難破船調査(1992年–1993年)
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「フランクリン遠征」の記事における「難破船調査(1992年–1993年)」の解説
1992年、フランクリン遠征隊に関する著作家デイビッド・C・ウッドマンが、磁気探知機の専門家ブラッド・ネルソンの助けを借りて、「プロジェクト・ウートジューリク」を立ち上げ、イヌイットの証言でアデレード半島沖にあるという難破船を捜索した。国家研究委員会やカナダ軍哨戒機の力も借り、敏感な磁気探知機を装備し、グラントポイントの西の広大な範囲を高度200フィート (60 m) から調査した。60以上の強い磁気対象物が発見され、そのうち5つがフランクリン隊の船からと考えられる特性を持っていると見られた。 1993年、ジョー・マキニス博士とウッドマンは前年の調査で見出した優先度の高い対象物を同定する試みを組織した。チャーターされた航空機が3地点の氷の上に着陸し、穴が明けられ、小さな扇形走査ソナーを使って海底の様子を映像化した。氷の状態が悪く、また不確かな方向指示だったために、正確に穴の位置を確認できず何もみつからなかった。ただしイヌイットの証言による難破船に一致する場所で、これまで分かっていなかった水深が判明した。
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難破船調査(1997年–2014年)
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「フランクリン遠征」の記事における「難破船調査(1997年–2014年)」の解説
1997年、フランクリン遭難150周年記念の遠征隊を、カナダの映画会社エコ・ノバが立ち上げ、1992年に見つかった磁気に反応する可能性の高い場所をソナーで調査した。考古学者ロバート・グレニアのもと、マーガレット・バーチュリが助手を、ウッドマンが再度遠征隊の歴史家と捜査調整役を務めた。捜索はカナダ沿岸警備隊砕氷船ローリアから行われた。カークウォール島近くの約40平方キロメートルの範囲が捜索されたが、結果が出なかった。分遣隊がオライリー島の北にある入り江の浜で、フランクリン隊の遺物と見られる主に銅板と小さな物体を発見すると、調査はその地域に移されたが、悪天候のために調査を阻まれ、その後遠征を中断した。この遠征に関するドキュメンタリー番組『ミステリーの大洋――失われた艦隊を求めて』をエコ・ノバが制作した。 2000年、バンクーバー海洋博物館のジェイムズ・デルガドが、王立カナダ騎馬警察の船ナドンを使い、カナダ設標船サイモンフレーザーの支援を得て、北西航路を西向きにセントロッホを抜ける航海を再現した。デルガドは、キングウィリアム島の地域では氷のために遅れることが分かっており、ナドンを調査船として友人のホブソンやウッドマンに提供し、ナドンのコングスバーグ/シムラドSM2000 前方向ソナーを使ってカークウォール島周辺の捜査を継続したが、結果は出なかった。 ウッドマンは3回の遠征で磁気探査機による難破船の位置に関する地図化を継続した。2001年は私費で遠征し、2002年と2004年はアイルランド・カナダ・フランクリン捜索遠征隊となった。これらは橇で曳く磁気探査機を使い、まだ終わっていなかった北部(カークウォール島)地域の捜索を完了し(2001年)、南部のオライリー島地域全体も完了した(2002年と2004年)。優先度の高い磁気反応対象は氷を通したソナーで全て同定された。2002年と2004年、海岸捜査の間にオライリー島北東の小さな入り江で、フランクリン隊の小さな人工物と探検家に特徴的なテントの跡地が見つかった。 2008年8月、新しい捜索計画が発表された。パークス・カナダの考古学者ロバート・グレニアが筆頭として率いるものだった。この調査は解氷し水面が出た状態でボートからサイドスキャンソーナーを使って行うことが企図された。グレニアは、口承歴史家のドロシー・ハーリー・エバーによって新しく出版されたイヌイットの証言集に基づき新発見を行うことも企図していた。エバーの情報提供者のひとりは、フランクリンの船の沈没地点を王立地理学会島の近くとしており、それ以前の遠征隊がまだ探していない海域だった。この調査には地元イヌイットの歴史家ルイ・カムーカクも加わることになった。カムーカクはそれまでにフランクリン隊の重要な遺物を発見したことがあり、先住民文化を代表することとされた。 2010年7月25日、1853年のフランクリン隊捜索の間に、氷に閉ざされその後放棄されたHMSインベスティゲーターが、カナダ北極海西部バンクス島北岸沿いのマーシー湾の浅い水域で見つかった。パークス・カナダのチームの報告では、船は良い状態を保っており、水深約11 m の底に直立している。 2013年8月9日、パークス・カナダから新しい調査計画が発表された。この調査は新しい重要な事実を発見できなかった。 2014年では、「ビクトリア海峡遠征隊」の旗の下に大掛かりな調査が発表された。調査の結果、9月8日にキングウィリアム島沖のビクトリア海峡でほぼ原形を残した1隻の船の残骸が発見された。。これはエレバスだと確認され、2016年にはエレバス発見地点よりもさらに北方の海底で、ほぼ無傷の状態で直立しているテラーも発見された。
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