藤井システム対策
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藤井システム対策として、端歩を突きこさせた形から第2-1図のように引き角にくみ上げてから居飛車穴熊に発展する指し方が『B級戦法の達人』(毎日コミュニケーションズ刊)などで示されている。これは左銀型の例で、このとき先手は右銀を5七→6八→7九(又は7七)と移動させている。 今泉健司がアマチュア時代にひどい目に遭った戦法として挙げており、穴熊に組まれてものすごい作戦負けになったとし、瀬川晶司も一時期やっていたことがあったという。図のように組まれると振り飛車側から動けなく5筋の位も大きい。 居飛車▲5六銀-4六角(後手なら5四銀・6四角)の形もすごい好形で、藤井システムに悩まされてる人にはおすすめであるという。そしてこの戦型の最大の長所は、先後関係なくできることであるとしている。 △持ち駒 なし ▲持ち駒 なし第2-1図 ▲5七銀まで △持ち駒 歩 ▲持ち駒 なし第2-2図 ▲9八香まで また、第2-3図のように、左美濃に組んでから振り飛車側の△4五歩に▲5五歩を決めて指す手段も一時期登場した。但し左美濃であると通常の5筋位取り戦法に比べて居飛車側は5筋が弱くなっているので、振り飛車側は早めに△4三銀~△6三金~△5四歩の応戦、居飛車側は4五の歩をかすめとってから▲7九角~▲2四歩などや米長玉銀冠への組み換えを狙いとする。左美濃#対振り飛車の攻めのバリエーションも参照。 △持ち駒 なし ▲持ち駒 なし第2-3図 ▲5六銀まで
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藤井システム対策
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/02 15:22 UTC 版)
△ 持ち駒 なし ▲ 持ち駒 歩対藤井システム急戦例△3三銀まで △ 持ち駒 歩 ▲ 持ち駒 なし対藤井システム急戦例△7四歩まで 藤井システムは、居飛車側が穴熊囲いでも急戦を仕掛けてきても、どちらにも対応できる戦法として猛威をふるった。対抗策としてミレニアム囲いなどの新戦法が採用されることも増えたが、四間飛車側も互角以上の対応を見せ大流行することはなかった。また居飛車党の棋士が有効な対策を見いだせずに藤井に対して相振り飛車を採用する機会が増えるなど、藤井システムへの対策は2000年前後において居飛車党にとっての大きな課題であった。 そこで居飛車側は、穴熊にするか急戦特に4六銀右戦法を目指すかの態度をぎりぎりまで決めず、四間飛車(藤井システム)側の動きによってどちらの駒組みにするかを決めるようになった。 これに対し、四間飛車側も▲6七銀と▲1五歩を保留し(▲7八銀と▲1六歩で止める)、その2手を▲4八玉から▲3九玉と囲いにかけるようになる。 この他、瀬川晶司らがアマ時代によくやっていた戦法が後手の時に図のように△3三銀とし、▲4八玉△2四銀▲3九玉に△1五銀と端歩をもぎ取り、以下▲1五同香△1四歩▲同香△同香▲1七歩△1一香▲2八銀△7四歩が一例で、すぐに決まるわけではないが、1筋の関係は後手が得となり、△1八歩から攻める手もできる。またいきなり△1七香成もあって、かなりのプレッシャーになり、先手玉が4八でも嫌な局面である。▲1五歩が早い時に端棒銀は有力となっていった。このとき早めに▲2六歩~▲2七銀と備えられても、△3一角から今度は右銀を棒銀に出す指し方もあり、臨機応変に対応できるのが特徴である。 このため駒組みの上では藤井システムの特徴であった「端歩の突き越し」「居玉」がなくなり「藤井システムは消えた」と言われるようにもなった。 藤井システムに対する研究と改良が加わった結果、後手番での藤井システムは不利、先手番ではほぼ互角に戦えるであろう、とする結論に至っていた。 一例として図の対藤井システム急戦例のように、先手▲5六銀には後手が穴熊にせず直ちに△8六歩▲同歩△4五歩と仕掛ける激しい手段などがあり、先手の応手は手としては▲4五同桂と▲8八飛、▲3三角成△同桂▲7七角の三通りであるが、『イメージと読みの将棋観』(2008、日本将棋連盟)では羽生善治はこの局面を先手が誘導してやるなら何かしらの対策が必要であるとしている。佐藤康光は▲4五同桂では以下△7七角成▲同桂で△4四銀なら▲8五歩、△8六飛ならば▲5三桂成△同金は先手がかなりリスクを冒しているとしており、森内俊之も▲4五同桂は強気にいくならで以下△7七角成▲同桂△8六飛▲5三桂成△同金▲8八歩△4三金寄から△5五歩となると、あまり先手が良くないとしている。一方で▲8八飛であれば△4六歩▲8五歩△7七角成▲同桂△5五歩▲6七銀△8三歩▲6八玉△2八角▲1八香△1九角成▲8四歩△同歩▲8三歩△同飛▲7二角△8二飛▲6三角成で後手自信がないとしている。谷川浩司も▲8八飛に△7七角成▲同桂△4六歩▲8五歩と、後手は手を作るのが難しいとしているが、渡辺明は▲8八飛に△4六歩▲8五歩△7七角成▲同桂△5五歩▲6七銀となると、先手も自信がないとしている。 ▲2五桂の跳ねる前に動くこの局面は2003年以降に現れ、▲4八玉型に比べて居玉の分先手が勝ちにくいとされている。2008年までの公式戦で10局指されて先手が3勝7敗、後手が8筋を突き捨てない将棋も11局指され、こちらは先手6勝5敗となっているという。 △ 持ち駒 なし ▲ 持ち駒 歩対藤井システム急戦例△4五歩まで 藤井自身も模索を続けており、2008年には矢倉も実戦で試すようになった(ただし通常の矢倉の定跡手順ではなく、相振り飛車も視野に入れたものである)ため、当時の『週刊将棋』紙に「矢倉党に転向」と紹介されたこともあった。藤井自身、藤井システムを「ファーム落ち」と表現しているが、藤井システムを捨てたわけではなく「いつ一軍で投げさせるか、わかりませんよ」としている。事実、藤井は2012年に先手後手の双方で複数回藤井システムを指し、第53期王位戦では、挑戦者決定リーグで高橋道雄と牧野光則を、挑戦者決定戦では渡辺明を破って羽生王位への挑戦権を得た。2014年5月12日の王位戦で居飛車穴熊の木村を終盤もたつきはあったものの撃破。A級から陥落したものの、研究は怠っていないところを見せた。その後、2015年頃から後手番藤井システムが復権傾向にあり、2016年には第24期銀河戦で藤井が優勝する原動力となり、第64期王座戦五番勝負第2局など、他の対局でも現れるようになっている。 このような変遷を経た現在での四間飛車対策では、穴熊や急戦に加え上述のミレニアム囲いや増田康宏が多用し注目された銀冠穴熊などで藤井システムを警戒することで開発された戦法が増えている。特に高く構える左美濃では2五歩から4五歩で攻めの取っ掛かりを与えることになるので、陣形の不備を補う手段として飯島流引き角戦法をはじめ陣形を低く構える角道不突左美濃型が開発されていった。この他相振り飛車も定跡が整備され角道を止める振り飛車への有力な対策とみなされるようになるなど、藤井システム以前の穴熊一辺倒だった時代から比べるとかなりの多様化を見せている。
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