遺伝子組換え作物の主要栽培国と日本での栽培の現状
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「遺伝子組み換え作物」の記事における「遺伝子組換え作物の主要栽培国と日本での栽培の現状」の解説
アメリカ 最初に栽培が始まったアメリカは遺伝子組換え作物の生産が最も盛んな国の一つである。2007年に報道されたところによると米国産作物の半分以上は遺伝子組換え作物であり、大豆はほぼ100%、トウモロコシは約70%を占める。また、加工食品の多くにもGM作物が使用されている。アメリカ食品医薬局によると、遺伝子組み換えトウモロコシのほとんどは、牛などの家畜や鶏肉などの飼料として使用されている。なお、米国農務省のNASS(National Agricultural Statistics Service)によると2008年の組換え作物の作付けの割合は、ダイズで92%(約2770万 ha)、トウモロコシで80%(約2820万 ha)、ワタで86%(約320万 ha)であった。また、2009年の組換え作物の作付けの割合は、ダイズで91%(約2860万 ha)、トウモロコシで85%(約2990万 ha)、ワタで88%(約320万 ha)であった。2010年では、ダイズで93%、トウモロコシで86%、ワタで93%であり、2011年では、ダイズで94%、トウモロコシで88%、ワタで90%であり、2012年では、ダイズで93%、トウモロコシで88%、ワタで94%であり、2013年では、ダイズで93%、トウモロコシで90%、ワタで90%であった。なお、2014年の組換え品種の栽培比率は、ダイズで94%、トウモロコシで93%、ワタで96%である。 カナダ 2007年のダイズの栽培面積の62.5%(約68.8万 ha)は組換え品種であった。2007年のトウモロコシの栽培面積の84%(約117万 ha)は組換え品種であった。カノーラの2007年の栽培面積の87%(約510万 ha)は組換え品種であった。 ブラジル 当所、ブラジル政府はGM作物に対して態度を明確にしていなかった。そのため、隣国であるアメリカでGM作物が問題となっていたことを利用して、2002年大統領選では候補者が「ブラジルではGM作物を作らない」と宣言して自国農作物をアピールする動きも見られた。ところが、そのときにはすでに密輸されたGM作物が国内に流通しており、2005年にブラジル政府はGM作物を認めることになる。2007年と2009年のダイズの栽培面積の64%(約1450万 ha)と71%(約1620万 ha)は組換え品種であった。2009年のトウモロコシの栽培面積の36%(約500万 ha)は組換え品種であり、ワタの栽培面積の18%(約14.5万 ha)は組換え品種であった。 アルゼンチン 組換えダイズの栽培が盛んであり、2008年と2009年のダイズ栽培面積の99%(約1620万 ha)と99%(約1740万 ha)は組換え品種であった。2009年のトウモロコシの栽培面積の85%(約210万 ha)は組換え品種であった。また、2008年のワタの栽培面積の95%(約38万 ha)は組換え品種であった。 ウルグアイ 2007年のダイズの栽培面積の100%(約47万 ha)は組換え品種であった。 パラグアイ 2007年と2009年のダイズの栽培面積の93%(約260万 ha)と85%(約220万 ha)は組換え品種であった。 インド 組換えワタの栽培が盛んであり、ナスなどの組換え品種の育種も進んでいる。2008年のワタの栽培面積の76%(約695万 ha)は組換え品種であった。なお、上記のデータと多少の誤差があるがISAAAの調査によると、インドの各地方に適した様々な品種が開発され2008年には綿花栽培面積の80%が、2009年には87%(約840万ha)がBtワタになっており、2009年には560万人の小農がBtワタを栽培した。さらに、2010年には86%(約940万ha)がBtワタになっており、630万人の小農がBtワタを栽培した。このように遺伝子組換えワタの栽培は急激に増えている。遺伝子組換えワタを導入する以前と比較すると綿花栽培に使用される農薬使用量の大幅な減少と単位面積当たりの収量の大幅な増加(2001-2002年では308 kg/ha、2009-2010年では568 kg/ha)によって、インドの農民に広く受け入れられている。インドにおける遺伝子組換え作物の現状については、ISAAAのIndia Biotech Information Centreによって詳しく解説されている。また、インドにおいて2002-2008年の期間のワタ栽培農家に対して経済学的な解析を行った結果によると、害虫被害の減少によってBtワタは伝統的ワタ品種より24%収量が多く、Btワタ栽培からの収入の50%増加につながり、その結果、Btワタを採用した農家の支出は2006-2008年の間に18%増加するほど生活水準が上がっていた。このことから、Btワタ品種の栽培はインドの経済的、社会的発展に貢献していると結論づけている。 中国 GM作物を積極的に取り入れる動きがある。中国政府が積極的に取り組んでおり、研究は1986年から行われている。2006年時点では、GM作物のほとんどは綿花とタバコだが、基礎食品である米の開発に力を入れており、商業栽培も間近な状況となっている。2007年のワタの栽培面積の68%(380万 ha)は組換え品種であった。 日本 一部自治体で環境や消費者団体などへの影響への懸念から遺伝子組み換え作物規制条例で栽培を規制している。北海道、新潟県など10都道府県では実質的に栽培が禁止されている。また、購入した種子を撒いたところ混入していた組換え作物の種子に由来する組換え作物を栽培してしまった事例があるが、この場合は意図して栽培しているわけではないので処罰はされない。このように、現実には意図せず日本においても組換え作物を商業栽培している可能性がある。そのほか、スギ花粉症緩和米などは医薬品としての規制を受ける。厚生労働省医薬食品局食品安全部が安全性審査を終えた組換え作物を公表している。青いバラ (サントリーフラワーズ)は国内で商業栽培されているため、2009年には日本も遺伝子組換え作物の商業栽培国となった。
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