企画の進展
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 08:31 UTC 版)
「ガンダム・センチネル」の記事における「企画の進展」の解説
元々の企画はバンダイから『モデルグラフィックス』(以下MG誌)編集部へ発注されたもので、『機動戦士ガンダムΖΖ』終了から『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の公開までプラモデルのラインナップに空白が発生してしまうため、かつてのMSVシリーズに準じた形の、いわば「つなぎ」の企画としてスタートした。MG誌編集部は『ΖΖ』でデザインワークに参加しており、その縁からの依頼だったと推測される。企画は『ガンダム・センチネル』と名付けられ、誌面での連動を行い、新ガンダム(後のSガンダム)等、数点のキットを発売するというものだった。 1987年7月にガンプラ新シリーズ『ガンダム・センチネル』第一弾としてフルアーマーΖΖガンダムが発売された。フルアーマーΖΖガンダム自体は『ΖΖ』46話に登場した機体だが、キットはアニメ登場のものではなく、MG誌に掲載された1/100キット改造の牛久保孝一の作例に準じたもので、テレビ未登場の大型ビームランチャーを装備した白一色のカラーリングとなった。なお、キット化第2弾は1/300 クィン・マンサ、第3弾がスプリーム・ガンダム(後のSガンダム)となる予定だった。また、1/144 キュベレイなどの商品化の可能性を匂わせており、従来シリーズでキット化されなかったメカを製品化するという目論見も含んだ企画であった。 ところが、『逆襲のシャア』関連商品の製品化が当初の予定よりも前倒しになったため、「『ガンダム』を冠する2種類の新シリーズ商品が市場に並んでユーザーが混乱する事を避ける」というバンダイ側の理由から、センチネルシリーズのプラキット化はフルアーマーΖΖガンダムのみで一時凍結(事実上の中止)となった。 この事態に、MG誌編集部のスタッフだったあさのまさひこは、再商品化を目指すべく、企画をMG誌編集部に引き揚げ、模型誌の連載として『センチネル』を再始動させる。純粋な模型誌の読み物として再構成し、『月刊ニュータイプ』の協力を得て、1987年8月号のガンダム特集で自ら『センチネル』のプロパガンダを行った。記事中には庵野秀明原画のゼク・アイン、ネロ(準備稿)や、かときはじめ(現カトキハジメ)によるSガンダムの概念図等が掲載された。 そしてMG誌1987年9月号より連載が開始され、高橋昌也によるノベライズ、かときによるデザイン、あさのまさひこ監修による作例を軸に、ガンダム世界の「リアル」をとことん突き詰めたセンチネルは、3年に渡る長期連載となった。また、模型業界の事情や、モデラーやユーザーの意識を問う記事、模型雑誌としては異様とも言える様々なコラム、かときはじめによる実際の航空宇宙技術開発の解説を踏まえたMSのメカニズム解説、明貴美加による「モビルスーツ少女」など、多様な記事が掲載された。また、読者と企画側の間で熱い意見が交わされた読者投稿コーナーの常連からは後に、何人もの模型ライターが誕生している。 人気の高まりを受けて『逆襲のシャア』シリーズ終了後にキット化が再開。Sガンダムとそのバリエーション2種、Ζプラスの計4種がキット化された。キット発売以降は当時のキットが未消化だった部分のフォローを中心とした展開が行われ、それに併せて商品化未定のMSやパーツ等をMG.O.C.K.(Model Graphix Original Cast Kitの略称)ブランドからガレージキットとして販売した。雑誌作例として製作された高度な立体物をそのまま、あるいは更なる改修を施した形でユーザーが入手出来るキットとして、ゼク・アイン、ガンダムMk-V、ネロ等が発売された。 1989年には、これまでの集大成として別冊『GUNDAM SENTINEL〜THE BATTLE OF "REAL GUNDAM"〜』が刊行された。新MAゾディ・アックの登場など誌上連載のフォトストーリーは大幅に加筆・修正され、最新版の設定資料、リファインEx-Sなど新作を含むセンチネルモデラーのワークス体制による模型作例、スタッフのインタビュー記事が盛り込まれた。小説パートはレイアウトの都合上文字が小さく読みにくいものとなってしまったこともあり、翌年にムックではカットされた部分を加え『ガンダム・センチネル ALICEの懺悔』の題名で書籍として刊行された。 1990年5月号・7月号掲載の連載最終回「センチネル0079」では、一年戦争のソロモン攻略戦をセンチネル的解釈でリファインしており、この際に発表されたカトキによるリファイン版RX-78が後の「ガンダムVer.Ka」となった。なお別冊発行後のMG誌連載分(センチネル0079含む)は「連載を支えてくれた読者へのサービス」と位置づけて、「ムック化は行わない」と宣言されており、掲載誌は高額で取り引きされている。 現在でこそSDガンダムシリーズに登場するなど公式作品に準じるものとして扱われているが、連載当時はMG誌創刊時のゴタゴタの遺恨やあさの達スタッフの挑発的な言動もあって業界内でも風当たりが強く、競合模型誌はもちろん他メディアでも前述のニュータイプ誌など一部を除いてほとんど採り上げられなかった。
※この「企画の進展」の解説は、「ガンダム・センチネル」の解説の一部です。
「企画の進展」を含む「ガンダム・センチネル」の記事については、「ガンダム・センチネル」の概要を参照ください。
- 企画の進展のページへのリンク