高まる企業での需要
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/05 09:11 UTC 版)
その日本では2016年には全国的に景気回復感から5-6年連続で徐々に企業の採用意欲がバブル景気末となる1991年以来の高まりを見せており(2016年前年度比0.2%増加)ため、2017年では各校のみならず県も協力して就職率向上に努めた富山県の1999年以来初めてという100%の就職率を達成している。2017年には長野県でも前年度比0.6%増の98.9%と2004年以降の調査で最高水準に達している。沖縄県では2017年に前年度比0.4%上昇など7年連続で徐々に就職率が回復し94%が就職、県内の雇用も好景気で増加し卒業者の県内志向が高まっているという。福島県が2018年に発表したところでは3月卒業予定の生徒就職内定率が前年度比1%増の96.4%だとしており、企業側の採用意欲が高く早いうちから採用活動が行われていた結果とみている。 なおその動向に関しては、売り手市場で就職率は2017年度は98.0%、2017年3月卒の求人倍率は2.23倍と大卒の1.74倍を上回る売り手市場である。また景気回復に伴う人手不足や一定レベル以下の大学生や中退者よりも高卒は素直で採用後に育成したほうがいいとの声もあり、その一方で奨学金を得て大学に進学・卒業の際に就職活動するよりも売り手市場である今のうちに高卒就職を目指す傾向も出ている。ただ賃金格差の問題や3年以内の離職率が大卒3割に対して高卒が4割であり、大卒に比べ弱い立場にある高卒の再就職希望者の選択肢が限られると『奨学金が日本を滅ぼす』などの著書のある中京大学の大内裕和教授は指摘しており、高卒者とそれ以上の学歴のある者との賃金格差も拡大傾向にあるとして(就職は)慎重に考える必要があるとしている。就職後に採用者を育てる企業に就職するなら無理に奨学金を得て高い学歴を求める必要も無いが、ブラック企業とも呼ばれるような雇用者の待遇に問題を抱えている企業も高卒採用にシフトするところも少なくないため、高卒新卒者向け就職求人サイト「ハリケンナビ」を運営するハリアー研究所の表取締役である新留英二は「会社が社員を育てる風土を持っているかが一番重要だ」としたうえで安易な高卒者採用に走る企業もあるが採用者を定着させようとする意識のある企業が採用に成功していると述べており、その一例としては駐車場を運営する日本駐車場開発では高卒新卒者獲得に向け大学進学を希望する採用者のうち3年間一定水準の評価を受けた者に入学金と3年間の授業料を給付するとしており、経済的事情で教育機会を奪われた者に進学の機会を提供して幅広い人材を獲得したい考えが紹介されている。なお安易な就職には問題が多いのだが、労働政策研究・研修機構の東京都在住の20代を対象にした調査によれば大学や専門学校に進学し中退した者は一貫して非正規雇用で働く者が約5割と他の者に比べその率が高いという、安易な進学による中退が不安定な就職につながる可能性も示されている。東京都立第四商業高等学校校長の高石公一は「一度就職して学費をため、進学する生徒はいる。働いてみて、初めて自分の求めることがわかることもある」と提案している。 2018年度春に卒業する高卒就職率は1991年以来の27年ぶり高水準だった。文部科学省は「景気回復に伴い、企業の採用意欲が向上している」とした。高卒就職率の内訳は男女とも前年度と横ばいだったが、男子98.5%と女子97.4%だった。都道府県別の高卒就職率では、富山県は99.9%と日本国内最で、99.8%の福井県、99.7%の石川県と北陸地方が上位を占めた。 ただ好景気による雇用増大が強調される一方で、単純に少子高齢化にも絡む人口減少で働き盛り世代が不足し、労働者不足が企業経営を直撃して倒産に陥るケースも目立ち、人手不足倒産は横ばい傾向が根強く、こと2018年での人手不足倒産は前年度比で倍増ともいう。総務省の人口推計における「生産年齢」(15-64歳)人口は1995年をピークに20年間で1割を超える1千万人の減少だという。
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