈良県奈良市出身[1]華道の家に生まれ、本名は"ともあき"と読む[2]東大寺学園高校卒業後、早稲田大学第二文学部に入学。映画研究会に入り[2]渡辺護監督らのピンク映画の現場でアルバイト生活を送る。同時に学生運動にも身を入れ、第二次早稲田大学闘争に参加したことで、大学を除籍されて中退した[2]

1972年、『婦女暴行脱走犯』で監督デビューするが[1]プロデューサーと対立、一時は映画界を離れた[2]

1973年小林悟とともに東活に入り製作業務に携わる。

1976年若松孝二プロデュースによる『非行記録・少女売春』で監督に復帰した[2]

1979年、高橋プロを設立[2]。50数本のピンク映画を発表し、中村幻児とともにピンク映画界のニューウェーブとして注目される[2]

1982年大阪市で1979年に発生した三菱銀行人質事件をモデルにした『TATTOO<刺青>あり』で初となる一般映画を監督[2]キネマ旬報ベストテンの6位[2]ヨコハマ映画祭監督賞を受賞。同年には、長谷川和彦の呼びかけに応じ、ディレクターズ・カンパニー(ディレカン)にも参加。以後、ディレカンを拠点に記録映画『ザ・力道山』など新たなジャンルに挑んでいった[2]

1984年公開の『逆噴射家族』(原案・脚本:小林よしのり、監督:石井聰亙)にてプロデューサーを務めた。

1988年ストーカーにつきまとわれる女性を高橋惠子が演じた『DOOR』を監督した。ディレカン公募脚本による自身唯一のホラー映画である。社内における話し合いの際「誰が撮る?」という問いかけに挙手がなく、「愛社精神のある僕に回ってきた(笑)」という[3]

1990年東映Vシネマで発表した『ネオチンピラ 鉄砲玉ぴゅ〜』では、東映上層部の反対を押し切り、のちに「Vシネの帝王」と呼ばれる、まだ無名だった哀川翔を主演に抜擢[4][5]。同作品は高く評価され、オリジナルビデオ市場拡大の起爆剤となった[6]

2007年4月、映画学科を新設した京都造形芸術大学に招かれ[7]、教授・映画学科長を務めた(2016年3月末に退く[8])。

2015年、『赤い玉、』が第39回モントリオール世界映画祭(8月27日から9月7日まで開催)のワールド・グレイツ部門に出品される[9]

2020年在宅医療を題材にした『痛くない死に方』を発表し、同年度の山路ふみ子福祉賞を受賞。

2022年渋谷ホームレス殺人事件をモチーフとした『夜明けまでバス停で』が、同年度キネマ旬報ベスト・テンにおいて日本映画第3位および、日本映画監督賞受賞。第77回毎日映画コンクールにおいて日本映画優秀賞を受賞。

高橋は、1960年代のピンク映画黎明期に台頭した若松孝二に続き、1970年代のピンク発展期を支えた監督のひとりである[2]。膨大な数のピンク映画を量産しつつアナーキーな映画作りを身につけ、1980年代に入ると井筒和幸と並んで一般映画進出の先陣を切った[2]。これにより滝田洋二郎などピンク系の後身に、撮影所を経ずに一般映画を撮る道を示した[2]周防正行磯村一路米田彰水谷俊之福岡芳穂瀧本智行青島武などは、高橋組門下である。

親族

『TATTOO<刺青>あり』でヒロインを演じた関根恵子と結婚[2]大島渚小山明子夫妻が仲人を務めた[10]秋山佑奈は娘。

作品

テレビアニメ

映画

テレビドラマ

オリジナルビデオ

ビデオ作品

  • 1985年 『ANDREE MARLRAU LIVE/萩原健一』(Laser Disc/VHS。のちにDVD)

出演

脚注

  1. ^ a b 高橋伴明プロフィール ブロウアップ
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n 知っておきたい21世紀の映画監督100 2010, p. 14.
  3. ^ 80年代ホラー いまリアルな恐怖/映画「DOOR」主婦VS.ストーカー 幻の高橋伴明監督作品上映朝日新聞』夕刊2023年2月24日4面
  4. ^ 谷岡 2008, p. 49.
  5. ^ 哀川 2001, p. 96 - 97.
  6. ^ 知っておきたい21世紀の映画監督100 2010, p. 15.
  7. ^ 「高橋伴明監督が京都造形芸術大教授に」『読売新聞』大阪朝刊2007年4月4日37頁
  8. ^ 映画学科六期生が卒業しました!!”. 京都芸術大学 (2016年3月21日). 2024年12月1日閲覧。
  9. ^ 奥田瑛二主演「赤い玉、」モントリオール世界映画祭に出品”. スポーツ報知 (2015年7月14日). 2015年7月14日閲覧。
  10. ^ 「関根恵子さん結婚」『中日新聞』1982年6月9日付
  11. ^ 高橋伴明監督、20年ぶりエロス作…奥田瑛二&柄本佑“義理親子”が共演”. シネマトゥデイ (2015年4月30日). 2015年4月30日閲覧。
  12. ^ 「法の華三法行」元代表・福永法源氏、波乱の半生描く「塀の中の神様」で俳優デビュー”. 映画.com (2015年9月18日). 2015年9月18日閲覧。
  13. ^ 監督も文句なしのキャスティング!柄本佑主演『痛くない死に方』湯布院映画祭で絶賛の嵐”. シネマトゥデイ (2020年11月15日). 2021年1月9日閲覧。
  14. ^ “板谷由夏の17年ぶり主演映画に柄本明&佑“親子”が出演 主題歌はTielle”. ORICON NEWS. oricon ME. 27 June 2022. 2022年6月27日閲覧.
  15. ^ 高橋伴明監督「桐島聡を自分に重ねた」 映画『「桐島です」』”. 日本経済新聞 (2025年6月30日). 2025年7月1日閲覧。
  16. ^ 開局30周年記念出版 テレビ熊本30年史 2001, p. 188.
  17. ^ 明治青春伝 - ドラマ詳細データ”. テレビドラマデータベース. 2024年10月14日閲覧。

参考文献

外部リンク





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