鑄鐵とは? わかりやすく解説

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い‐てつ【鋳鉄】

読み方:いてつ

ちゅうてつ(鋳鉄)


ちゅう‐てつ〔チウ‐〕【鋳鉄】

読み方:ちゅうてつ

炭素2.04.5パーセント程度ふくむ鋳物用の機械加工が容易であるが、衝撃力に弱い。普通鋳鉄・高級鋳鉄・特殊鋳鉄・可鍛鋳鉄などに分類される。いてつ。


鋳鉄

英語 cast-iron

鋳鉄とは、1.7~6.7%の炭素との合金である。形状自由度大きい鋳鉄は古くから用いられ、その材料溶湯温度低くても湯流れがよいこと、すなわち鋳造性が高いことが必要である。そのため、炭素(1.7~6.7%)とケイ素(0.5~7%)を基本成分とし、そのほかマンガンリン硫黄などを含有する最近は機械構造用材料として強度対す要求高まっており、強さ粘り強さも高い鋳鉄が広く使用されてきている。そのために鋳鉄中の黒鉛形状および基地改善加えられている。

※「大車林」の内容は、発行日である2004年時点の情報となっております。

鋳鉄

<普通鋳鉄> 最も多く採用されている普通鋳鉄は、JISではその色から「ねずみ鋳鉄」と表記され ている。また鋳鉄中に分散する炭素粒子黒鉛)の形が三日月状であることから 「片状黒鉛鋳鉄」とも呼ばれている。「普通鋳鉄」という名称は特別な合金元素添加していないことを表している。

<球状黒鉛鋳鉄> 鋳鉄組織中に析出している黒鉛形状球状であることから、球状黒鉛鋳鉄呼ばれている。普通鋳鉄の組織では黒鉛粒子三日月形状であるため黒鉛先端尖っていて、応力掛かる応力集中しやすくクラック入りやすい。このため 普通鋳鉄は大きな塑性変形に弱い。これに対して黒鉛球状球状黒鉛鋳鉄応力集中起きにくく、ある程度塑性変形に対応出来る。
このためダクタイル鋳鉄」とも呼ばれている。

鋳鉄

読み方:イガネ(igane)

炭素含有量の多い鉄


鋳鉄

鋳者用の
薪ストーブ材質としてもっとも一般的鋳型に流すため、凹凸のある美し細部重量感特徴で、クラシックな雰囲気に。熱しにくく冷めにくいため柔らかな輻射熱得られる

鋳鉄

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/06 03:57 UTC 版)

鋳鉄(ちゅうてつ、いてつ)とは、

  1. 通俗的には、を使った鋳物製品全般、またそこに用いられているのこと。
  2. 学術・産業上は、炭素 Cを2.14 - 6.67%ケイ素 Siを約1 - 3%の範囲で含む鉄 Fe三元合金からなる炭素を多く包含するの意味。

以下、後者について解説する。

概要

Fe-C(2成分系)状態図共晶点(炭素含有量4.2 - 4.3%)付近で融点が低いため、溶融させた金属を型に流し込み製造する工程の鋳造に用いられる。銑鉄に比べてケイ素Siを多く(約1 - 3%)含有しているものが用いられることが多い。

鋳鉄は多くの炭素を含むため、組織の中にグラファイト(黒鉛)が晶出する。晶出する黒鉛の形状は、冷却速度や、合金成分によってかわり、それによって強度が変化する。ねずみ鋳鉄(普通鋳鉄)では黒鉛が片状に析出するため、伸びがなく硬くて脆い。一方で黒鉛が球状に析出させるように工夫して靭性を向上させたものが、ダクタイル鋳鉄(球状黒鉛鋳鉄)などである。

また凝固材料は一般的に、凝固収縮に伴う様々な欠陥を生じる。鋳鉄の場合、凝固収縮を黒鉛の晶出が相殺して軽く膨張するといった性質や、アルミニウムと違い比重が重いことによる静水圧による健全効果から、理想的鋳造材料ともいえ、巨大構造体への使用はいまだ衰えることはない。

