観賞園芸
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/26 05:59 UTC 版)
美的文化としての観賞園芸とは、植物を育種、栽培し、生きた植物の花の色や形、芳香をはじめ、葉や実、そして全体の姿、また植木鉢との調和や集団の姿、あるいは多数の植物の組み合わせを観賞し、美を見いだす行為、あるいは育種や栽培を通じて美を表現する行為である。いけばな、フラワーデザインに似ている部分もあるが、単に空間的、瞬間的なものだけでなく、栽培を通じて植物の生長という時間的な変化そのものをも観賞の対象とする。その意味ではむしろ舞踊に似た美的文化と言える。また単に趣味、娯楽としても広く行なわれる文化の一つである。 観賞園芸は、本来植物が持っている美に加え、次の三つの人為的な創造行為で成り立っている。 育種 (品種改良) 仕立て (美的な栽培) コーディネイト (総合的なデザイン) ジャンルによってこれらが関係する割合は異なるが、さらに天候など自然の関与が加わり、美の表現が完成される。必ずしも造園術の関与は必要としない。 以下は観賞園芸のジャンルである(栽培育種の歴史の長いもの、数多くの品種があるもの、多くの愛好家や愛好団体が存在するもの。重複あり)。 古典園芸植物 - 日本および中国において古くから栽培されてきた園芸植物。唐代にはすでにさかんにボタンが育種され、宋代にはランがもてはやされた。日本では特に江戸時代、爆発的な発展を見せた。世界的に見ても高度な育種が行なわれ、ツツジやカエデ、サクラ、ハナショウブなど現在世界的に愛好されている植物も多く、またマツバランなど日本独自の美意識が高く反映されたものが多く、世界園芸史上においても貴重な存在である。東洋ラン キク ハナショウブ サクラソウ アサガオ 富貴蘭 長生蘭 万年青 松葉蘭 ヤブコウジ マンリョウ カラタチバナ シャクヤク ツツジ ウメ サクラ ボタン ナデシコ フクジュソウ サイシン ハス モミジ、カエデ など フローリスツ・フラワー - 英国、ベルギーで16世紀から育種されてきた十数種の古典的園芸植物オーリキュラ ショウ・カーネーション ショウ・ピンク チューリップ ヒヤシンス アネモネ キク ダリア ゴールドレースドポリアンサス ラナンキュラス など 山野草園芸サクラソウ属 スミレ属 カンアオイ属 など 宿根草ジャーマンアイリス ハナショウブ シャクヤク ヘメロカリス ギボウシ など 球根植物チューリップ スイセン ダリア ネリネ リコリス など 多肉植物リトープス コノフィツム など サボテン 野生ランエビネ ウチョウラン など 食虫植物 花木バラ サクラ ウメ ライラック ツバキ ムクゲ など シダ 水生植物、水草スイレン など 熱帯植物 洋ランカトレア シンビディウム デンドロビウム パフィオペディルム など 室内植物セントポーリア ティランジア ベゴニア など 観葉植物 盆栽 英国風庭園 水草アクアリウム - ヒーリング効果抜群のインテリアとして、今、人気急上昇中の「アクアリウム」。アクアリウムとは、生物の飼育をしたり、水草をレイアウトして楽しむ観賞用の水槽のこと。海水を入れて海の生物を育てるものを「マリンアクアリウム」、自然界の生態系を水槽内で再現するものを「ネイチャーアクアリウム」という。
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