電波少年的箱男
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 08:55 UTC 版)
川元文太(ダブルブッキング)による「世界名作文学シリーズ」第2弾。タイトルは安部公房の小説『箱男』に由来する。 120cm×120cm×120cmの鉄製の箱に入り、鹿児島県の佐多岬から東京までの約1500キロメートルを箱を押してもらうという、人の善意に頼った企画。その過程で出会った人々との交流を通して人の優しさに触れ、人を信じることが出来ないという川元に少しでも信じられるようにすることを狙った。ちなみに、川元は鹿児島県の枕崎市の出身である。ゴールまで箱のふたは外から溶接され、箱から出ることはできない。箱は簡易トイレつきだが、外部とのコミュニケーションは、箱にあるデジタル式のメッセージボードでしかできない。 企画を開始して間もなく、狭い道路では自動車が箱を避けるために交通渋滞が起きるようになった。これに対して鹿児島県警察から道路交通法(第七十六条 第三項「何人も、交通の妨害となるような方法で 物件をみだりに道路に置いてはならない」)に抵触するとして、番組スタッフが注意を受けた。Tプロデューサーが急遽川元のもとへ様子を見に来たが、他人の善意を受けながら企画開始時と何も変わっていない川元を見て企画を続行。ルールを変更し、箱を公道からトラックに積んで移動した上で私有地に設置し、私有地内を1500km分移動すればゴールとした。箱を積んだトラックには「精密機器輸送中」とカモフラージュしていた。 どんな援助を受けても礼を言わず、それどころか援助内容に対する不満や罵倒の言葉しか出ない川元に対する視聴者の評判は悪く、「ビタミン剤」と称して下剤を飲ませたり、人がいない山奥に箱を置き去りにする者が現れるなどの嫌がらせが続いた。さらにはガソリンスタンドで価格表示ボード代わりにされたこともあったが、この際にはバイト代として現金を得た。また、川元の「貢がせてやります」という発言にはTプロデューサーのみならず、同僚でCPの吉川圭三も激怒させ、「川元自身のゆがんだ心を叩き直すため」「川元に芸能界の厳しさを叩き込み、自然界でのサバイバル精神を身につけさせるため」として企画が続行された。一方で子供や比較的気が合う人物が相手の時には、相手を思いやる様子も時折見られた。 川元の相方である黒田俊幸も、Tプロデューサーに拉致されてそのまま箱に入れられ、川元が入っている箱があるところまで連れていかれた。黒田は川元と箱同士ながらも久しぶりの再会をしたものの、メッセージボードを使った罵倒合戦だけに終わり、黒田は東京へと帰って行った。 徐々に心を開き始めたころ、箱を訪れた女性が川元から買い物を頼まれ、ガソリンスタンドのバイト代として得た5000円を受け取るが、女性に横領され、結局再び心を閉ざしてしまった。後日女性からスタッフへ郵送で返金され、その後スタッフは川元へ5000円を手紙とともに差し入れた。川元はその際「返すくらいなら初めから盗るなよ!」と少し怒っていた。 企画の進展がほとんどないまま数か月が経ったころ、川元と交際中の女性が現れ、陸上競技場のトラックで夜中から夜明けまで数時間に渡って箱を押し続けた。これに対して、企画が始まって以来初めて「ありがとう」の言葉が出た。本来設定されたゴールとはほど遠かったが、この時点でゴールとみなし、それまで開くことのなかった箱が遠隔リモコン操作で開き、企画は終了した。 突然の企画終了の背景には、放送倫理・番組向上機構(BPO)に対し「いじめを楽しんでいる」「子供に悪影響がある」と抗議が寄せられるなど、企画に対する批判が強まったことがあった。 川元は長期間狭い箱の中でずっと座った状態で過ごしていたため、箱から出た直後は彼女の介助なしには歩けないほど衰弱しきっていた。企画終了後、川元は鹿児島県で毛布を借りた老夫婦を訪ね「この毛布だけは自分の手で返したい」と言って毛布を返却した。 企画終了の際に通過ルートが初めて明かされ、鹿児島→宮崎→大分→福岡→山口→島根→鳥取→兵庫→京都→滋賀→岐阜→長野→静岡→神奈川の13府県(福岡・山口・兵庫の3県は陸路では必ず通過しなければならない)を通過し、なおかつ福岡・広島・神戸・大阪・名古屋の大都市圏を避けるルートが予定されていたことが判明した。
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