なお2.14%未満の炭素しか含まない鋳造用の鉄鋼材料は、の一種として鋳鋼に分類され、鋳鉄とは区別される。

鋳鉄の種類

鋳鉄は、炭素の状態によって、ねずみ鋳鉄・白鋳鉄・まだら鋳鉄の三つに大別できる。以下に鋳鉄のおもな種類を示す。

  • 通常の鋳鉄
    • ねずみ鋳鉄:グラファイト(黒鉛)が片状で破断面がねずみ色。普通鋳鉄ともいう。
    • 白鋳鉄:鉄の炭化物であるセメンタイトが析出して破断面が白い。
    • まだら鋳鉄:ねずみ鋳鉄と白鋳鉄の混合型。
  • 強化した鋳鉄
    • 強靭鋳鉄:片状黒鉛を細かくして、かつ丸みを帯びるように改良することで、強靭にしたもので、通常の鋳鉄以外のもの。
    • 球状黒鉛鋳鉄マグネシウムMg、セリウムCe などを加えて黒鉛を球状化したもの。ノジュラー鋳鉄ダクタイル鋳鉄ともいう。
    • コンパクテッドバーミキュラ鋳鉄(FCV):球状黒鉛鋳鉄に近い組織と強度を持ち、鋳造性、機械加工性が良い。
    • 可鍛鋳鉄:白鋳鉄を熱処理したもの。(名前の通り鍛造出来るわけではなく、強く叩いても割れにくい。)
      • 黒心可鍛鋳鉄(FCMB)
      • 白心可鍛鋳鉄(FCMW)
      • パーライト可鍛鋳鉄(FCMP)
    • 合金鋳鉄:ニッケルNi、クロムCr、モリブデンMo などを含む。
      • 高クロム鋳鉄
      • 高ケイ素鋳鉄
      • ニレジスト(Ni-Cr-Cu鋳鉄)

成分比(CとSiの含有量)と鋳鉄の組織

マウラーの組織図

鋳鉄は炭素量が多いと黒鉛(グラファイト)が晶出する。黒鉛は黒色をしており、炭素量の多い鋳鉄はその断面の色からねずみ鋳鉄と呼ばれる。

図は、マウラーの組織図と呼ばれるものをモデル的に描いたもので、鋳鉄の成分範囲と組織とを区分したものである。各領域と組織は下表のようになる。なお、鋳鉄の組織は冷却速度によっても変わる。

成分範囲 組織
I の範囲:白鋳鉄 セメンタイト+パーライト
IIa の範囲:まだら鋳鉄 セメンタイト+パーライト+グラファイト
II の範囲:ねずみ鋳鉄 パーライト+グラファイト
IIb の範囲:ねずみ鋳鉄 パーライト+グラファイト+フェライト
III の範囲:ねずみ鋳鉄 フェライト+グラファイト
IIの色塗りの範囲:パーライト鋳鉄 安定したパーライト+グラファイト組織

関連項目

外部リンク


鋳鉄

出典:『Wiktionary』 (2021/07/30 06:27 UTC 版)

名詞

 ちゅうてつ

  1. 2.0[1][2]-3.0パーセント以上[3]炭素のほかに少量珪素マンガンなどを含む合金

発音(?)

東京アクセント
  • ちゅ↗ーてつ
  • ちゅ↘ーてつ

関連語

翻訳

脚注

  1. 梅棹忠夫金田一春彦阪倉篤義日野原重明 監修講談社 カラー日本語大辞典1989年ISBN 4-06-121057-2
  2. 新村出 編『広辞苑 第四版』岩波書店1991年ISBN 4-00-080101-5
  3. hasło żeliwo w: Elżbieta Sobol (red.), Mały słownik języka polskiego, wyd. XI, Wydawnictwo Naukowe PWN, Warszawa 1994. ISBN 83-01-11052-X

「鋳鉄」の例文・使い方・用例・文例

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