重労働問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/16 05:15 UTC 版)
社長の永守重信はハードワークを提唱しているが、それに対して労働基準法違反やパワーハラスメント疑惑に関する警鐘が外部より鳴らされている。 長時間労働や無理難題な業務を押し付けられたり、意味なく詰られるなどパワーハラスメントを受け、うつ病で精神神経科に通院したとされる元社員 Aによる訴訟が発生している。日本電産は2012年10月末を以てAとの雇用契約を打ち切り、雇止めとしたとされている。Aは職場の改善を求め、JMIU(全日本金属情報機器労働組合)京滋地方本部に相談し、労働組合に加入して団体交渉をし、京都職対連の支援を受け、うつ病について労災申請も行ったが、会社は団体交渉でも態度を変えず、パワハラについても認めず、雇止めを強行したという。2013年2月にAのうつ病について業務上の物であるとの労災認定が下されている。 日本電産は2020年までに残業ゼロを実現すると2016年10月に宣言している。この背景には、買収した海外企業が残業せず、一カ月の長期休暇を取得しても、好業績を挙げていることがある。今後は残業代として支払っていた賃金を、半分は賞与に乗せ、半分は社員の教育投資として還元するとしている。 朝日新聞は日本電産の2008年3月期決算発表に関する記事において、永守が「休みたいならやめればいい」との持論を展開した、と報じた。この報道によれば、永守が「社員全員が休日返上で働く企業だから成長できるし給料も上がる。たっぷり休んで、結果的に会社が傾いて人員整理するのでは意味がない」と述べ、同社の成長の原動力が従業員の「ハードワーク」にあると説明したとされる。この発言に対し、同年のメーデー中央大会で日本労働組合総連合会会長の高木剛は労働基準法の趣旨に反すると批判した。来賓として出席した厚生労働大臣の舛添要一も、調査のうえで違反があれば厳正に処分することを約束する。しかし日本電産は4月28日、この社長発言について「そのような事実はなく、誠に遺憾に思っております」としたうえで、記者会見での社長発言の趣旨は、雇用安定確保を最重要視し、企業再建でも同方針で実績を上げてきた同社の経営理念を述べたものであると反論する。なお、日本電産による抗議文書は、当初は「朝日新聞の記事(2008年4月24日朝刊)について」であったが、その後上記文書の表題を「一部報道について」に変更した。同年に日本電産が東洋電機製造の買収に失敗したが、その際に日本電産の労務に対する懸念から東洋電機製造労働組合が買収に対して反対を表明している。 永守は自書にて重労働について語っており、創業から参加した1人は風邪で40度近い熱があろうが、午前3時・4時まで残業をしようが定刻までに出勤し、事故で足を骨折した時も松葉杖を突いて出勤したという。 永守は自書にて「学生時代に最も憧れていたのはアウトローを牛耳るヤクザの親分」と語っており、暴言とも取れるようなこき下ろしが功を奏する場合もあると語っている。幹部の書類・図面の出来が悪かった時に本人と皆が見ている前で破り捨て「部屋が汚れたので綺麗にしておいてくれ」と言って部屋を出て行ったことがあったという。社員にも事ある毎に怒鳴り、叱りつけてきたといい、中途半端にやらずに相手を震え上がらせ、もうこれ以上怒鳴ったり叱ったりすると夜道で後ろからナイフで刺されるのではないかという極限までやったという。京都駅構内で大声で怒鳴ったり、取引先に連れていって叱ったこともあり、机を思い切り叩くのは日常茶飯事で、花瓶を床に叩きつけて割ったり、近くにある物を蹴飛ばして壊していたという。
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