高まる結成率と実態との乖離
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/24 01:14 UTC 版)
「自主防災組織」の記事における「高まる結成率と実態との乖離」の解説
前述のとおり、阪神・淡路大震災を機に、全国で自主防災組織の結成が進んだ。2009年(平成21年)4月1日現在、1,658市区町村で13万9,316の自主防災組織があり、全世帯に占める自主防災組織の活動カバー率は73.5%である。ただし、県行政レベルで結成率の向上を掲げていることを受けて、市町村によっては、地区町内会長を集めて一斉研修を行い、形式だけを整えさせて結成届けを提出させることで、結成率100%を達成しているところもあり、結成率だけを見ても実態を把握することはできない。 実際に、メンバーの高齢化と訓練不足が問題になっており、「実際に災害にどれだけ対応できるか」と疑問を呈する専門家もいる。前述の統計では、各地域では住民の7割が自主防災組織に籍を置いていると解釈することもできるが、実際には活動に参加しない幽霊会員が構成員の大半である。平成不況による格差社会の進行によって、地域住民の個人的な社会的地位や雇用形態に相違が目立っていることも、幽霊会員の増加に輪をかけており、各地域の自主防災組織で定期的に行われている訓練や勉強会への参加者は極めて少ないのが現状である。幽霊会員が構成員の大半を占めていることから、活動するために必要な人数を確保できず、地域によっては自主防災組織が機能不全に陥っている。災害発生時に実質的に機能するのは、せいぜい1~2割との指摘もされている。
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